こんにちは。司法書士の甲斐です。
今回の記事は、相続手続きに直面した30~40代の働く女性の方向けの記事です。
(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)
当事務所に相続の事でご相談、ご依頼される方は様々な年代の方がいらっしゃるのですが、最近特に多くなっているのが、個人事業主若しくは会社内で管理職として生き生きと働いている30~40代女性の方です。
この方々が相続手続きをご依頼される理由は様々です。例えば、
・相続人は他にもいるのだけど、誰もやってくれない。
・相続人は自分一人だけど、独身一人暮らしで誰も手伝ってくれない。
・離婚をして、子育てをしながら仕事をしているので、とてもそんな暇はない。
等々、相続手続きに関して悩みを抱えて、当事務所へご相談・ご依頼されています。
今回はその様な毎日忙しく働いている女性の方が、効率良く相続手続きを行う方法を、分かりやすく解説していきたいと思います。
1.相続財産を把握する
まずはどのような遺産があるのか、相続財産を把握する事から始めましょう。チェックすべきは下記の項目です。
・被相続人の財布の中のキャッシュカード
・自宅が持家の場合、権利証
・その他、証券会社等からの郵便物
・金庫の中身(開け方が分からない場合、鍵屋さんに開錠してもらいましょう)
等々です。
2.金融機関へ連絡する
相続財産のチェックが完了したら、銀行等の金融機関や証券会社に電話をします。その話すべき内容は、
・相続手続きを行いたい事。その相続手続きの為の書類の提出等は郵送でも大丈夫か?
・残高証明書を発行してほしい事、
等々伝えます。
特に重要なのは、上記の赤字の部分です。
金融機関によっては相続手続きを行うに際して、郵送でのやり取りが出来ず、最寄の支店の窓口に足を運ぶ必要がある会社があるからです。
平日は働いていて忙しいと思いますので、郵送で手続きが出来るのであれば、極力郵送を利用しましょう。
3.被相続人の戸籍謄本を取得する
続いて、被相続人の死亡時から出生まで遡った全ての戸籍(除籍・改正原戸籍)謄本を取得しましょう。
戸籍を出生まで全て遡る理由は、戸籍上で相続人を確定させる為です。
取得する通数ですが、相続手続きが郵送対応が可能な金融機関が何社あるかによって変わってきます。
金融機関が数社あって、全て郵送でのやりとりを行うと考えた時に、一通のみしか戸籍謄本等を取得していない場合、それなりに時間がかかってきます。
金融機関の数、郵送対応可能かどうかの事情に合わせて、取得する戸籍謄本の通数を変えて下さい(戸籍謄本等は金融機関がコピーを取った後、返却してくれます)。
なお、戸籍は郵送で取得が可能です。具体的な方法は各市区町村のホームページを参照して下さい。
4.金融機関へ残高証明書を請求する。
各金融機関に対して、残高証明書の発行を依頼します。
なお、通帳の記帳が出来れば残高証明書は必要ないのでは?と言った意見もありますが、全支店の残高証明書の発行を依頼すると、相続人が把握していない支店口座の発見につながります。
また相続税の申告の時にも必要になりますので、発行の請求をするようにした方が良いと思います。
5.不動産の評価証明書の取得
相続財産に不動産がある場合、不動産の評価証明書を取得しましょう。
(遺産分割協議時の遺産の評価の参考資料になりますし、相続登記にも必要になります。)
なお、戸籍と同様、郵送での取得が可能です。
6.遺産分割協議の準備
戸籍等の必要書類の取得と同時並行で、ある程度相続人間で遺産分割協議の準備(誰が何を相続したいのかの根回し)をしておくと時間の短縮になります。
7.遺産分割協議及び各相続財産の名義変更
遺産分割協議は全員が同じ場所に集合する必要はありません。
上記の遺産分割協議の準備がしっかりと出来ていれば、遺産分割協議書を郵送で回して署名・実印を押印をする方法でも問題はありません。
遺産分割協議書に相続人全員が署名・実印にて押印を行えば、後はそれを基に各相続財産の名義変更を行うだけです。
その後、相続税の申告が必要であれば、相続税の申告を行います。
8.まとめ
相続財産の種類が少ない場合は特に意識する必要は無いと思うのですが、相続財産の種類が多くなると、やはり効率を考えたやり方が必要になります。
そのポイントは、平日仕事を休まなくても良いように、郵送での手続きをフル活用する事と、それに伴って戸籍謄本等の取得通数を調整する事です。
それでも「忙しくて自分で行うのはとても無理!」と思われた場合は、お気軽に当事務所にお問い合わせ下さい。
司法書士は皆様を代理して相続手続きを行う事が出来ます。