高飛車・高圧的な態度の相続人に対しての対応方法

相続トラブル事例

こんにちは。司法書士の甲斐です。

あなたのまわりに、高飛車・高圧的な態度で自慢ばかりしてくる人はいませんか?

自分がいかに素晴らしく正しい人間であるか、他人がいかに間違っているのかを永遠と語りだす人、あなたの身の回りに一人や二人必ずいるはずです。

通常の生活では、このような人物は極力無視して生活すれば、精神的ダメージを最小限に抑える事ができるのですが、このような人物をどうしても避ける事ができない出来事があります。

そう、相続(遺産分割協議)です。

このような性格の人が相続人にいた場合、話し合いは混乱を極めます。

「オレが全部遺産相続すべきなんだ!」
「嫁にいった者は遺産を相続する資格はない!!」

等、その考え方や感情が一般の方と比べて偏っており、まともな話し合いができない可能性が高く、その為、最終的には遺産分割調停や審判を行わざるを得ない事もしばしば。

本来必要がなかった時間やお金をかけてしまい、精神的にヘトヘトになって相続の問題が解決するのが通常です。

正直、このような「高飛車・高圧的な相続人」に対しての対応は絶対にこうすれば良い!と言う方法はありません。

しかし、ある程度の対応方法はありますので、それをしっかりと踏まえる事で相続において余計な手間暇をかけずにすみ、ストレスを最小限に抑える事が可能となります。

そこで今回は、相続人の中に「高飛車・高圧的」な人がいた場合の対応方法をお話ししていきたいと思います。

1.高飛車・高圧的な人=自己愛性パーソナリティ障害?

① パーソナリティ障害とは?

パーソナリティ障害とは精神疾患の一種です。

高飛車・高圧的な態度の人の全てがパーソナリティ障害ではないのですが、傾向が良く似ていますので情報として知っておく価値は十分にあります。

世の中には、考え方・感情の表し方・行動パターンに著しい偏りがあり、対人関係や仕事等に支障をきたしている人がいます。例えば、

・仕事中、自分のデスクに近づいてきた同僚に対して仕事の成果を横取りしようとしている、と思ったり。
・コンビニで女性店員から丁寧にお釣りを渡され手が触れ合った瞬間に「この店員、俺に気があるのかも」なんて思ったり。

このように、起こった出来事に対して、普通の人から見れば「どうしてそんな考え方や行動をするの??」と疑問に思ってしまう人達がいます。

そのような人達が、「パーソナリティ障害」と診断される事があるのです。

パーソナリティ障害の定義は、「その人の属する文化から期待されるものより著しく偏った内的体験および行動の持続的パターンであり、ほかの精神障害に由来しないもの…」とされています。 (世界保健機構の精神疾患の診断基準(ICD-10)やアメリカ精神医学会の診断基準(DSM-IV-TR 2000)による)。
これを「パーソナリティそのものが病的である」と解釈したり、いわゆる「性格が悪いこと」と混同したりしてはいけません。パーソナリティ障害は、心理学的な意味のパーソナリティとも、一般的な意味の「個性」に近いパーソナリティとも性質が異なるものです。この障害は、治療によって徐々に改善することが期待できる精神疾患です。

厚生労働省Webサイトより引用

パーソナリティ障害にはいくつかのタイプがあるのですが、今回取り上げる高飛車・高圧的な人は「自己愛性パーソナリティ障害」の傾向があるでしょう。

② 自己愛性パーソナリティ障害とは?

自己愛性パーソナリティ障害は、「他者の都合を度外視し、周囲からの称賛を求めたり、みずからを特別な存在だと過度に考えたりすることを特徴とする」、パーソナリティ障害です。

例えば、このような状態です。

・自分が重要な人物であると誇大的に思っている。
→単なるアルバイトのリーダー的な役割なだけなのに、あたかも店舗の運営を任されている特別な存在と思っている。

・自分は愚かな他者と異なり成功者である、特別な能力があると思い込んでいる。
→良く分からないビジネスに手を出して、周りの人から注意をされても「あいつらは何も分かっていない。だから負け組なんだ。」と他人を馬鹿にする。

このような傾向があるのですが、上記でもご説明したとおり、絶対に注意すべき点があります。

それは、高飛車・高圧的な態度の全ての人が、自己愛性パーソナリティ障害ではないと言う事です。

単純に他人を見下して偉そうにしている人もいると言う事を忘れないようにして下さい。

とは言え、自己愛性パーソナリティ障害ではなくても、高飛車・高圧的な人はそれに近い傾向があります。

その為、自己愛性パーソナリティ障害の事を良く知る事により、その対応方法にも幅が増えてくるのです。

2.自己愛性パーソナリティ障害の方の特長

まずは高飛車・高圧的な人に対する対応方法を考えるため、自己愛性パーソナリティの方の特長を抑えていきましょう。

① 自分が特別に優れていると信じている(誇大感)

自己愛性パーソナリティの方は、自分の事を頭が良い、誰よりも仕事ができる等、自分が他の人と比較して断トツに優れていると思っています。

TVに出演している企業の社長を見た時に

「どうしてこの人はこんなに自信満々で偉そうなの?そこまで実績がないハズなのに・・・」

と感じた事はありませんか?

その違和感がまさに自己愛性パーソナリティの方の特長である「誇大感」なのです。

自己愛性パーソナリティの方は、自分を断トツで優れた存在であると信じ、他人は自分の事を賞賛して当然だと思っています。

その為、他人から賞賛の言葉を言わせる為に自分がいかに優秀な人間であるかを説明します。

また、自分を誰よりも優秀であると思っているため、例えば仕事で部下が指示を守らず勝手な行動を行った場合、必要以上に激しく叱責します。

自己愛性パーソナリティの方はDVやパワハラ等の加害者になりやすい傾向があります。

② 自分は他者から特別に扱われて当然との気持ちがある(特権意識)

自己愛性パーソナリティの方は、自分が誰よりも優れた人間であると思っていますので、他の人とは異なる、特別な待遇を受けて当然だと思っています。

これが度を越えると、「自分は特別だから社会のルール、法律に従う必要はない」と思うかもしれません。

その為、ますます他人との間に溝を生みやすくなるのです。

③ 他者の気持ちを理解し、思いやる事ができない(共感性の欠如)

自己愛性パーソナリティの方にとって「他人」と言う存在は、自分を崇めたり、自分に奉仕する存在であると言う認識です。

つまり、他人に対する共感性がなく、その為他人にも感情や欲求があると言う事が理解できません。

共感性が欠如していると言う点でも上記に挙げたDVやパワハラ等を起こしがちになります。

「オレを怒らせたお前が悪い」と常に相手の責任して、自分のせいで相手の心が傷ついても無頓着でいられるのです。

自己愛性パーソナリティの方は、全員がそうではありませんが、このような特徴があります。

3.自己愛性パーソナリティの原因と心理状況

自己愛性パーソナリティ障害の原因としては環境的な要因、特に親からどのように育てられたかがポイントになってきます。

人間は幼い時 、程度の差はありますが、自分は何でもできると言う感覚を持っています。

しかし、成長するにしたがって自分のできない事や限界を知り、時には心が傷ついて何もかもが嫌になってしまう事があります。

そのような時に親が子供に十分な感心を払い、子供の優れている部分を褒め、できなかった部分を慰めれば、子供は立ち直り、現実的な自己イメージを持つようになります。

しかし、もし親が子供を常に叱っていたり否定的な言葉を投げつけていると、子供は「自分は必要の無い人間だ。誰よりも劣った人間だ」と感じるようになります。

このように感じる事は当然に心の痛みを伴いますので、その反動として、「誰よりも優れている自分」と言う誇大的な自己イメージを作り上げ、その自己イメージにすがって生きていくのです。

このようにして、自己愛性パーソナリティ障害の心理的な特徴が形作られていくのです。

4.高飛車・高圧的な相続人に対する対応方法

① 大前提として絶対にやってはいけない事

まずは大前提として、あなたがやってはいけない、注意すべき点を挙げます。

それはズバリ、感情的にならないと言う事です。

相手の言葉、態度について脊髄反射的に感情で受け止めてしまいますと、非常にストレスフルな状態になります。

日常生活の中でも度々相手の言動や態度が気になり、仕事や家事に支障をきたすでしょうし、精神面で不調になる事だってあるでしょう。

その為、感情的にならず、一歩引いた状態で、「この人、どうしてこんなに高圧的なんだろう?」と分析するようにして下さい。

今までこのページで高飛車・高圧的な人の特徴や心理状態の事をお話しした理由は正にこのためです。

高飛車な人・高圧的な人がどんな時にどのような心理状態になっているのかを知っている事で、その人の分析をする事ができます。

情報を知っていると言う事は、感情に押しつぶされる事なく、その場を客観的に見つめる事ができ、正しい判断を行う事ができるのです。

分析する癖を身に付ける事で、一歩引いた状態になります。

そうすれば冷静になる事ができ、感情で受け止める事が少なくなります。

下記②以降の対応方法が難しい場合、まずは「分析すること」を心掛けてみて下さい。

② まずは承認すること

自己愛性パーソナリティ障害の方は意識的もしくは無意識的に、自分がいかに優れた人物であるかを会話の中で示します。

その「自慢話」が始まったら、基本的には承認(褒めてあげる)し、彼らのプライドを守ってあげる事が重要になります。

なぜかと言いますと、自己愛性パーソナリティ障害の方の高飛車・高圧的な態度の裏には、劣等感や自身の無さが深く根付いています。

その劣等感等を刺激される事は、彼らの不安を大きくし、ますます高飛車・高圧的な態度になっていく傾向があるのです。

その為、高飛車・高圧的な態度な相続人のプライドを守ってあげるために、出来る限り承認をしてあげましょう。

高飛車・高圧的な相続人であっても実際に優れている部分があるはずです。

そこに着目をしてあげましょう。

③ 何かしら主張をしてきた場合、客観的な証拠を出してもらう

相続の場面ですので、高飛車・高圧的な相続人にも意見があるはずです。

基本的には「遺産を法定相続分以上もらう」と言う主張をしてくると思うのですが、その場合、どうして法定相続分以上の権利があるのか、その証拠を出してもらいましょう。

おそらく、高飛車・高圧的な相続人が出してくる証拠は、とても証拠とは言えるものではないのですが、取り敢えず出してもらい、次の④のステップに行きましょう。

④ プライドを保ちながら説得する

あなたにとっては非常に面倒かもしれませんが、相続の話し合いを時間をかけずにまとめると言うゴールに向かう為に、相手のプライドを守りながら説得すると、良い結果になる事があります。

例えば、

「相続の話し合いがまとまらず長期化すれば、どんどん仕事に集中できなくなりますよ」とか、

「実質的には〇〇さんが正しいのだけど、法律上はどうしても〇〇さんの主張は認められない可能性があります。ここは割り切った方が良いのでは?」

と言ったように、相手には責任が一切ないと、プライドを保ちながら説得する方法を行うと話がまとまりやすくなる事があります。

5.まとめ

自己愛性パーソナリティ障害の診断は実際には非常に難しく、また、高飛車・高圧的な人の全員が自己愛性パーソナリティ障害であると限りません。

しかし、その傾向は近い部分もありますので、その対応方法も活用できる事があります。

相続人の人間関係でもめたら、最終的には遺産分割調停や審判といった方法があります。

しかし、様々なご事情から、調停や審判を行いたくない、出来ない場合もあるでしょう。

そのような時は、今回ご紹介したコミュニケーションの方法を試してみて下さい。

普通に対応を行うよりはるかに良い結果につながるかもしれません。

また、このようにコミュニケーションが取りづらい相続人がいてお困りの場合は、お気軽に当事務所にご相談下さい。

ご事情を詳しくお伺いさせて頂き、最適な方法をご案内させて頂きます。

【本サイトでは、相続手続きや家族信託について網羅的に解説しています。今後のご参考にもなる情報でもありますので、よろしければブックマーク等を行い、後からでも閲覧できるようにする事をお勧めします。】

 

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この記事を書いた専門家

横浜市泉区の司法書士です。法律・老後資金・感情等多角的な視点から、自分らしい人生を送る為の認知症対策、相続対策をご提案します。元俳優/福岡県北九州市出身/梅ヶ枝餅、かしわめし弁当が大好き/趣味は講談/

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