抵当権の抹消登記を行わない、放置した場合の具体的なデメリットとは?

不動産登記

Q:私は約40年以上前に、自宅を担保にしてお金を借りていました。

借りたお金は5年程で返済が終わり、当時の債権者(抵当権者)から自宅に設定した抵当権の登記を抹消する為の書類を預かっていました。

しかし、色々と忙しくて抵当権の抹消登記を行っておらず、ここ数年は抵当権の登記の抹消のことをすっかりと忘れていました。

最近になってこの事を思い出したのですが、そもそも、この何十年も前にもらった書類はそのまま使用出来るのでしょうか?

A:実際にその書類を見てないと分からないのですが、もしかしたらそのままでは抵当権の登記を抹消する事が出来ない可能性もあります。

その為、その書類を司法書士に確認してもらった方が良いでしょう。

また、抵当権の抹消登記を行わない場合、様々なデメリットがありますので早急に抹消登記を行う事をお勧めします。

1.抵当権が消滅した事と抵当権の抹消登記は別物

抵当権とは、借金の担保として、仮にその借金が返済されない場合に、担保とされた物を強制的に売却して(競売)、優先的に支払いを受ける事が出来る権利です。

借金の担保ですので、その借金が完済されれば、それに付属する抵当権と言う権利も当然に消滅します。

ただし、自宅のような不動産に抵当権を設定して登記をした場合は要注意です。

自宅を担保にしても、借金を完済すれば当然に抵当権も消滅するのですが、自宅に設定した抵当権の「登記」は自動的に抹消されません。

(法務局の登記官が気を利かせて抹消してくれるわけではありません。)

抹消登記はあくまで抵当権者と抵当権設定者が共同して行う必要があり、抹消登記の申請を行わない限りは、登記上は永遠に抵当権の設定登記が残ってしまうのです。

抵当権と言う権利は消滅したけど、抵当権設定登記は残ったまま・・・。

実はその事で、不動産の所有者の方に様々なデメリットが発生するのです。

そこで今回は、「抵当権の抹消登記を行わない事による様々なデメリット」をご紹介していきたいと思います。

2.不動産を売却できない

抵当権の登記が残っていれば、まず間違いなくその不動産を売却出来ないでしょう。

「いやいや、借金は全額返済したんだ。抵当権の登記が残っているだけなんだ」と主張してみても、不動産の買主の立場に立ってみれば、本当かどうか分からないですよね?

抵当権が設定されていて、いつ競売されるかどうか分からない不動産なんて、購入する人はまずいません。

その為、抵当権の登記が残っている場合、不動産を売却する事は出来ないでしょう。

3.抵当権者が会社の場合、会社が清算される事もある

会社のような法人は、人間と同じように、最期を迎える時があります。つまり、会社の清算です。

売上げが少なくなった等の理由で会社が清算され、この世からもう無くなってしまった。

その無くなってしまった会社が抵当権者の場合、非常に大変な事になる事があります。

例えばその会社から抵当権の登記を抹消する為の書類をもらっていたとしても、不備があった場合、どこに連絡をすれば良いのでしょか?

また、そもそも抵当権の登記を抹消する為の書類をもらっていなかった場合はどうでしょうか?

当時の代表清算人に連絡を取ったり、もしくは裁判を行ったり等の方法は考えられますが、それには非常に手間と時間がかかります。

4.登記原因証明情報の問題

何十年も前に設定された抵当権の場合、この問題も発生する可能性があります。

現在、不動産の何らかの登記申請を行う場合、原則として「どうしてその登記の原因が発生したのか?」と言う「登記原因証明情報」を添付する必要があります。

所有権が移転した場合、抵当権を設定した場合、そして抵当権が消滅した場合も登記原因証明情報が必要になります。

実は登記原因証明情報は平成17年に不動産登記法が改正、施行された事により登記申請において義務付けられるようになったのですが、それ以前は登記原因証明情報は必須ではなかったのです。

つまり、不動産登記法改正前に借金を完済して、抵当権を抹消登記をする為の書類を抵当権者からもらったとしても、そこには登記原因証明情報が無い事があるのです。

当時はそれでも良かったのですが、現在登記申請を行う場合は原則として登記原因証明情報が必要ですので、抵当権者から新たに登記原因証明情報をもらう必要があるのですが、ここに問題があるのです。

銀行や消費者金融等は常日頃からお金の貸し出しを行っており、抵当権を設定、抹消する事も多いですので、事情を説明すれば簡単に登記原因証明情報を作ってくれるでしょう。

しかし、お金の貸し出しを主な業務としていない会社が抵当権者になっていたり、抵当権者が個人だった場合、

「登記原因証明情報って何ですか?具体的にどんな書類を作れば良いのですか?そもそも、以前に抵当権の登記を抹消する為の書類は渡したはずですが?どうして今さらそんな事を言うのですか?」

と言う状況になります。

このような状況で、登記原因証明情報が必要であると言ったやり取りを一般の方が行うには、莫大な労力がかかり、結局面倒になってまた抵当権の登記を抹消する事を放置してしまう事にもなりかねないのです。

5.まとめ

このように、抵当権の抹消登記を行わない場合、様々なデメリットがあります。

借金を完済した事による安心感が大きく、抵当権の登記の抹消まで頭が回らない事は理解できますが、抹消登記を放置する事で後々想定外のトラブルになる事もあります。

どのような登記(相続登記等)もそうですが、登記の原因が発生した場合、早めの登記申請を行うようにしましょう。

当事務所でも、このような昔の抵当権の抹消に関するご相談を承っております。昔の抵当権の事でお困り、お悩みの場合はお気軽にご相談下さい。

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この記事の執筆者

横浜市泉区の司法書士です。法律・老後資金・感情等多角的な視点から、自分らしい人生を送る為の認知症対策、相続対策をご提案します。元俳優/福岡県北九州市出身/梅ヶ枝餅、かしわめし弁当が大好き/趣味は講談/

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