認知症の親の(相続)財産を勝手に管理している兄弟がいる場合(成年後見制度)

成年後見・財産管理

【事例】
Q:私の兄が父の財産を使い込んでいる可能性があり、困っています。

私の父は80歳を超えているのですが、最近認知症が酷くなり、専門の施設に入所させようか迷っていたところ、兄が勝手にとある老人ホームに父を入所させました。

私は結婚して、実家から遠い所に住んでおり、父の面倒は全て兄が行っていた為、ある程度の兄のワガママは仕方がないと思っていました。

しかし調べてみると、どうやら兄は父が認知症である事を良い事に、父の預金等を勝手に引き出して自分の為に使っている可能性がある事が分かりました。

また、父が老人ホームに入所した事だって、私に事前に相談があったわけではなく、兄が独断で行いました。その為、その老人ホームが父にとって本当に適切なのかが分かりません。

私がこの事を兄に指摘しても、
「お前は結婚して家を出て行った人間だ。そんなヤツにウチの事をとやかく言う資格はない」
「お前は出来の悪い人間なのだから、いちいち口を挟むな」
等と言われ、全く相手にしてくれません。当然、父の通帳等も見せてくれません。

このままでは父が非常にかわいそうですし、父の財産がどんどん兄に使い込みされる可能性があります。一体どうすれば良いのでしょうか?

A:今の状態では、話し合いを行うのは難しいと思います。

これ以上父の財産の管理を不適切に行われない為にも、後見制度の利用を検討すべきです。

1.親の財産を管理されるデメリット

親が認知症になり、ご家族のうちの誰かが親の財産(預金等)を事実上管理する事は良くある事です。

適切に親の財産を管理していれば何も問題がないのですが、兄弟間の仲が悪く、さらに

「親の金は自分の金。だってどうせ相続するし。」

と言う考え方の兄弟が一人でもいれば、事例のように親の財産を使い込みされる可能性があります。

その結果、各相続人が相続出来る相続財産が減少しますし、使い込みされた財産の返還を求めたとしても、その財産が手元に無ければもうどうしようもありません。

その為、親の財産について不適切な管理を行っている者がいる場合、適切に財産管理を行えるように早急に対策を行う必要があります。

その方法が「後見制度」の利用です。

2.成年後見制度とは?

当ブログ内でも何度かご紹介しておりますが、再度おさらいしておきましょう。

成年後見制度とは、家庭裁判所から選任された成年後見人が、家庭裁判所の監督の下、認知症等で意思能力、判断能力が低下した人(被後見人と呼びます)の代わりに、被後見人の財産を適切に管理し、被相続人の療養看護を行う制度です。

成年後見人が家庭裁判所から選任されれば、例え事実上親の財産を管理している兄弟がいたとしても、その管理の仕事を成年後見人に引き継ぐ必要があります。

財産の管理が引き継がれれば、成年後見人が親の財産の管理を今後適切に行いますし、仮に兄弟が親の財産の使い込みを行っていた場合は、裁判等を行い、早急な対応を行う事が出来ます。

なお、療養看護とは、被相続人の今までの生活状況から考え、どのような生活を送るのが被後見人にとってベストなのかを考え、実行する事です。

「実行する」と書きましたが、介護等の事実上の事については、介護職の方等が行う事になります。成年後見人はあくまで被後見人の生活について「本人の為にどうすれば良いか?」を考える事が求められており、介護等の事実上の行為を行う事までは求められていません。

3.成年後見制度のデメリット

このように、成年後見制度は成年後見人が家庭裁判所の監督の下、親の財産について適切に管理する制度ですが、デメリットも存在します。

① 成年後見人は誰が選ばれるか分からない

申立ての段階で、申立人を成年後見人候補とする事が可能なのですが、誰を成年後見人とするかはあくまで家庭裁判所に委ねられています。

その為、今までご家族とは全く関係が無かった弁護士や司法書士と言った専門職が選任される事もあります。

また、専門職が成年後見人として選任された場合、報酬も発生します(被後見人の財産にもよりますが、毎月3~5万円程度発生します)。

② 基本的に現状維持の財産管理しか出来ない

後見制度はあくまで被後見人本人の為の制度であり、基本的な財産管理の方法は「無駄な出費をしない現状維持」になります。

その為、例えば子供の結婚資金の為や孫の教育資金の為の贈与等は行う事が出来ません。

親が認知症になる前に「子供が結婚式を行う場合、その費用を工面する」「孫が大学に行ったらその学費を出す」とどんなに言っていても行う事は出来ません。

③ 成年後見制度は親が亡くなるまで続く

後見制度はご本人(被後見人)が亡くなるまで基本的に続きます。

その為、仮に専門職が成年後見人に選任された場合、その報酬も被後見人が亡くなるまで発生する事になります。

4.まとめ

成年後見制度は認知症になった親の財産を適切に管理する事が出来る反面、デメリットも存在します。

しかし、事例のような「兄弟が親の財産の使い込みをしている事が疑われるケース」は今後の事を考えて、早急に対応する必要があります。

しっかりとデメリットを理解した上で、後見制度を利用しましょう。

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この記事を書いた専門家

横浜市泉区の司法書士です。法律・老後資金・感情等多角的な視点から、自分らしい人生を送る為の認知症対策、相続対策をご提案します。元俳優/福岡県北九州市出身/梅ヶ枝餅、かしわめし弁当が大好き/趣味は講談/

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横浜相続困りごと相談室(司法書士甲斐智也事務所)
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