【事例】
Q:祖父の相続の事で、親戚間でトラブルになっています。
先月祖父が亡くなり、相続人は祖父の子である父を含めた兄弟6人です。
私は父の兄弟は年に数回集まっているのを見ていたので、てっきり仲が良いと思っていたのですが、実は表面上仲が良かっただけで、実際は祖父が上手くまとめていただけだった事を最近知りました。
元々兄弟の仲は悪かった為、祖父が亡くなった瞬間にお互いの不満を言い合うようになり、また、遺産分割の話もそれぞれが言いたい事を言い合っていて、とてもまとまる気配はありません。
そのような時に「コンサルタント」を名乗る男性が突然やってきて、相続の問題に対して口を出すようになってきました。
どうやら父の兄弟のうちの誰かから依頼されたようなのですが、「悪いようにはしない」「俺の顔を立ててくれ」等々、言ってきています。見た目がヤクザ風で正直怖く、父は渋々その男に従っている状態です。
私としては家庭内の問題について、このような人に関わってほしくないと思っているのですが、どうすればこの男性を排除出来るのでしょうか?
A:その「コンサルタント」を名乗る男は、おそらく他人のもめ事に首を突っ込んで、法外な金銭を要求する「事件屋」です。
早急に警察に相談する事をお勧めします。
1.事件屋とは?
事件屋とは、弁護士や司法書士の資格を持たずに、他人のもめ事に口を出し、法外な金銭を当事者から巻き上げる事を行う者の俗称です。
交通事故に関して事件屋が暗躍する事が多いのですが、相続の紛争に関しても事件屋の関与が多くなっていると言う話を聞くようになりました。
その手口はインターネット等で「弁護士を雇わなくてもトラブルは解決出来ます」等と言葉巧みに広告を出し、あくまで人助けを装い実際に依頼を受けたら、当事者間の紛争に関して非合法な手段で問題を解決し、後で法外な金銭を要求してきます。
一般の人からしてみれば「問題を解決してくれればそれで良い」と言う考えもあると思うのですが、その考え(ある意味弱み)に付け込んだ手法と言えます。
2.事件屋がやってきたら
上記のような相続、遺産分割協議のトラブルは、法律上の問題です。
このようなトラブルについては、一方当事者から依頼を受け、一方当事者の利益を追求する代理人として業務を行う事が出来るのは弁護士だけです。
(我々司法書士も、紛争状態になっている相続問題について一方当事者の代理人にはなれません)。
弁護士では無い者がこのような他人の紛争に介入する事は弁護士法第72条違反となり、刑事罰の対象となります。
相続トラブルについて、事件屋が近寄ってきたら、弁護士法違反である事、刑事罰の対象であり警察に通報する事を毅然と伝えましょう。
曖昧な態度で接していると事件屋にどんどん付け込まれます。毅然とした対応をしましょう。
3.まとめ
最近は相続に関連する業務を行う専門家が沢山増えています。
しかし、既にもめている相続人間の紛争に介入出来るのは、弁護士だけですのでご注意下さい。
相続の専門家は、あなたが抱えている問題にあわせて選択するようにしましょう。