担保を取りたい(抵当権を設定したい)場合

不動産登記

こんにちは。司法書士の甲斐です。

「ごめん、100万円貸して!」

突然知人からお金を貸してと言われたら、あなたはどうしますか?

おそらく、ほとんどの方は貸さないでしょう。

しかし、仕事上の取引等、今までの人間関係からどうしてもお金を貸さなくてはいけない時もあると思います。

そのような時は、普通に貸すのではなく、後日貸したお金を回収出来るのかをきちんと考慮して、お金を貸さなくてはいけません。

具体的に「回収出来るのか?」を考えた時にまっさきに思いつくのが「担保を取る」事だと思います。

代表的なのが不動産に抵当権を設定して、もしお金を返してもらえなかったら、不動産の売却代金から返済してもらう、と言う方法です。

住宅ローン等から抵当権は一般的な担保権として幅広く認知してされていますが、実際に担保を取りたい、抵当権を設定したい場合の重要な注意事項やポイントに関しては良く分からない、と思う方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、お金を貸した時等に、担保を取りたい(抵当権を設定したい)場合の注意点やポイントを解説していきたいと思います。

1.抵当権とは?

抵当権とは、昔風の言い方をすれば、「借金のカタ」です。

その物自体はそのまま債務者が使用する事が出来るのですが、一度支払いが滞ってしまうとその物を強制的に売却され、その売却代金から優先的に支払いを受ける事が出来る権利の事です。

ちなみに、抵当権が設定された不動産を売却する為には競売による方法である事が必要です。

競売は裁判所を通じての売却手続きで数ヶ月を要し、手間と時間がかかる手続きなのですが、それでも債権の回収の可能性が高い手続きですので、銀行の住宅ローン等で広く利用されています。

2.担保を取りたい(抵当権を設定したい)場合の注意点

① 債権の存在が必要不可欠

「債権」とは人に対する権利です。例えば、お金を貸した時に返してもらう権利、売買代金を支払ってもらう権利、給料を支払ってもらう権利等、これらは全て債権です。

抵当権はこれらの債権を担保する為のものですので、債権が存在している事が大前提です。

【抵当権で担保出来る債権の代表例】
・金銭消費貸借契約に基づく貸金返還請求権
・売買契約に基づく売買代金請求権
・不法行為に基づく損害賠償請求権(慰謝料もOKです)

その他、保証委託、養育費、債務承認等があります。

このように、抵当権を設定する際は何らかの債権がある事が大前提です。

この債権関係がはっきりしていない、モヤっとした請求権であれば法律上適切な債権に構成し直す必要があります。

② 被担保債権一つにつき、抵当権は一つ

一つの抵当権につき、担保される債権は一つです。

その為、実務上困った事が起こる場合があります。

例えば、知人に平成29年1月10日に100万円を貸した。

その後、同年1月24日に200万円を貸した。

さらに同年2月1日に300万円を貸した。

このケースで考えてみましょう。

まだ借金は返してもらっていない段階で、抵当権を設定したい場合、合計三つの抵当権が必要です(貸した日付、金額が異なる為、別々の債権となります)。

しかし、元々は同じ貸金なのに三つ抵当権を設定する必要があるとすると、非常に手間がかかります。
 
このような場合は、「債務承認契約」や「準消費貸借契約」を利用すると債権を一つにする事が出来ますので、「複数の抵当権を設定しなくてはいけない」と言う問題は解決します。

※債務承認契約・・・既存の債権の存在を承認する契約です。同一の人物に対して、貸金や売掛金等複数の債権がある場合で、一定の債権債務関係があることをお互い了承しているけれど、一部支払いがされた場合や契約書を作成していない場合で債権債務関係を整理したい場合に良く利用されます。債務承認契約は、既存の債務を消滅させ、新たな債務が発生したとみなす制度です。
※準消費貸借契約・・・元々は金銭消費貸借ではない債権(売買代金等)を金銭消費貸借とする契約なのですが、上記の様に元々複数ある貸金債権を準消費貸借契約の目的とする事も可能です。

債務承認契約も、準消費貸借契約も、複数の債権を一つにまとめる事が出来ると言った意味では同じです。

③ 先順位の担保権が設定されていないか確認する。

抵当権を設定したとしても、該当の不動産に他に抵当権が設定されていた場合、そちらの方が優先されますので競売による売買代金から支払いを受ける事が出来なくなる可能性があります。

その為、不動産を担保に取る(抵当権を設定する)場合は、必ず該当の不動産の登記事項証明書を取得して、他に抵当権等の担保権が設定されていないか確認して下さい。

④ 抵当権設定の登記はあくまで対抗要件

抵当権はあくまで口約束で成立します(通常は契約書を作成しますが)。

登記はあくまで第三者に対して「この不動産には私の抵当権が設定されています」と言う事を主張出来る対抗要件にすぎません。

良く、「抵当権は登記しなくては成立しない」と思われている方がいらっしゃるのですがそれは誤解です。あくまで登記は成立要件ではなく、対抗要件です。

(しかし、実務上は登記を行うのが前提となっているケースがほとんどです。)

3.まとめ

担保を取る(抵当権を設定する)場合に一番大切なポイントは、上述のとおり「被担保債権が明確である事」です。

被担保債権が明確ではなければ設定した抵当権が場合によっては無効になります。

被担保債権がどのような請求権なのかが不明確な場合、法律構成を見直し、かつ契約書を必ず作成するようにして下さい。

当事務所では抵当権設定登記の申請は勿論、抵当権設定に関連する重要な契約書の作成も承っております。

抵当権設定の事でお困り、お悩みの場合はお気軽に当事務所にお問い合わせ下さい。

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この記事を書いた専門家

横浜市泉区の司法書士です。法律・老後資金・感情等多角的な視点から、自分らしい人生を送る為の認知症対策、相続対策をご提案します。元俳優/福岡県北九州市出身/梅ヶ枝餅、かしわめし弁当が大好き/趣味は講談/

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