相続人がどこにいるか分からない場合

【事例】
Q:先月、父が亡くなりました。四十九日も終わりましたので、そろそろ相続手続きを行いたいと思っているのですが、その事で困った事があります。

父の相続人は子供である私と妹なのですが(母は既に他界しています)、実はこの妹の居場所が全く分からないのです。妹は数十年前に家出をしてしまい、それ以来手当たり次第に探したのですが、誰も居所が分からないのです。個人的に思い当たるところは探したのですが、住所を転々としているようで、結局現在の所在地が分からない状態です。

居場所が分からないといっても、妹も父の相続人ですので、妹を無視して相続手続きを行う事は出来ないと思います。相続手続きは試事情がない限り三ヶ月以内にしなくてはいけないと言われましたので、何とか期間内に手続きを行いたいのですが、この場合はどこにどのように相続手続きを頼んだらよろしいのでしょうか?

A:「三ヶ月以内」と言う期間は、あくまで相続するかしないかを決める期間です。三ヶ月で相続手続きを全て終了させる必要はありません。なお、相続人が住民票の調査を行ってもどこにいるのかが分からない場合、最終的には不在者財産管理人等の制度を利用して、相続手続きを行う必要があります。

 

1.相続開始後の「三ヶ月」の正確な話

まず、相続開始後「三ヶ月」の事について解説していきたいと思います。相続のご相談を承っていますと、高確率で「相続手続きは三ヶ月以内にやらなくてはいけないんですよね?」と言うご質問を受ける事があります。

おそらくご相談者は相続手続きについて書籍やインターネット等で調べられて「三ヶ月」と言う期間を知ったのだと思うのですが、この「三ヶ月」と言うのは、あくまで相続するか(単純承認)しないか(相続放棄)、若しくはプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を支払う限定的な相続をするか(限定承認)と言う事を決める期間であって、相続手続きを完了させなくてはいけない期間ではありません。

その為、三ヶ月以内に全て終わらせる!と気合を入れなくてもとりあえずは大丈夫ですので、落ち着いて手続きを行いましょう。なお、相続放棄や限定承認についての詳しい説明は下記をご覧下さい。
 
限定承認とは?

相続放棄とは?

 

2.相続人がどこにいるのか分からない場合の解決方法

① 住所を調べる

⑴ 該当の相続人が婚姻等行っておらず、両親の戸籍に入籍されたままの場合。
まずは住所を調べる事が出来ないかを検討します。一番早いのは該当の相続人の住民票を取得する事ですが、兄弟姉妹の住民票を取得する事は原則出来ません。その為、実務上良く利用するのは「戸籍の附票」の取得です。

「戸籍の附票」とは、戸籍と同じように作成されるもので、その人の住所の履歴が一目で分かるものになっています。つまり「該当の相続人が婚姻等行っておらず、両親の戸籍に入籍されたままの場合」であれば、両親の戸籍の附票を取得する事により、該当の相続人の住所も判明します。
(両親の戸籍の附票は、子どもは何の制限も無く取得する事が可能です)。

⑵ 該当の相続人が除籍していた場合
該当の相続人が婚姻等を行い、両親の戸籍から除籍をされていた場合、該当の相続人の戸籍等の取得は正当な理由がなければ出来ません。正当な理由とは、今回のケースで言えば遺産分割調停の申立ての為とか、不在者財産管理人選任申立ての為とか、そのような事が該当します(実際に取得する場合は、市区役所の窓口に確認して下さい)。

② 住所を調べても居場所が判明しない場合

住民票の住所にいってみても相続人がいなかった、若しくは住民票そのものを入手する事が出来ず、該当相続人がどこにいるのかが分からない場合、最終的には家庭裁判所に対して不在者財産管理人の制度を利用し、問題を解決する方法があります。

不在者財産管理人が該当相続人の法定代理人となり、他の相続人と遺産分割協議を行う事により、相続手続きを完了させる事が出来ます。なお、この場合、不在者の不利になるような遺産分割協議は出来ないと言うところに注意が必要です。

不在者財産管理人の制度についての詳細については、こちらをご覧下さい。
相続人が行方不明な場合(不在者財産管理人とは?)

③ 失踪宣告について

なお、このような「相続人の居場所が分からない」と言うご相談の時に、まれに「失踪宣告の申立てを行えば良い」とアドバイスを行う専門家がいます。

失踪宣告とは、ある人が一定の期間生死不明になっている場合に、家庭裁判所に失踪宣告の申立てを行う事により、対象者を法律上死亡したものとみなし、財産関係や身分関係について法律上の効果を発生させる制度です。

不在者財産管理人制度と似たような制度なのですが、違う部分は、「法律上、死亡したとみなす」事です。非常に強力で強引な制度ですので、不在者財産管理人の制度が利用できるのであれば、失踪宣告は避けた方が良いでしょう。

 

3.まとめ 

相続人の一人が連絡が取れないと言うのは非常に厄介なのですが、無視をする事は出来ませんので、法律上の制度を利用して速やかに問題を解決する事が重要です。

なお、司法書士に相続登記等の相続手続きのご依頼を頂けましたら、連絡が取れない相続人の住所を調査する事が可能な場合があります。相続人がどこにいるのかが分からずお困り、お悩みの場合はお気軽にお問い合わせ下さい。

 

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー

合格率2~3%台の司法書士試験を、4年間の独学を経て合格。

心理カウンセリングの技術を応用して、もめない相続の実現を目指す専門家。

不動産や銀行預金等の相続手続きの他、心理カウンセラーが行う心理療法であり心理学のひとつ、「交流分析」「認知療法」をベースにして、法律と感情面の双方から、相続人間のコミュニケーションが円滑になる為の多角的なサポートを行っている。

丁寧な言葉で厳しい発言をする(でも愛はある)。

元俳優。アクションが得意でTVドラマ出演やヒーローショーの経験もあり。

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