相続人がいない場合の相続手続き(相続財産管理人とは?)

相続・家族信託の専門家

こんにちは。司法書士の甲斐です。

今回の記事は、相続人が誰もおらず、その財産の管理について困っている方向けの記事です。

(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

【事例】
Q.私の隣に住んでいた女性が亡くなりました。

彼女とは50年以上の付き合いでした。

彼女は結婚をしてない為、子どもがおらず、またご両親もご兄弟もいない、文字通り独り者です。

彼女は数年前から体調を崩し、ほぼ寝たきり状態になってからは、彼女の自宅や預貯金の管理を私が行ってました。

彼女が亡くなり相続人がいない為、私が管理していた彼女の財産(自宅及び預貯金)をどうすれば良いのか分かりません。

どのようにすれば良いのでしょうか?

A.家庭裁判所に対して相続財産管理人選任の申立てを行い、選任された相続財産管理人が相続財産の管理、処分を行うことになります。

1.相続財産管理人とは?

相続財産管理人とは、相続人の存在、不存在が明らかではないとき、つまり被相続人に配偶者や子ども、父母祖父母や兄弟姉妹がいない時に、家庭裁判所が申立てにより選任する、被相続人の相続財産の管理人です。

(なお、相続人全員が相続放棄を行い、結果として相続人がいなくなった場合も含まれます。)

相続財産管理人は、被相続人の債権者に対して被相続人が負っていた債務を支払い、残った相続財産を国に帰属させる事がその職務です。

なお、申立てにより特別縁故者(被相続人と特別の縁故のあった者)に対する財産分与がなされる場合もあります。

2.相続財産管理人選任申立ての流れ

① 申立人

申立てができるのは、利害関係人及び検察官に限られています。

利害関係人とは、例えば被相続人の債権者、遺言により特定の財産を譲りうけた者、特別縁故者等です。

事例のような、被相続人の財産を事実上管理していた者も含まれます。

② 申立てに必要な書類

・申立書(裁判所のホームページからダウンロードできます)

・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・被相続人の祖父母等、直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している者がいる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・被相続人の兄弟姉妹で死亡している者がいる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・被相続人の兄弟姉妹の代襲者としてのおいめいで、死亡している者がいる場合、そのおい又はめいの死亡の記載がある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・被相続人の住民票除票又は戸籍附票

・財産を証する資料(不動産登記事項証明書、預貯金及び有価証券の残高が分かる通帳写し,残高証明書等)

・利害関係人からの申立ての場合、利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書)、金銭消費貸借契約書写し等)

・財産管理人の候補者がある場合にはその住民票又は戸籍附票

その他、家庭裁判所から指示された書類を用意します。

※相続財産管理人の報酬は相続財産から支出されますが、相続財産が少ない場合、予納金として数10万~100万円程の納付を家庭裁判所より求められる事があります。

※相続財産管理人の推薦を行うことはできますが、選任するのはあくまで家庭裁判所であるため、希望が通るとは限りません。

その後の流れはこちらをご覧下さい。

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3.まとめ

申立書の作成に関してある程度の勉強が必要ですが、相続財産管理人選任申立書作成に関して一番の難所は、戸籍(除籍、改正原戸籍)の取得です。

上記にある通り、相続人がいない事を戸籍上で証明する必要がある為、被相続人の上下の世代、横の世代のすべての戸籍が必要となり、場合によっては、戸籍の取得に関して非常に手間と時間がかかることもあります。

司法書士は相続財産管理人選任申立書等の裁判所へ提出する書類の作成を行う事ができ、さらに申立てに必要な戸籍等の書類の取得も職務上の権限として行うことができます。

司法書士にご依頼頂ければ、皆様の時間を不慣れな手続きに費やす必要が無くなります。

相続人がいなくてお困りの場合は、お気軽に当事務所にご相談下さい

文責:この記事を書いた専門家
司法書士 甲斐智也

◆司法書士で元俳優。某球団マスコットの中の経験あり。
◆2級FP技能士・心理カウンセラーの資格もあり「もめない相続」を目指す。
◆「相続対策は法律以外にも、老後資金や感情も考慮する必要がある!」がポリシー。
(詳細なプロフィールは名前をクリック)

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町田・横浜FP司法書士事務所
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