相続登記の費用を早く知りたい場合

不動産登記

こんにちは。司法書士の甲斐です。

今回の記事は、相続や売買による不動産の名義変更について、その費用を知りたい方向けの記事です。

(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

【事例】
Q.実家の名義が亡くなった父のままだった為、相続登記にどれくらいの費用がかかるのかを近所の司法書士事務所に電話をして聞き出そうとしたら、「大雑把な金額しか出せず、すぐには回答はできない」と言われてしまいました。

費用ぐらいはすぐに出せるのでは?と思っていたのですが、どうしてすぐに費用が出せないのでしょうか?

【回答】
A.すぐに費用が出せないのは、登記には「登録免許税」と言う実費が必要になるためです。

登録免許税を算出する為には、その不動産の評価額を調べる必要があり、その理由から費用をすぐに出す事ができないのです。

1.登録免許税とは?

相続等を原因として不動産の名義変更(登記申請)を行う場合、登録免許税が発生します。

登録免許税とは登録免許税法という法律に基づいて、登記申請を行う際に課税される国税です(具体的には印紙等で納付します)。

この登録免許税の計算方法ですが、不動産の課税価額に税率を掛けて算出します。

相続、売買等の名義変更(所有権移転登記)の場合、課税価格は固定資産課税台帳の価格(これを評価額と呼んでいます)となります。

※固定資産課税台帳・・・市町村が固定資産(不動産等)の状況及び固定資産税の課税標準である固定資産の評価を明らかにするために備えている台帳の事です。

つまり、不動産の評価額とは、固定資産税を算出する為の数字でもありますし、登録免許税を算出する為の数字でもあるのです。

この評価額は実際に市区役所等で評価証明書等を取得しないと分からない数字です。

その為、お電話等で相続登記の費用を司法書士事務所に問合せをしても、「だいたい20万~30万ぐらい」と言ったようにザックリとした回答しかできないのです。

2.評価額が分かる書類

① 評価証明書

「固定資産評価証明書」「固定資産課税台帳登録事項証明書」等と呼ばれているものです。

各不動産の評価額が記載されており、市区役所等で取得する事ができます。

記載事項は、固定資産の所有者、所在、地目・地積(土地)、種類・構造・床面積(家屋)、評価額等です。

登録免許税の計算のみであれば、この評価証明書で十分です。

② 公課証明書

「固定資産公課証明書」等と呼ばれるものです。上記の評価証明書の記載事項にプラスして、固定資産税の課税相当税額等が記載されています。

不動産の売買において、固定資産税の精算の為等に利用されています。

③ 名寄帳

上記2つの証明書は、不動産に対しての証明書等ですが、名寄帳はある人物が所有している不動産の一覧表です。

つまり、名寄帳は固定資産税課税台帳を所有者ごとにまとめたものです。

この名寄帳にも評価額が記載されています。

④ 固定資産税納税通知書

市区町村から不動産の所有者に対して、毎年4月頃に送付される通知書です。

この納税通知書にも不動産の評価額が記載されています。

おそらく不動産の評価額が記載された書類の中で、皆様のお手元にある確率が一番高い書類です。

3.固定資産税が課税されていない不動産の場合

上記の評価証明書等を見ると、該当の不動産の評価額が記載されているので登録免許税を計算できますが、世の中には固定資産税が課税されていない不動産も存在します。

例えば、下記のような私道です。

上記のような不動産の場合、家屋の所有者は私道の持分を取得しているのが一般的ですが、私道は固定資産税が課税されていない事がほとんどの為、そもそも評価額がありません。

評価額が分からなければ登録免許税は計算できない為、この場合司法書士は、管轄の法務局に対して登録免許税の計算の為の事前相談を行います。

(具体的には、私道に面しているいくつかの土地について1㎡当たりの評価額を算出、その平均単価に0.3%を掛けた数字を私道の評価額とします)。

つまり、法務局に相談する分、費用を算出するのに時間がかかるのです。

4.まとめ

このように、不動産の名義変更には登録免許税が欠かせないため、すぐには費用を出す事ができないのです。

(逆を言えば、評価額も分からないのに具体的は登記費用を回答する司法書士事務所は要注意です。テキトーな事を言っている可能性が高いです)。

もし、具体的な費用の数字をお知りになられたい場合は、固定資産税納税通知書等を持参して、司法書士事務所に見積もり依頼をして下さい。

そうすればかなり具体的な費用として見積書をお出しする事ができます。

もちろん、当事務所でも評価証明書等ございましたら、具体的な見積書を作成する事が可能です。

費用面でいくらかかるのかご不安な場合、お気軽にご相談下さい。

文責:この記事を書いた専門家
司法書士 甲斐智也

◆司法書士で元俳優。某球団マスコットの中の経験あり。
◆2級FP技能士・心理カウンセラーの資格もあり「もめない相続」を目指す。
◆「相続対策は法律以外にも、老後資金や感情も考慮する必要がある!」がポリシー。
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