こんにちは。司法書士の甲斐です。
今回の記事は、相続人の順位についてご相談されたい方向けの記事です。
(なおご紹介する事例は、非常に良くあるご相談を参考にした創作です。)
【事例】
Q.数か月前に主人の父(A)が亡くなりました。
Aには配偶者がおらず、子どもは主人(D)も含め3人です。
しかし、主人はAが亡くなる以前に既に死亡しています。
先日、相続の事を話し合う為に親族が集まったのですが、その時にAの相続人は、Dは亡くなっているのだから、CとEだけだと説明を受けたのですが、本当なのでしょうか?
A.本事例におけるAの相続人はAの子どもであるC、E及びDの子ども(Aにとっては孫)のFです。
1.相続人となれる者
相続は、被相続人の死亡により開始され、被相続人が有していた財産や権利は相続人が引き継ぐ事になります。
そして、この相続人になれる者及びその順位は民法で決められています(民法第887条、889条)。
・第2順位 被相続人の父母。父母がいない場合は祖父母等+被相続人の配偶者
・第3順位 被相続人の兄弟姉妹+被相続人の配偶者
第1順位の相続人がいない場合は第2順位、第2順位の相続人がいない場合は第3順位の相続人に、と言うように相続人は変化します。
なお、上記の通り、被相続人の配偶者は常に相続人になります。
2.相続人が先に亡くなっていた場合
では、事例のように被相続人の子どもが被相続人より先に亡くなっていた場合はどうでしょうか?
その者を除いた他の子どもが相続人となるのでしょうか?
実はこの場合、被相続人(A)の子ども(D)に子ども(F)がいた場合、その子ども(F)が相続人になります(民法877条2項)。
これを『代襲相続』と呼びます。
もし被相続人の子どもが生きていた場合、被相続人の財産を相続する事ができ、その財産をいずれはその子どもが相続する事になります。
それなのに、たまたま被相続人の子どもが被相続人より先に亡くなった場合に相続できないとすると、不公平が生じます。
その為に設けられた制度が代襲相続の制度です。
ちなみに、上記の事例でFも先に亡くなっていた場合でその子どもがいれば、その子どもがAの相続人となります。これを再代襲と言います。
なお、代襲相続は上記のように被相続人の子どもが相続人より先に亡くなった場合以外にも、相続人が欠格事由に該当したり、被相続人から廃除され、相続権を失った場合にも発生します。
(ちなみに相続放棄を行っても代襲相続は発生しません。)
また、被相続人の兄弟姉妹が相続人となる場合にも代襲相続の制度の適用があります(ただし、再代襲の適用はありません)。
3.代襲相続人が未成年の場合
代襲相続が発生した場合、その性質上、代襲相続人が未成年者である事は良くあります。
未成年者が法律行為を行う場合、両親の同意の下に行うか、もしくは両親が子どもを代理する必要があります。
遺産分割協議を行う場合も例外ではありませんのでご注意下さい。
4.まとめ
誰が相続人になるか?については様々なWebサイトや書籍等で解説されており、一般の方でも良くご存じの事柄なのですが、それでも正確に理解されていない方も多いのが現状です。
正しく相続人を確定していないと、相続人を除外したまま遺産分割協議を行う事になり、結果としてその協議は無効となります。
少しでもご不明点等ございましたら、専門家にご相談する事をお勧めします。