相続手続きを専門家に依頼しないで行う場合の基本的な考え方

相続一般

こんにちは。司法書士の甲斐です。

「相続手続きって難しいですか?自分でも出来ますか?」

相続の相談を承っていますと、この質問を良く受けます。

今回はこの「相続手続きは自分で出来るのか?」をテーマにしてお話していきたいと思います。

インターネットで検索しますと「相続手続きは自分でも出来ます!」と専門家が語るWebサイトが良くあるのですが、「なぜ自分でも相続手続きが出来るのか?」と言った理由をきちんと明記していないサイトが多いと感じます。

(そもそも、名前や資格を明らかにしておらず、本当に専門家が作成しているサイトなのかが怪しいですが・・・)

上記の質問に関しては、正直なところ、相続手続きは自分でも出来るかもしれませんし、出来ないかもしれません。

それはハッキリ言ってしまえばケースバイケースなのです。

ただ、一つだけ言えるのは、『相続手続きをきちんと勉強しようとする意思と努力、そして時間をかける事』が大前提です。

この大前提をクリアーすれば、相続手続きをご自分で行う事が出来ます。

それでは、相続手続きを具体的に細かく分けて、それぞれの相続手続きにどのような難しさ、苦労する点があるのかを見て行きましょう。

1.戸籍の収集とその読み取り

相続手続きで一番最初に行うべき事は、相続人の範囲を確定する為に、被相続人の出生から死亡時までの全ての戸籍(除籍・腹戸籍)を取得する事です。

ところで、なぜ被相続人の全ての戸籍が必要か分かりますか?この点を理解していないと、おそらくご自分で相続手続きを行うのは難しいと思います。

少し考えてみて下さい。

どうでしょうか?しっかりと考える事は出来ましたでしょうか?それでは回答します。

⑴ 法務局や各金融機関は、あなたの家庭の事情は分からないから。

皆さん、ご自分の家庭の事は、当然良く分かっていらっしゃると思います(子どもが何人いるか?なんて分かるの当たり前ですよね?)

しかし、相続手続きを行う法務局や各金融機関等は、あなたのご家庭の事情は分かりません。

その為、戸籍謄本等で、相続人が誰なのかを客観的にする必要があるのです。

⑵ 除籍された家族は、被相続人の最後の戸籍に載っていない可能性がある。

例えば父A、母B、子供C、Dの家庭があったとします。Dが結婚してAの戸籍から除かれた(除籍)後、Aが本籍地を変更して、Aの新しい戸籍が作成された場合、Aの戸籍に載っているのはA、B、Cのみです。

つまり、Aの最新の戸籍には、除籍したDは載っておらず、最新の戸籍だけを見てもAの相続人の範囲を確定させる事は出来ないのです。

その為、被相続人の全ての戸籍が必要となります。

人は死ぬまで同じ本籍地である事は、ごく稀です。

通常は遠方へ引っ越しを行った時等に本籍地を一緒に変更しています。

その為、戸籍同士がどのように繋がるのかを理解していないとダメなのですが、これが結構難しいのです。

実際に「戸籍は全て集めてきました」とご依頼者の方から戸籍をお預かりする事があるのですが、ほとんどの場合繋がっておらず、途中で戸籍が抜けていたりします。

特に戦前と戦後の戸籍では、戸籍そのものの趣旨や見方が異なる為、戸籍を正確に読み取るのに非常に時間がかかる事があり、慣れるまで一苦労するのです。

2.財産の調査

相続財産がどれくらいあるのかの調査も相続手続きでは苦労する事があります。

被相続人がご自分の財産をご家族の方に分かりやすくしていれば問題はないのですが、通常はそのような事はしてくれていません。

そうすると、家の権利証を引っ張り出したり、通帳をかき集めたり等、財産調査を行う必要があります。

それでも「被相続人の生前の暮らしぶりから考えて、明らかに遺産が少ない」と言う事も十分にありえます。

そうすると次の手段としては、近所の金融機関からローラー作戦で被相続人名義の口座が無いかをチェックしていく必要があります。

これは容易に想像出来ると思うのですが、非常に手間と時間がかかります。

3.遺産分割協議の問題

相続人の範囲も確定出来て、遺産の調査が終われば、(遺言がなければ)いよいよ遺産分割協議です。

「遺産分割協議なんて、相続人が好きな遺産を選べば良いんだろう?」と言う豪快な性格な方であれば、通著無く(もめる可能性はありますが)遺産分割協議を行う事は出来ると思います。

しかし、遺産分割協議なんて、ほとんどの方は初めての経験です。

どうすれば良いか分からずストレスを感じてしまう事もあるでしょう。

後々相続人間でもめない為に、遺産分割協議のやり方をインターネットや書籍で調べてたけど、やっぱり良く分からない等、人によっては調べるだけで精神的に疲弊してしまう方もいらっしゃいます。

4.まとめ

以上、簡単に相続手続きにおいて苦労しそうな点を挙げてみました。

何度も言うように、相続手続きは一生に一度あるかないかの出来事です。

皆様が同じように初心者です。初心者だからこそ、きちんと勉強する意欲と努力、時間が必要になってきます。

でもほとんどの方は暇ではないでしょう。

仕事をしている方、主婦の方、定年退職でリタイアしている方だって第二の人生があり、暇ではないでしょう。

ご自分の貴重な時間、生活を削ってでも相続について勉強する事が出来るのか?この点は十分に検討した方が良いでしょう。

当事務所では忙しいあなたの為に、戸籍の収集、遺産の調査、遺産分割協議のアドバイス、各遺産の相続手続を行っています。

また、個別事情によっては税理士や弁護士もご紹介しております。

相続手続きに関してはフルサポート出来る体制にありますので、あなたの貴重な時間を犠牲にしません。

相続手続きの事でお困り、お悩みの場合は、お気軽に当事務所にお問い合わせ下さい。

なお、実際の相続手続きの流れはこちらをご覧下さい。

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文責:この記事を書いた専門家
司法書士 甲斐智也

◆司法書士で元俳優。某球団マスコットの中の経験あり。
◆2級FP技能士・心理カウンセラーの資格もあり「もめない相続」を目指す。
◆「相続対策は法律以外にも、老後資金や感情も考慮する必要がある!」がポリシー。
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