
こんにちは。司法書士の甲斐です。
生前贈与はある意味で究極的な相続対策になりますが、やり方を注意しなければ多額の贈与税が発生する事があります。
しかし、生前贈与には様々な特例があり、その特例を適切に使用する事で、贈与税の負担なく財産を子供や孫の世代に引き継ぐ事が可能になります。
今回はその特例の中で良く使われる、教育資金贈与信託と結婚・子育て支援信託について解説します。
1.教育資金贈与信託
① 教育資金贈与信託とは?
教育資金贈与信託とは、
・祖父母等を委託者、30歳未満の孫等を受益者、信託銀行等を受託者として金銭を信託し、
・受益者である孫等が、受託者である信託銀行等に対して請求する事で、信託された金銭を教育資金として使用できる、
信託銀行等の商品の事です。
祖父母が信託銀行を通じて、孫に金銭を贈与するイメージです。
信託金額は1,500万円以下で、原則として受益者である孫が30歳に達した日、または受益者が死亡した日のいずれか早い日に終了します。
非課税枠は信託金額と同様1,500万円までですが、目的外(教育目的)で使用した場合は贈与税が課税されます。
なお、受益者の変更、受益権の譲渡等、合意による終了や取消しは出来ません。
② 教育資金贈与信託のメリット・デメリット
孫等の将来の教育資金に充てるための資金について、1,500万円(うち、500万円の範囲で学校等以外の教育資金に充当する事が可能。)までの贈与税が非課税になります。
また、「信託」と言う名前が付いていますが元本が保証され、預金保険の対象になります。
資金使途が一定の教育資金に限定されます。
また、受託者が信託銀行から払戻しを受ける為には、信託銀行が指定する手続きが必要になってきます。
なお、教育資金贈与信託の税務上の詳細は国税庁のHPにも記載がありますので、そちらも併せてご参照下さい。
2.結婚・子育て支援信託
① 結婚・子育て支援信託とは?
結婚・子育て支援信託とは、
・祖父母等を委託者、20歳以上50歳未満の子供や孫等を受益者、信託銀行等を受託者として金銭を信託し、
・受益者である子供等が、受託者である信託銀行等に対して請求する事で、信託された金銭を子供等の将来の結婚、子育ての資金として使用できる、
信託銀行等の商品の事です。
教育資金贈与信託と同様、祖父母が信託銀行を通じて、子供に金銭を贈与するイメージです。
なお、受益者の変更、受益権の譲渡等、合意による終了や取消しは出来ません。
② 結婚・子育て支援信託のメリット・デメリット
子供や孫の将来の結婚・子育て資金に充てるための資金について、1,000万円(うち、300万円の範囲で結婚資金に充当する事が可能。)までの贈与税が非課税になります。
また、教育資金贈与信託と同様に元本が保証され、預金保険の対象になります。
資金使途が一定の結婚・子育て資金に限定されます。
また、受託者が信託銀行から払戻しを受ける為には、信託銀行が指定する手続きが必要になってきます。
なお、結婚・子育て支援信託の税務上の詳細は国税庁のHPにも記載がありますので、そちらも併せてご参照下さい。
3.まとめ
教育資金贈与信託も結婚・子育て支援信託も、信託会社との契約が必要になり、信託会社への報酬が発生します。
しかし、通常の贈与とは比べ物にならないぐらいの非課税枠がありますので、上手く使いこなす事で、大きな成果を生み出す事が可能になります。