
こんにちは。司法書士の甲斐です。
今回の記事は、相続人ではない第三者が、相続について口を出してきて困っている方向けの記事です。
(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)
【事例】
Q:父の相続の件で、兄嫁が口を出してきて困っています。
私の父は数か月前に亡くなり、相続人は母と長男、そして次男の私の三人です。
父の遺産は自宅と預金、そして有価証券があるのですが、この遺産分割協議に兄嫁が口を出してきます。
母と兄、私の中ではある程度話し合いはついているのですが、兄嫁は少しでも兄の取り分を増やしたいのか、私に対して特別受益があるとか、兄には寄与分があるとか、色々と兄に言ってきています。
このような場合、法律的に兄嫁を排除する何か良い方法はないのでしょうか?
1.相続人以外の者が相続に口を出すトラブル
実は相続人以外の者が相続について口を出してきて、話がまとまらないと言う事が良くあります。
世話好きな親戚の叔父さんが良かれと思って色々と相続人に入れ知恵をしたり、事例のように間接的に利益を受ける、相続人の配偶者が口を出して来たり、様々な状況があります。
この相続人以外の者が口を出す事で、相続人間で話がまとまらない事もあるので、場合によっては何らかの対応を行った方が良いでしょう。
2.口を出してくる相続人以外の者への対応
① 完全に無視をして、相続人だけで話し合う
そもそも、相続人ではありませんので、相続の事に対して口を出す権利はありません。
その為、兄嫁等、相続人ではない者がいない場所で、相続人間のみで遺産分割協議を行う方法があります。
法律的に対処する、と言う観点で考えた場合、この対応方法がベストでしょう。
ただし、これは相手の気持ちを考えない、一刀両断的なやり方です。
今後の親族間の付きあいに深い溝を残す可能性がありますので、注意が必要です。
相続に口を出している人が、単に自分の配偶者の事や家族の経済状況を考えているだけであり、話し合いの余地があるのであれば、無視をするのは逆に危険な状態になるでしょう。
逆に「自分の言っている事が絶対に正しい」と、人の意見を聞く耳を持たないタイプであれば、無視した方が話がスムーズに進みます。
なお、遺産分割調停を申し立てる、と言う方法も考えられますが、そもそも相続人間でもめているわけではありませんので、その実益は少ないでしょう。
② 遺産分割協議の場に同席してもらう
そもそも、相続人の配偶者と言った、相続人ではない者が相続に対して口を出してくる理由はちゃんとあります。
相続人は家族として長年の関係性からお互いに分かりあっていたりするのですが、相続人ではない者、特に兄嫁といった存在は家族の中にある日突然入ってきた存在だからです。
その為、家族の関係性なんて関係がないのです。
そうであれば、相続人ではない者も遺産分割協議に参加してもらい、しっかりと正面からお互い話し合って、理解し合うのも一つの方法です。
相続人ではない者の意見は外野から飛んでくるヤジのようなものです。
そうであれば一緒に遺産分割の事に真剣に考える事で考えが変わる事もあるでしょうし、その後の親族としての付きあいも平穏なものになるのではないでしょうか?
なお、同席してもらう上での注意点は、絶対に説得しようとしない事です。
相続人以外の方にもそれなりの考えがあり、意見をしているのです。それは最大限尊重してあげましょう。
3.まとめ
相続人以外の者が口を出してきて、話がまとまらない時の対処方法は、ケースバイケースです。
遺産分割協議の場に同席して上手くいく事もありますし、逆の場合もあります。
それは相続の事について口を出している人の性格やその目的によって変わってきます。
まずはその人の考え、気持ちを理解するのが重要だと思います。
法的に排除するとか、そう言った話はその後でも全然遅くないと思います。
なお、同席したら逆にケンカになりそうな場合は、利害関係が無い第三者にも同席してもらう方法が考えられます。
当事務所でも、このような状態であっても遺産分割協議が問題なく行えるようにサポートを致しますので、お困りの場合はお気軽にお問い合わせ下さい。