相続をしたくない場合はどうすれば良いか?

相続・家族信託の専門家

こんにちは。司法書士の甲斐です。

今回の記事は、相続をしたくない事についてご相談、ご依頼されたい方向けの記事です。

(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

【事例】
Q:ある日、私宛に突然「相続について」と言う書面が届きました。

内容は数十年前から縁を切っている私の父と離婚した母親が亡くなった事、父と母が離婚をしていても、私は母の相続人になるので、その相続の事で連絡が欲しいと言う事です。

差出人は、母の再婚相手との間に生まれた子供でした。
 
母は数十年前に父と私を裏切り、家を勝手に出て行きました。

今さら私が相続人であると言われても、正直なところ母の事には関わりたくはありません。

母について相続をしたくない場合は、一体どのような手続きを行えば良いのでしょうか?

1.そもそも相続とは?

相続をしたくない、との事ですが、そもそも「相続」とは何なのでしょうか?

当たり前の事かもしれませんが、まずは相続の事についてきちんと定義していきたいと思います。

相続とは、亡くなった人の権利義務を引き継ぐ事です。「権利」とは、不動産や現金・預貯金と言った財産や、他人への貸付等の事です。

「義務」とは、他人から借金をしていた場合の、その支払い義務等の事を指します。

なお、「亡くなった人固有の権利義務」に関しては相続されません(扶養請求権や生活保護受給権等)。

このように、亡くなった方の権利義務は相続人に受け継がれるのが原則です。

しかし、時には相続の事に関わりたくない時があるかも知れません。

特に事例のような状況であればなおさらだと思います。

その為、「相続をしたくない事」について、法律上様々な手続きが存在します。

2.相続人ではなかった事になる「相続放棄」

相続放棄は文字通り、相続を放棄する事です。

その結果、初めから相続人ではなかったとみなされますので、基本的に相続について一切関与する必要がなくなります。

なお、「初めから相続人ではなかった事」になりますので、その手続きは厳格です。

家庭裁判所に対して申述する事でしか相続放棄は出来ませんし、相続の開始を知った日から三ヶ月以内に行う必要があります。


(通常は被相続人が亡くなった日、事例の場合は書面を受け取った日から三ヶ月となります.)

 
相続人では無かった事になりますので、被相続人が多額の借金を残していた場合は非常に有効な手続きです。

その他、色々な注意点があります。詳細は下記をご参照下さい。

相続放棄の全知識。判例を理解し、三ヵ月後でも相続放棄を受理してもらえる方法
こんにちは。司法書士の甲斐です。今回は相続放棄について、基本的な事から応用編でもある期限を過ぎた場合の相続放棄について、分かりやすくお話したいと思います。1.相続放棄とは?家族の方がお亡くなりになり相続が発生すると、被相続人が持ってい...
相続放棄後に注意すべき点
こんにちは。司法書士の甲斐です。今回の記事は、相続放棄をされた方対象で、相続放棄後の注意点について解説していきたいと思います。(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)【事例】 Q:私の父が先日亡くなりました。遺...

3.自己の相続分を他人にあげる「相続分の譲渡」

法定相続人にはそれぞれ相続分があるのですが、この自己の相続分を他の相続人や相続人ではない第三者に対して譲渡する事が出来ます。

これが「相続分の譲渡」です。相続分を譲渡しますので、その後の遺産分割協議等から離脱する事が出来るのですが、相続放棄とは異なり、相続分を譲渡しても相続人のままです。

その為、被相続人の借金の支払い義務等はそのままになります。

例えば、相続人がA、B、Cの三人(相続分は均等)で、Cが自己の相続分をAに譲渡した場合、Aの相続分は3分の2、Bの相続分は3分の1になります。

相続分の譲渡は譲渡したい人と譲渡されたい人の意思表示で成立します(つまり、相続分を欲しいと思ってくれる人がいないと相続分の譲渡はできません)。また、相続分の譲渡は有償でも無償でも、どちらでも大丈夫です。

なお、相続放棄のような期間制限はありません(ただし、遺産分割協議成立後はさすがにダメでしょう)。

4.単独でも出来る「相続分の放棄」

相続放棄ではなく、相続分「の」放棄です。

全く違いますのでご注意下さい。相続分の譲渡と似ているのですが、相続分の放棄は、自己の相続分を放棄する事です。

また、単独で行う事が出来るのが相続分の譲渡とは違う点です。

相続分の放棄を行っても相続人のままである事、期間制限が無い事は相続分の譲渡と同じです。

5.遺産分割協議で何も相続しない

遺産分割協議で何も相続しなければ、結果的に上記の相続分の譲渡や相続分の放棄と同じ効果が得られます。

事例のように、そもそも相続人間での話し合いが難しい場合は適さないのですが、話し合いが出来るのであれば、選択肢の内の一つに挙げても良いと思います。

6.まとめ -何もしない、と言う選択肢はダメ-

このように、相続をしたくない場合は様々な切り口があります。

その時の状況に合わせた一番良い方法を選択すると良いと思います。

なお、関わりたくないから何もしない、と言うのはやめた方が良いでしょう。

関わりたくなくても相続人である事には変わりがありませんし、他の相続人も困ってしまいます。

最終的には遺産分割調停や審判と言った流れになりますので、相続に関わりたくなくても、必ず何かしらの手続きを行うようにしましょう。

当事務所では相続放棄等、相続したくない場合のご相談も承っております。

相続したくない事についてお困り、お悩みの場合はお気軽に当事務所にお問い合わせ下さい。

【本サイトでは、相続手続きや家族信託について網羅的に解説しています。今後のご参考にもなる情報でもありますので、よろしければブックマーク等を行い、後からでも閲覧できるようにする事をお勧めします。】

 

⇒トップページに戻る

この記事を書いた専門家

横浜市泉区の司法書士です。法律・老後資金・感情等多角的な視点から、自分らしい人生を送る為の認知症対策、相続対策をご提案します。元俳優/福岡県北九州市出身/梅ヶ枝餅、かしわめし弁当が大好き/趣味は講談/

無料相談実施中
当事務所では相続・家族信託に関する相談会を行っております。初回のご相談は無料です。難しい法律の世界を分かりやすく、丁寧にお話しします。お気軽にお問い合わせ下さい。
相続・家族信託の専門家
横浜相続困りごと相談室(司法書士甲斐智也事務所)
タイトルとURLをコピーしました