
こんにちは。司法書士の甲斐です。
今回の記事は不動産の相続手続きをご自分で行おうか迷われていて、相談されたい方向けの記事です。
最近、ご自分で相続による不動産の相続手続き(相続登記)を行う方法を解説した、様々な書籍やWebサイトがあります。
また、ご自身で相続登記の為の書類作成を行う事ができるサービスを展開している事業者もあります。
しかし、これらの書籍やWebサイトはごく一般的な事しか記載されておらず、そこから少しでも外れたイレギュラーなケースに関しては対応が難しい事があり、必要以上に労力と時間が必要になる事もあります。
事業者の書類作成サービスも同様で、そもそも彼らは何かあった場合の責任は取ってくれません。
今回はそのような情報やサービスを利用せず、相続登記を専門家である司法書士に依頼した方が良いケースについてお話していきたいと思います。
1.平日の日中に時間が取れない
相続登記の基本的な流れは、
②遺産分割協議(相続人が複数いる場合)
③法務局へ登記申請
となります。
ご自分で相続登記を行う際、通常は相談の為、何回か法務局を訪れると思うのですが、法務局は平日しか開庁しておりません。
その為、そもそも平日の日中に自由に時間が取れない場合は、司法書士にその手続きを依頼された方が良いと思います。
また、法務局の相談はあくまで登記手続きに関する一般的な相談です。遺産分割に関する法的な相談等は対応は不可能ですのでご注意下さい。
2.相続する不動産が遠方にある場合
相続登記の申請は、その不動産を管轄する法務局に対して行います。
相続登記を初めて経験される方は上述したとおり、法務局へ手続きの相談に行かれると思いますが、管轄外の不動産の登記相談を受け付けない法務局が多いと思います。
また、登記申請に不備があると、その補正の為に法務局へ行く事もあります。
例えば東京在住の方が、福岡の不動産を相続し、登記相談や補正が発生した場合、それだけでも手間がかかります。
このような対応をご自分で行う事が難しい時は、司法書士に依頼をされた方が良いでしょう。
3.不動産が複数ある場合
田舎の方では、相続した土地が50以上になると言うケースがあるようです。
相続登記を申請する時に、登録免許税という税金を納める必要があるのですが、登録免許税を計算するためには、不動産一つ一つの評価額を合計する必要があります。
また、登記申請書には名義変更を行う全ての不動産を記載する必要があり、非常に手間がかかります(一つでも漏らすと、その土地は名義変更されません)。
なお、これは司法書士でも非常に労力がかかる作業になります。
4.不動産を遺贈された場合
相続人ではない方が、被相続人より遺言で不動産を贈与(遺贈といいます)された場合、登記の手続きが通常の相続登記とは異なります。
具体的には、相続登記は相続人の単独申請で良いのですが、遺贈の登記は被相続人(若しくは遺言執行者)と、遺贈を受ける者(受遺者)との共同申請になります。
また、登記申請書の記載も添付する書類も相続登記とは異なり、結果としてその難易度も変化してきます。
5.相続人がそれぞれ遠方に住んでいる場合
相続人がそれぞれ遠方に住んでいると、遺産分割協議の機会を設けるのに非常に手間がかかります。
調整してくれる相続人がいれば良いのですが、各自が思い思いのままに意思表示を行うと、収拾がつかなくなるケースもでてきます。
そのような時は、きちんと全員の意見を調整してくれる司法書士にご依頼された方が良いと思います。
6.相続登記を行う前に相続人が亡くなってしまった場合(数次相続)
数次相続とは、家族のどなたかが亡くなり相続が発生したが、その遺産分割協議を行う前に相続人が亡くなったケースを言います。
数次相続が発生すると、原則として相続が発生した毎に相続登記を行う必要があり、非常に手間がかかります。
なお、例外として、中間の相続人が単独相続の場合、直接最後の相続人名に登記ができのですが、そのパターンが結構ややこしい事あり、一般の方ではその判断が非常に難しいので、数次相続が発生した場合も司法書士にご依頼された方が良いでしょう。
7.まとめ
以上、いわゆるイレギュラーなケースをご紹介しましたが、イレギュラーと言いながら、実際には良くある話です。
基本的な相続登記とどこがどう違うのか?基本的な相続登記の本質を理解していないと、その応用はできません。
不動産を相続されたけど、「これは基本的な相続登記ではない。どうすれば良いのか分からない。」と思われた場合は、お気軽に当事務所にご相談下さい。