相続財産に関するQ&A

こんにちは。横浜市泉区の相続専門司法書士の甲斐です。今回の記事は、相続財産の範囲についてご相談されたい方向けの記事です。(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

相続が開始された場合、被相続人が有していた権利義務(一身に専属していたものを除く)は相続人に引き継がれますが、この相続財産について、しばしば問題が発生する事があります。「そもそも、この財産は相続財産なのか?」と言う点です。また、それ以外にも相続財産に関しては様々な問題や疑義が生じてきます。今回はこの相続財産にテーマを絞って解説していきたいと思います。

 

1.勝手に使われた財産

Q: 私の父親が亡くなり、遺産を相続しました。遺産は預貯金だったのですが、それを相続した直後、主人が勝手に口座から引き出して使ってしまいました。

主人は、私が父から相続した財産は夫婦のものと思っているようです。しかし、父の遺産は結婚してから築いたものではないので、私は私個人の財産だと思っています。

引き出されたお金の使い道は、ほとんどがギャンブルでした。この事が原因の一つなのですが、主人とは現在離婚調停中です。この勝手に引き出されたお金含め、父から相続した財産は夫婦共有の財産となるのでしょうか?

 

A:ご相談者様が相続により取得した財産は固有の財産のため、夫婦共有の財産ではありません(民法第762条)良く、『配偶者の財産は夫婦の共有財産』と思われている方がいらっしゃいますが、それは誤解です。その為、ご相談者様はご主人に勝手に引き出された預金の返還請求ができます。

 

2.認知症の父の財産について

Q:父の認知症が進み、困っています。ある日父は、銀行から預金を引き出し、現金を別の銀行の貸金庫に預けたり、自宅のどこかに隠したりしています。現金の隠し場所を度々変えているため、ついに自分でも自分の財産がどこにあるのかが分からなくなってしまったようです。

もし父が亡くなった時、このような状態でもきちんと遺産分割協議ができるのでしょうか?また、後から父の財産が出てきた場合、どのような手続きを行えば良いのでしょうか?

 

A:現在分かっている遺産だけでも、遺産分割協議はできます。後に遺産が発見された場合は、その時にまた遺産分割協議を行えば良いのです。その場合に、遺産分割協議書に『後日遺産が発見された場合は、相続人間で改めて協議し分割を行うものとする。』等の文言を入れておくと、なお良いと思います。

なお、本事例に関しては、お父様の財産管理能力が低下しているため、後見申立てを考えた方が良いかもしれません。家庭裁判所より選任された成年後見人が、お父様の代わりに財産管理を行う事により、今後の財産の分散を防ぐ事ができると思います。

 

3.権利収入について

Q:私の母は60歳を超えているのですが、様々な仕事をしています。中には働かなくても収入を得る事ができる、いわゆる『権利収入』が発生する、仕事の様な事を行っているようなのですが、もし母が亡くなった場合、この権利収入は相続財産になるのでしょうか?

A:権利収入も債権の一つですので、お母様が亡くなられた場合、相続財産となります。ただし「一身に専属したもの」は相続財産とはなりません(民法第896条)。「一身に専属したもの」とは、その権利義務の性質上、被相続人のみに帰属すべきものを意味します。事例の権利収入が具体的にどのようなものか分かりませんが、その性質がお母様のみに帰属するべきものであれば、上記の権利収入は相続財産の対象外になります。

 

4.他人の物を預かっている地位

Q:実家に今は誰も使用していない離れがあります。ウチの父は高齢と言う事もあり、色々と身の回りの整理をしだしたので、私もその手伝いをたまに行うようになりました。

その離れも整理する事になったのですが、現在離れは色々な物を置いている倉庫として使用されています。その中には父の物もあるのですが、誰の物だか分からない物も沢山あります。ほとんどが古い時代の物(壺とか刀とか鎧とか)で、価値があるのか、それとも単なるゴミなのかも分からない状態です。

父は「預かっている物で、自分の物ではない」と言っていますので、父が生きている間は取り敢えずこのままにするしかないと思うのですが、父が亡くなった後の対応をどうすれば良いか困っています。

離れは父名義ですので、相続財産になると思うのですが、その中にある物の対応はどうすれば良いのでしょうか?離れの中にある物については、「他人の物を預かっている地位」を相続するのでしょうか?

 

A:ご質問のとおり、お父様が亡くなられた場合、他人の物を預かっている地位(これを寄託契約と言います)を相続しますので、勝手に処分する事はできません。法律的に解決する方法としては、他人の物を預かっているのではなく、あくまで「所有の意思」を持って占有する事が大前提です。

このまま持ち主が誰だか分からなければ相続が発生した場合に困る事を説明し、お父様に誰の物なのかを聞き取る必要があります。それでも誰の物が分からなかったり、その方が亡くなっている場合は、20年という期間はかかりますが、所有の意思を持って占有する事により、その物の所有権を取得する事ができます。

 

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー

合格率2~3%台の司法書士試験を、4年間の独学を経て合格。

心理カウンセリングの技術を応用して、もめない相続の実現を目指す専門家。

不動産や銀行預金等の相続手続きの他、心理カウンセラーが行う心理療法であり心理学のひとつ、「交流分析」「認知療法」をベースにして、法律と感情面の双方から、相続人間のコミュニケーションが円滑になる為の多角的なサポートを行っている。

丁寧な言葉で厳しい発言をする(でも愛はある)。

元俳優。アクションが得意でTVドラマ出演やヒーローショーの経験もあり。

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