法定相続分で相続登記をしたい場合

相続登記

こんにちは。司法書士の甲斐です。

今回の記事は、不動産の相続登記を、法定相続分で相続人全員の共有にされたい方向けの記事です。

(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

【事例】
Q:私達三人は、数ヶ月前に亡くなった母の相続人です。

母は生前マンションを所有しており、このマンションについて今後どうするかの話し合いをしていたのですが、なかなか結論が出ない状態です。

その為、とりあえず法定相続分の共有名義で相続登記を行い、その後に売却するのか、誰かが相続するのかと言った話し合いをしたいと思っています。

マンションを共有名義にする場合の登記申請の方法や、その後の注意点等を教えて下さい。

1.相続よる不動産の名義変更

不動産を相続する場合、遺産分割協議を行い、その不動産を相続する相続人を決めて、「相続」を原因とする相続登記を行う事が一般的です。

しかしながら、上記のような事情により、遺産分割協議を行う前に、法定相続分による共有名義での相続登記も可能となっています。

相続が発生し、相続人が複数いる時は、各相続人は法定相続分に応じて、当然に相続人の財産を引き継ぐからです(民法第898条、899条)。

2.法定相続による相続登記

① 原因日付

登記原因日付は「被相続人がお亡くなりになった日+相続」とします。

例えば、平成28年10月1日にお亡くなりになった場合は、「平成28年10月1日相続」とします。

② 申請人

申請人は原則、相続人全員です。

つまり、相続人全員が申請書に押印するか(本人申請の場合)、相続人全員が委任状に記名押印(司法書士が代理する場合)する必要があります。

※【例外】
不動産の登記申請は、当事者全員で申請するのが原則です。

しかし、法定相続による相続登記は、相続人のうちの一人からでも申請が可能です。

ただし、申請人とならなかった相続人には、不動産の権利証である登記識別情報が通知されないと言うデメリットがあります。

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【申請書例】
相続人全員が申請人となる場合。

 

・相続人の内一人が申請人となる場合。

 

※申請人には氏名の前に(申請人)と記載し、押印します。他の相続人の押印は必要ありません。

3.遺産分割協議が成立した場合

法定相続による相続登記後、遺産分割協議にて、その不動産を相続する相続人が確定した場合、その他の相続人の持分の全部を移転する登記を行います。

例えば、相続人が「A、B、C」の三人で(それぞれの持分は均等)、Aがその不動産を相続する場合、BC持分の全部移転登記を行います。

登記原因日付は「遺産分割協議が成立した日+遺産分割」とします。

例えば、平成29年1月9日に遺産分割協議が成立した場合、「平成29年1月9日遺産分割」とします。

 

【申請書例】

・不動産を相続する相続人を「権利者」、それ以外の相続人を「義務者」とし、共同申請で行います。
・不動産を相続する相続人(権利者)が取得する持分を記載します。

4.まとめ

法定相続による相続登記と、その後の遺産分割による持分全部移転登記を行った場合、それぞれに登録免許税が発生します。

法定相続による相続登記を行う場合は、登録免許税の事も計算の上、行うようにしましょう。

文責:この記事を書いた専門家
司法書士 甲斐智也

◆司法書士で元俳優。某球団マスコットの中の経験あり。
◆2級FP技能士・心理カウンセラーの資格もあり「もめない相続」を目指す。
◆「相続対策は法律以外にも、老後資金や感情も考慮する必要がある!」がポリシー。
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