相続放棄後に注意すべき点

こんにちは。横浜市泉区の相続専門司法書士の甲斐です。今回の記事は、相続放棄をされた方対象で、相続放棄後の注意点について解説していきたいと思います。(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

【事例】
Q:私の父が先日亡くなりました。遺産と呼べるものは自宅のみで、逆に父は借金をしていたようで、トータルで考えますと借金の金額の方が大きかったので、家庭裁判所に書類を提出して相続放棄を行いました。

それから約5年ぐらい経過したのですが、最近、全く面識がない弁護士から手紙が届きました。内容は「あなたが相続放棄されたご自宅の管理等はその後どうなっていますか?所有者がおらず空家状態で近隣の方が困っていますので、一度ご連絡下さい」と言う内容です。

相続放棄した事によって全ての手続きが完了しているはずなのに、このような手紙がきた事に不審に思って、法律に詳しい友人に聞いたところ「今そういう詐欺が増えているから連絡しては駄目。相続放棄は、家庭裁判所に書類を提出したらそれで手続きは終了になる。誰も相続しないのであれば、国庫に帰属する」と言っていました。

相続放棄の手続きが完了しているのであれば、正直怖いですので、この弁護士からの手紙は無視しても良いでしょうか?

A:おそらくその手紙は詐欺等ではなく、正当な理由があるものです。無視してはいけません。

 

1.相続放棄を行った場合

家庭裁判所に対して相続放棄の申述を行い、それが受理されると初めから相続人ではなかった事になりまので(民法第939条)他の相続人や次順位の相続人が相続する事になります。その為、相続放棄を行えば手続きが全て完了し、何もしなくても良いと思われがちですが、実は相続放棄を行ったとしても、その相続財産について一定の義務を負わなくてはいけないのです。

 

2.相続放棄後に行うべき事

① 相続財産の管理義務

相続放棄をした者は、他の相続人や次順位の相続人が相続財産の管理を始める事が出来るまで、自分の財産と同一の注意をもって、その相続財産の管理を継続しなくてはいけません(民法第940条)。つまり、相続放棄をしたからそれでお終いではなく、他の相続人等が相続財産を管理するまでは、きちんと管理する必要があるのです。

事例では空家になっていると言う事ですから、管理がされておらず草木が繁茂し過ぎて近隣住人に迷惑がかかっているのだと思います。

② 相続人がいない場合

相続人が相続放棄をして、結果的に相続人がいなくなった場合、相続財産は国庫に帰属する事になります。この点で言えば上記の「法律に詳しい友人」の説明はあっています。しかし、その為の手続きとして相続財産管理人選任の申立てを行う必要があります。家庭裁判所から選任された相続財産管理人が、相続財産を国庫に帰属させる為の手続きを行います。

なお、相続財産管理人については、こちらをご覧下さい。
相続人がいない場合(相続財産管理人)

 

3.まとめ

このように、例え相続放棄を行ったとしても、その相続財産の管理義務は他の相続人や次順位の相続人、もしくは相続財産管理人が管理出来るようになるまでは、管理を継続しなくてはいけません。最後まで責任を持って管理するようにしましょう。

司法書士は当事者のご依頼を受けて、このような財産の管理を行う事が出来ます。相続財産の管理について、お困り、お悩みの場合は、お気軽に当事務所にお問い合わせ下さい。

 

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー

合格率2~3%台の司法書士試験を、4年間の独学を経て合格。

心理カウンセリングの技術を応用して、もめない相続の実現を目指す専門家。

不動産や銀行預金等の相続手続きの他、心理カウンセラーが行う心理療法であり心理学のひとつ、「交流分析」「認知療法」をベースにして、法律と感情面の双方から、相続人間のコミュニケーションが円滑になる為の多角的なサポートを行っている。

丁寧な言葉で厳しい発言をする(でも愛はある)。

元俳優。アクションが得意でTVドラマ出演やヒーローショーの経験もあり。

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