相続人以外の人から権利を主張されている場合

こんにちは。横浜市泉区の相続専門司法書士の甲斐です。今回の記事は、相続人以外の方から権利を主張されている事についてご相談、ご依頼されたい方向けの記事です。(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

【事例】
Q:先日、母が亡くなりました。父は私が小学生の頃に母と離婚した為、母の相続人は娘である私一人のみです。特に相続に関して紛争や問題等無いはずなのですが、母の遺産である預貯金を巡って、伯父がその権利を主張して、非常に困っています。伯父が言うには伯父と母は生計を一つにしていたのだから、母の財産は伯父の財産であると言って、母の通帳を渡してくれません。

母は数年前から病気になり、ほとんど寝たきりの状態になりました。本来であれば私が介護を行うべきだったのかもしれませんが、伯父は自営業を行っており、かつ独身だったのですぐに身動きが取れると言う理由で、母と一緒に暮らして母の介護をして頂けるようになりました。

伯父には母の介護をして頂き、大変感謝しているのですが、母と生計を一つにしていたからと言って、母の遺産の全てが伯父の物になるのでしょうか?全てでは無くても何割かは伯父の物になるのでしょうか?また、法定相続人は私一人ですので、伯父を無視して相続手続きを行う事は、何か法的に問題はあるのでしょうか?

 

1.生計を一つにしていたら、遺産を取得する事は出来るのか?

生計を一つにしている、つまり、同居をしていて生活費に一体性が見られる状態であれば、相続に関して遺産を取得できるかですが、被相続人が遺言を残していない限り、生計を一にしていたとしても、相続人では無ければ、遺産を取得する権利はありません。つまり、事例に出てくる母名義の預貯金は、相談者が相続する事になります。

なお、母名義の預貯金であっても、実際は伯父名義の預貯金であると主張してくる事が稀にありますが、それを主張・立証すべきなのは相手方ですので、仮にこのような主張をされたとしても、現段階では相談者は何も対応する必要はありません。

また、伯父は母の介護をしていた為、いわゆる寄与分を取得出来るのでは?と思われるかもしれませんが、寄与分を取得出来るのは、あくまで相続人のみです(民法第904条の2)。伯父は相続人では無いため、寄与分も取得する事は出来ません。

 

2.対応策

① 口座を凍結させる

伯父が遺産に関する権利が無いとは言っても、実際に伯父が母のキャッシュカードや通帳を管理している場合、いつ預貯金を引き出されてもおかしくはありません。その為、金融機関に母が亡くなった事を知らせ、早急に母の預金口座を凍結すべきです。口座が凍結されれば、もう伯父は母の口座から預貯金を引き出す事が出来なくなります。

② 口座の相続手続き

口座が凍結出来れば、後は金融機関の指示に従って預貯金の相続手続きを行いましょう。必要な書類は、金融機関によって多少違いますが、概ね以下の書類が必要になります。

・金融機関所定の相続手続きの用紙
・被相続人の死亡時から出生まで遡った戸籍(除籍)謄本
・相続人の戸籍謄本
・相続人の印鑑証明書、等

 

3.まとめ

相続人以外の者が権利を主張する事は良くあります。その場合はもめる可能性が非常に高く、時間をかければかける程、預貯金を勝手に引き出される可能性が高まります。被相続人のキャッシュカードや通帳が無くても、口座の凍結は出来ます。まずは大至急、金融機関に連絡を取り、口座の凍結を行うようにして下さい。

 

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー

合格率2~3%台の司法書士試験を、4年間の独学を経て合格。

心理カウンセリングの技術を応用して、もめない相続の実現を目指す専門家。

不動産や銀行預金等の相続手続きの他、心理カウンセラーが行う心理療法であり心理学のひとつ、「交流分析」「認知療法」をベースにして、法律と感情面の双方から、相続人間のコミュニケーションが円滑になる為の多角的なサポートを行っている。

丁寧な言葉で厳しい発言をする(でも愛はある)。

元俳優。アクションが得意でTVドラマ出演やヒーローショーの経験もあり。

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