相続登記の前に住所変更登記が必要な場合が実はあります!


こんにちは。横浜のもめない相続の専門家、司法書士/上級心理カウンセラーの甲斐です。

今回の記事は、相続による不動産の名義変更(相続登記)についてご相談されたい方向けの記事です。(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

【事例】
Q:私は約40年前に夫と共有名義でマンションを購入しました。

先月夫が亡くなり、相続人は私一人の為、マンションの名義を私に変更しようと知り合いの司法書士に手続きを依頼したのですが、「相続登記を行う前に、住所変更登記が必要です」と言われました。

この意味が良く分からなかったのですが、なぜ住所変更の登記が必要なのでしょうか?

A:おそらく、マンション購入後に住所を移転されたけれど登記簿上の住所の変更を行わなかった為に、住所変更登記が必要になったと思われます。

 

1.引っ越した場合、住所変更登記が必要か?

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上記は登記簿の一部を抜粋したものです。

昭和59年に不動産を購入した事により山田太郎、花子が夫婦共有名義で所有権を取得した事を表しています。

この様に「権利者その他の事項」欄に、所有者の住所と氏名が登記されます。

通常はマイホームを購入する際、住民票も異動させて、マイホーム上の新住所で登記を行いますが、場合によっては住民票を異動させる前に登記を行う事もあります。

ではその場合に後日住民票を異動させると登記簿上の住所はどうなるのか?と言った疑問をお持ちになる方もいらっしゃるかと思いますが、登記簿上の住所は自動的には変更されず、あくまで住所を変更する登記申請が必要となります。

では、その住所変更の登記は絶対に行わなくてはいけないのかと言いますと、住所変更の登記を義務付けた法律はありません。

その為、その必要が生じるまでは何もしない、と言う方が大半だと思います。

ですが、この状態の時に、夫である山田太郎が亡くなった場合、妻の山田花子の住所を変更しないと、困った事になるのです。

 

2.住所変更の登記を行わなかった場合

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もし事例のケースで住所変更登記を行わず、相続登記を行った場合は、上記のように登記がされます。

ご覧のとおり、住所変更登記を行わなくても、相続登記の申請は受理されその登記は問題無く完了します。

「では、問題なんてないのでは?」と思われるかもしれませんが、実は上記の状態は、順位番号5番の山田花子と、順位番号6番の山田花子は住所が違う為(戸塚区と泉区)、登記簿上、別人として取り扱われるのです。

別人として取り扱われる結果、例えばこの不動産を売却したい場合、山田花子の「戸塚区」の印鑑証明書が必要になってくるのですが、既に引越しをしている以上、取得は不可能です。

住所変更登記を行わないと、この様な不具合が生じてくるのです。

 

3.住所変更登記を行った場合

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相続登記の前提で、きちんと住所変更登記を行った場合、上記のような登記簿になります。

上記の2と違う部分は、順位暗号の5番の付記1号で山田花子の住所変更登記がなされ、順位番号6番でこの不動産の「所有者」として山田花子が登記されている所です(上記の2は「共有者」となっている違いをご理解頂けたらと思います)。

これで登記簿上もこの不動産の所有者は山田花子一人であると正しく公示された事になります。

 

4.まとめ -相続登記は簡単ではない-

昨今「相続登記は簡単なのだから隣接士業(行政書士等)にも開放すべき」と言った議論がなされている事を耳にします。

しかしながら相続登記はただ名義を変えれば良いと言う簡単な話ではありません。

例えば、上記の事例で「山田太郎」の住所は旧住所のままですが、この住所変更登記の必要があるのかないのか?そしてその理由は?と言った質問に対して、正確に回答できる隣接士業はほぼいないと思います。

今回は住所変更のお話でしたが、これ以外にも様々な論点、注意すべき点が相続登記には存在します。

その事をきちんと理解した上で隣接士業が「相続登記は簡単である」と議論しているのか、非常に疑問に感じます。

相続登記のご相談は絶対に登記の専門家である司法書士にお願いします。

また、法務局に相談に行かれた際に、基本的に「相続登記の前に住所変更登記が必要ですよ」とは法務局では親切に教えてくれません。

そもそも住所変更を行わなくても相続登記は申請、完了できますし、そこまで教える権限や義務は法務局にはありません。

「自分の場合は普通に相続登記を申請しても大丈夫なのか?」と少しでも疑問に思われた場合は、お気軽に当事務所にご相談下さい。

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー

合格率2~3%台の司法書士試験を、4年間の独学を経て合格。

心理カウンセリングの技術を応用して、もめない相続の実現を目指す専門家。

不動産や銀行預金等の相続手続きの他、心理カウンセラーが行う心理療法であり心理学のひとつ、「交流分析」をベースにして、法律と感情面の双方から、相続人間のコミュニケーションが円滑になる為の多角的なサポートを行っている。

元俳優。アクションが得意でTVドラマ出演やヒーローショーの経験もあり。

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