税理士も勘違いしやすい!相続対策=相続『税』対策ではありません!

相続対策・認知症対策

こんにちは。司法書士の甲斐です。

現在、空前の相続対策ブームと言って良いほど、日本全国のあちらこちらで『相続対策セミナー』が行われおり、またインターネットや書籍でも相続対策の事が紹介されています。

確かに、人は必ず死にますし、そのように考えれば相続対策は誰にとっても必須であると言えるでしょう。

しかし、世の中にあふれている相続対策も見てみますと、ちょっと違和感を覚えるのです。

みんな、相続『税』の事しか言っていない・・・。

試しに、googleで「相続対策」と検索してみると、上位に表示されるのは相続『税』対策の事を解説したページです。

このように世間の常識も、google先生も、相続対策=相続『税』対策と言うイメージがあるのですが、実際は相続対策=相続税対策ではありません!

もちろん、相続税対策は相続対策の重要な要素ですが、相続税以外にも考えるべき事はあり、この部分を勘違いしてしまいますと相続対策の本質を大きく見誤る事になります。

つまり、最終的に相続発生時に大トラブルが発生する事もあるのです!

1.一般の方はあまり相続税を意識しなくても良い

ここで相続税の現実について触れたいと思います。

確かに、相続税の基礎控除が下がり、マスコミ等がいたずらに「相続税が増額される」と不安をあおっている場合がありますので、相続税の心配するお気持ちも分からないではありません。

しかし、都内を除くごく普通の一般家庭であれば、ほとんどの場合相続税対策は必要ありません。

例えば、平成27年の相続税の申告件数は約10万件(国税庁HPより)です。

これに対して平成27年の死亡者数は約130万人(厚生労働省資料より)ですので、亡くなった方に対する相続税の課税割合は約8%です。

平成27年に相続税法が改正され、相続税の基礎控除が引き下げられたのですが、それでも8%前後です。

また、仮に相続税の納税義務が発生した場合でも、一般家庭であれば相続税として何千万円も持っていかれません。

具体的な数字で見て行きましょう。被相続人の財産が6,000万円、相続人が子ども2人と仮定した場合、相続人一人当たりの相続税は約90万円です。

相続財産6,000万円と言えば、一般家庭の財産より少し多い程度だと思います。

その相続税が90万円です。

これぐらいであれば、相続財産から支払う事が可能ですし、最悪な場合でも相続人自身の貯金から支払う事が可能なのではないでしょうか?

(なお、上記の相続関係で、相続財産が1億円でもその相続税は約385万円です。)

資産家ではない、ごく普通の一般家庭では相続税は問題になる事はあまりありません。

むしろ問題になるのは遺産分割の対策です。

遺産が不動産のように分割しにくいものしか無かったり、相続人間の長年の感情のすれ違い等から、相続が『争続』となり、解決策が見いだされないまま紛争が長期化する事が良くあります。

仮に相続税を沢山納税しなくてはいけないご家庭でも、一番最初にやるべき事は、遺産の分け方を決める事です。

遺産の分け方を決めずに相続税対策を行う事は、ハッキリ言って本末転倒なのです。

つまり、相続税対策より、遺産分割を想定した『相続対策』こそ重要と言えるのです。

相続対策=遺産分割対策+相続税対策
まずは遺産の分け方(遺産分割対策)を決めて、その上で相続税対策を行う必要がある。

3.相続税対策

推定相続人間で遺産をどのように分けるのかを話し合った後に、そこで初めて、実際に話し合った内容で各相続人が遺産を相続したとして、発生する相続税はどれくらいか?を、計算するのです。

何度も申し上げますが、分け方を決めるのが先で、税金対策は後です。

この順番を間違えますと、本当に本末転倒になります。

各相続人が支払う相続税の予想額が算出できたら、実際にその相続税を支払う事ができるのか?を考えます。

納税するのが難しいようであれば、生前贈与等で相続財産そのものを減らしたり、相続財産の評価を減額する方法が無いかを検討しても良いでしょう。

相続財産の評価を減額させる方法として良く使われているのが、アパート経営です。

主な相続財産が不動産で、相続税の支払い義務が発生すると、遺産に現金(預貯金)がほとんどない場合、最終的に相続人が自己の財産から相続税の納税を行う必要があります。

しかし、銀行等から借り入れをして、自己所有の更地にアパートを建てる事で、更地の相続税計算上の評価額を下げる事ができるので、結果として相続税が安くなる、と言う方法です。

しかし、この方法は様々なデメリットがありますのでご注意下さい。

詳しくはこちらをご覧下さい。

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4.納税対策

遺産の分け方、相続税のシュミレーションが完了したら、実際にその相続税を支払う事ができるのか?相続税を支払う資金が無ければどうするのか?と言った納税対策を考えます。

納税対策として良く行われる方法としまして、以下のものがあります。

・資産の売却
生前に資産を売却して、相続税の納税資金を準備する方法です。

・生命保険の活用
予想される相続税の額に見合う保険金額の生命保険に加入し、相続税の納税資金を準備する方法です。

・金融機関等からの借り入れ
これはあまりお勧めできませんが、金融機関から融資を受けて相続税の納税資金を準備する方法です。

5.遺産分割対策が必要なケース

遺産分割対策は誰でも行う必要があるのですが、特に行うべきケースを5つ挙げてみます。

① 結婚した夫婦がマイホームを購入した場合

マイホームは大体20代~40代で購入される事が多いでしょう。

「え?そんな若いうちから相続対策必要なの?」と言う声が聞こえてきそうですが、相続対策は高齢になって行うものではなく、ご自身のライフステージの中で適切なタイミングで行う必要があるのです。

夫婦が若いと言う事は、もし子供がいれば小学生とか中学生のはずです。

その家族構成の時に夫が亡くなった場合、相続人は妻と未成年の子供であり、有効に遺産分割協議を行う為には、家庭裁判所に対して特別代理人の選任を行う必要があります。

そして、選任された特別代理人(親族が多いです)と妻とで遺産分割協議を行う必要があるのですが、基本的に法定相続分で相続する必要があります。

「妻が全て相続する」と言う遺産分割協議も不可能ではありませんが、別途書類の作成が必要になってきます。

なお、子供がいない場合、夫の相続人は、妻と夫の両親、つまり妻の義理の父母となります。

妻と夫の両親の仲が良好であれば問題ないと思うのですが、まだ新婚だった場合、妻と夫の両親の親交もあまり深いものとは言えないでしょう。

その為、場合によっては夫名義のマイホームの売却を義理の両親から迫られ、妻は住む家をなくしてしまう、そのような悲劇がないとは言えません。

このように、マイホームを購入した場合は、相続対策を考えるタイミングと言えます。

② 自宅を絶対に妻に残したい場合

「私が死んだ場合、自宅は妻のものになるのですよね?」この言葉もよく相続のご相談時に出てくる言葉です。

誤解されている方が以外にも多いのですが、相続が開始されても、被相続人の自宅は自動的に妻(配偶者)の物になるわけではありません。

遺言書を残すか、相続人間で遺産分割協議を行わない限り、当然に自宅は妻の物になるわけではありません。

その為、妻に自宅を絶対に残したい場合は、必ず相続対策を行いましょう。

③ 相続人の中に認知症の方がいる場合

遺産分割協議を行う場合、意思能力・判断能力が必要な為、相続人の中に認知症等の方がいる場合、後見申立てを行わない限り、遺産分割協議を行う事が出来ない場合があります。

相続人の中に認知症等の方がいらっしゃる事が事前に分かっている場合、きちんと相続対策を行いましょう。

④ 内縁関係の場合、養子縁組をしていない場合

これも誤解されている方が多いのですが、どんなに事実上の婚姻状態(内縁)が続いたとしても婚姻届けを提出して法律上の夫婦にならないと、配偶者が亡くなった時にもう一方の配偶者は相続人になれません。

また、夫の再婚相手に先夫との子どもがいた場合、その夫と先夫の子どもには養子縁組を行わない限り、法律上の親子関係は発生しません。

内縁関係、養子縁組をしていない場合はきちんとケアを行うべきです。

⑤ 借金がある場合

ご家族の方に伝えづらいかも知れませんが、借金があればマイナスの財産として相続人に引き継がれる事になります。

その為、借金をどうするのか?債務整理するのか等をきちんと検討し、残されるご家族の方が心配しないように配慮する必要があると思います。

6.まとめ -相続対策はトータル的に考える-

以上、相続対策における重要な視点を簡単にまとめてみました。

大切なのは、何度も申し上げますが「節税になるから」と言う理由のみで相続税対策のみを先行させないと言う事です

相続税対策で遺産の評価額を下げる事に成功させたとしても、その遺産を相続人が誰も欲しがらなければ、その相続税対策は全く意味はありません。相続対策は、トータル的に考える事が必要です。

当事務所では、何から行えば良いか分からない生前の相続対策について、ご相談者様のご事情をきちんとヒアリングした上で、最適な方法をご提案させて頂きます。

紛争や相続税に関連する事も、信頼がおける弁護士、税理士と連携してサポートさせて頂きます。

相続対策についてお悩み、ご不安な場合は、当事務所へお気軽にご相談下さい。

何回書籍を読んでも腑に落ちなかった事が、スッキリすると思います。

文責:この記事を書いた専門家

◆司法書士で元俳優。某球団マスコットの中の経験あり。
◆2級FP技能士・心理カウンセラーの資格も持つ「もめない相続の専門家」
◆「相続対策は法律以外にも、老後資金や感情も考慮する必要がある!」がポリシー。
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