危険な相続税対策(不動産編)


こんにちは。横浜のもめない相続の専門家、司法書士/上級心理カウンセラーの甲斐です。

今回の記事は、どのような相続税対策を行えば良いかお悩みの方向けの記事です。

銀行とか不動産会社とか生命保険会社から、「相続税対策しましょう!」と迫られていませんか?

平成27年1月から相続税の基礎控除が下がった関係で、TVや雑誌等で様々な相続税対策が特集されています。

不動産投資、養子縁組、生命保険の活用、生前贈与等々、世の中には多種多様な相続税対策があります。

ただし、この中にはかえって逆効果になったり、場合によっては脱法行為とみなされ、税務署より追従課税を支払うよう求められる可能性もあります。

今回はやってはいけない相続税対策、危険な相続対策について解説したいと思います。

 

1.アパート経営

① 相続税対策としてのアパート経営

土地を所有している人に対して、「アパートを建築して、アパート経営をしましょう。

アパート経営をすると、相続税が大幅に減額されます」と営業を行う不動産会社が増えてきているように思えます。

そもそもなぜ、アパート経営を行うと相続税対策になるのでしょうか?簡単に言いますと、次の点が挙げられます。

⑴ アパート経営の為の土地は、相続税の評価としての価額が一般の土地よりも50%減額される。
(相続税の評価額が1億円の土地であれば、アパート経営をした場合、5,000万円の評価とされるのです)
⑵ もしアパート建築の為に借金をした場合、相続財産から借金を差し引いた金額に対して相続税が課せられる為、結果的に相続税が安くなる。

以上の2点から、アパート経営は相続税対策になる、と良く言われています。

さらに、賃料収入が見込めるため、例え借金をしてアパートを建てても借金を返済できる、と言った仕組みです。

一見、何の問題が内容に見えますが、この相続税対策としてのアパート経営、じつはとある問題を含んでいるのです。

② アパート経営は、文字通り「経営」の視点が必要

相続税対策としてアパート経営を選択した方からのご相談で多いのが、「思ったよりも入居率が悪い」とのご相談です。

場合によっては入居率が50%を切っていたり・・・・。

その結果、相続税は安くなったのかもしれないが、当初見込んでいたはずの賃料が見込めず、アパート建設の為の借金の返済や公租公課の支払いに非常に苦労している、と言った話です。

こうなった原因はただ一つ、それは相続税対策の事は考えていたのかも知れませんが、アパート「経営」の事を何も考えていなかった事です。

人口が減少していく事が昨今の現状を考えた場合、何も努力しないのであれば入居率を高くする事はできません。

きちんとアパート経営が成り立つのか?この視点が欠落したままの、相続税対策としてのアパート経営が非常に多いのです。

③ サブリースの注意点

アパート経営の一つの手法として、不動産会社からサブリースを提案される事があります。

サブリースとは、業者が一括してアパートを借り上げ、それを入居者に転貸し、一定のマージンを抜いてからアパートオーナーに賃料を支払う、と言う仕組みです。

CMで「○○年一括借り上げで安心です」と謳っているものです。

空き室があっても賃料は支払われるので、何もリスクは無いようにみえますが、これも注意点があります。

契約書に、数年ごとに賃料を見直すことや業者の都合でいつでも解約できる事が記載されている場合がほとんどの為、賃料が大幅に減額されたり、突然契約を解除されたり等のトラブルが増えてきています。

 

2.タワーマンション購入

① 相続税対策としてのタワーマンション購入

アパート経営と同じく、不動産を活用した相続税対策として有名なのが、タワーマンションの購入です(インターネットで『相続 タワーマンション購入』と検索してみて下さい。もの凄い数の不動産会社がヒットします)。

現金で1億円を持っているとその価値は1億円のままですが、例えば1億円のタワーマンションを購入した場合、タワーマンションの価値は相続税を計算する上で、1億円よりもかなり低い金額になりますので、その分相続税の節約になる、と言った仕組みです。

これだけだと、特に問題が無いように思えますが、実はこのタワーマンション購入も注意点があります。

② タワーマンション購入の問題点

タワーマンションは相続税対策の為だけに購入したのであり、本来欲しくて購入した物ではありません。

その為、相続が発生したらすぐに売却される方がいらっしゃるのですが、これが問題となります。

つまり、相続人が短期間でタワーマンションを売却した場合の相続税評価額は、被相続人がタワーマンションを取得した金額(上記の事例では1億円)を適用すべき、という事例があります(国税不服審判所 平成23年7月1日裁決)。

国税不服審判所から見れば、タワーマンションの購入は節税の為だけに購入されたものなので、市場価格で評価すべき、と言う事なのでしょう。

 

3.まとめ -相続税対策は焦らない-

相続税が安くなる各種控除制度でも記載しましたが、ごく普通の家庭でかかる相続税の金額は、多くても数百万円です。

その数百万円の為に、数千万以上の借金をして相続税対策が必要なのかは、しっかりと考えていかなければいけません。

世の中には様々な相続税対策が紹介されていますが、相続税の事でお悩みの場合は、正確な情報を入手するという意味でも一度信頼できる税理士にご相談をする事をお勧めします。

親しい税理士がいない場合、当事務所で信頼できる税理士をご紹介できる場合がございますので、相続一般的なご相談と併せてお気軽にお問い合わせください

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー

合格率2~3%台の司法書士試験を、4年間の独学を経て合格。

心理カウンセリングの技術を応用して、もめない相続の実現を目指す専門家。

不動産や銀行預金等の相続手続きの他、心理カウンセラーが行う心理療法であり心理学のひとつ、「交流分析」をベースにして、法律と感情面の双方から、相続人間のコミュニケーションが円滑になる為の多角的なサポートを行っている。

元俳優。アクションが得意でTVドラマ出演やヒーローショーの経験もあり。

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