特別な方式による遺言とは?

遺言

こんにちは。司法書士/2級FP技能士の甲斐です。

今回の記事は、少しマニアックですが、特別な方式による遺言ついてご相談、ご依頼されたい方向けの記事です。

(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

遺言と言えば、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言が代表的ですが、実は民法にはこれ以外にも特殊な状況下における遺言(特別な方式による遺言)の規定があります。

特別な方式ですので、作成する機会は非常に稀だと思いますが、もしもの時にこのような方式の遺言もあると言う事も、頭の片隅に入れておくと良いかも知れません。

1.成年被後見人による遺言

民法上のカテゴリーでは、特別な方式による遺言ではないのですが、ご紹介させて頂きます。

成年被後見人は意思能力、判断能力を欠く状況が常ですので、基本的には遺言を作成する事は出来ません。

しかし、成年被後見人と言えど、意思能力が回復する時がゼロではありません。

そのような時に、成年被後見人が有効な遺言を作成する為の規定が民法にはあります。

(成年被後見人の遺言)
民法第973条
成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。
2 遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければならない。ただし、秘密証書による遺言にあっては、その封紙にその旨の記載をし、署名し、印を押さなければならない。

つまり、意思能力が回復した場合は、医師二人以上の立会いの下、遺言を作成する事が出来ます。

2.特別な方式による遺言

① 死亡危急時遺言

死亡の危機に迫った者の遺言)
民法第976条
疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。この場合においては、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない。

今まさに死亡の危機に迫った方が行う事を想定した遺言です。

なお、この方式によって作成された遺言は、遺言の日から二十日以内に、証人の一人又は利害関係人から家庭裁判所に請求して「確認」と言う手続きを行わなければ、その効力は生じません。

緊急的に作成した遺言である為、別途家庭裁判所での手続きが必要なのです。

② 一般隔離地遺言

(伝染病隔離者の遺言)
民法第977条
伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所に在る者は、警察官一人及び証人一人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる。

伝染病のため、行政処分によって交通を絶たれた場所にある者がすることが出来る遺言です。

なお、刑務所の服役囚もこの方式で遺言ができるとされています。

③ 在船者遺言

(在船者の遺言)
民法第978条
船舶中に在る者は、船長又は事務員一人及び証人二人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる。

④ 船舶遭難者遺言

(船舶遭難者の遺言)
民法第979条
船舶が遭難した場合において、当該船舶中に在って死亡の危急に迫った者は、証人二人以上の立会いをもって口頭で遺言をすることができる。

なお、この方式で作成された遺言は、死亡危急時遺言と同様、証人がその趣旨を筆記して、これに署名し、印を押し、かつ証人の一人又は利害関係人から遅滞なく家庭裁判所に請求して確認の手続きを得なければ、その効力を生じません。

3.その他

・伝染病隔離者の遺言と在船者の遺言は、遺言者、筆者、立会人及び証人は、各自遺言書に署名し、印を押す必要があります。

・伝染病隔離者、在船者の遺言、船舶遭難者の遺言の遺言については、署名又は印を押すことのできない者があるときは、立会人又は証人は、その事由を付記しなければいけません。

・特別な方式により作成された遺言は、遺言者が普通の方式によって遺言をすることができるようになった時から六箇月間生存するときは、その効力を生じません。

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この記事を書いた専門家

司法書士/2級FP技能士です。法律・老後資金・感情等多角的な視点から相続対策をご提案します。
福岡県出身/元俳優(某球団のマスコットの中に入っていた事も)/温泉が大好き

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