相続放棄に関するQ&A

こんにちは。横浜のもめない相続の専門家、司法書士/上級心理カウンセラーの甲斐です。

今回の記事は、相続放棄についてご相談、ご依頼されたい方向けの記事です。

(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

相続放棄は、被相続人の借金を相続したく無い場合等で利用され、家庭裁判所に対して申述する事が必要ですが、その効果として初めから相続人ではなかったとみなされます(民法第939条)。

単純明快な手続きなのですが、その分一般の方の立場に立つと「この場合はどうすれば良いのか?」と疑問が出てくる事も多々あると思います。

今回はその相続放棄に関連する疑問を、Q&A形式で解説していきたいと思います。

 

1.相続放棄後の財産の管理

Q:最近、父が亡くなりました。

父の相続人は娘である私だけです。

財産は自宅の土地建物だったのですが、私は住む予定が無く、様々な事情から相続放棄を行いました。

最近、空家となった自宅の近隣の方から私宛に「雑草が生い茂って迷惑をしている」とのクレームが入るようになりました。

私は相続放棄をしており関係が無いと思うのですが、私には法律上の責任があるのでしょうか?

A:相続放棄を行った場合、その相続放棄によって相続人となった者が、相続財産の管理を始めることができるまで、自分の財産と同様の注意をもって、その財産の管理を行わなければいけません(民法第940条)。

つまり、相続放棄しても、新たな相続人に故人の財産を引き渡すまでそれを管理する義務があります。

事例の場合は、恐らく新たな相続人に土地建物の引渡しを行っていない事が想定される為、引渡しをするまできちんと財産の管理を行う必要があります。

 

2.公共料金を支払っても良いのか?

Q:先日母が亡くなったのですが、これと言った財産が無く逆に借金がある為、相続放棄を行う事を考えています。

母はアパートを借りて生活していたのですが、その電気代、ガス代と言った公共料金の支払いを請求されています。

もしこれらの公共料金を支払った場合、相続したとみなされて、もう相続放棄は出来なくなるのでしょうか?

A:確かに、相続人が相続財産の全部または一部を処分した時は、相続について単純承認をしたとみなされて、相続放棄が出来なくなります(民法第921条)。

ただし、保存行為および及び短期賃貸借(民法第602条)をすることは、単純承認したとみなされません(民法第921条1号但し書き)。

一時期公共料金を支払うのは処分行為とは言えない為、相続放棄が出来ると思われます。

 

3.相続放棄後に霊園の管理料を請求された場合

Q:私は父の相続について、相続放棄を行ったのですが、父が生前霊園の区画を購入し、その霊園の管理料を請求されています。

私は既に相続放棄をしているのですが、支払いに応じなくてはいけないのでしょうか?また、支払ってしまったら相続した事になり、相続放棄が取り消しになるのでしょうか?

A:民法は、通常の財産の相続と、お墓等の祭祀財産の承継とは全く別物として規定しており、祭祀財産は慣習に従って祖先の祭祀を主宰する者が承継する。但し、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰する者があるときは、その者が承継するとされています(民法第897条1項)。

つまり、相続放棄をしていても、祭祀財産を承継する事は可能ですし、祭祀財産を承継した場合は、霊園の管理料の支払い義務が発生します。

つまり、事例のご相談者様が祭祀財産の承継者であれば、霊園の管理料の支払い義務は発生しますし、そうでなければ支払い義務はありません。

なお、上記の慣習が明らかでないときは、祭祀財産の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定めます(民法第897条2項)。 

 

4.相続放棄後の財産の処分について

Q:先日叔父が亡くなり、相続人が全員相続放棄した結果、相続人がいなくなりました。

叔父はアパートを借りて一人暮らしをしていたのですが、そのアパートの大家から家財道具の処分や賃貸借契約の解除を求められて困っています。

相続放棄を行った事を説明したのですが、聞き入れてもらえず、逆に裁判をすると言われて大変迷惑をしています。

この場合、どうすればよろしいのでしょうか?

A:法律上、相続放棄を行えば勝手に家財道具や遺品の処分はできません。

相続放棄を行うと初めから相続人ではなかった事になるからです。

その為(大家さんには時間がかかって迷惑になると思うのですが)、家庭裁判所に対して、相続財産管理人の選任申立てを行い、選任された相続財産管理人が財産の処分や賃貸借契約の解除を行うのが、正式な法律上の手続きです。

なお、ご相談者の方が仮に裁判を起こされたとしても、相続人ではない為、適切に対応を行えば裁判に負ける事はありません。

 

5.まとめ

以上、単純に相続放棄と申し上げても、様々な論点がある事がご理解頂けたかと思います。

特に相続放棄前後の財産の処分行為に関しては、非常にデリケートな問題を含む事がありますので、少しでも疑問を持たれた場合はお気軽に当事務所にご相談下さい。

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー

合格率2~3%台の司法書士試験を、4年間の独学を経て合格。

心理カウンセリングの技術を応用して、もめない相続の実現を目指す専門家。

不動産や銀行預金等の相続手続きの他、心理カウンセラーが行う心理療法であり心理学のひとつ、「交流分析」をベースにして、法律と感情面の双方から、相続人間のコミュニケーションが円滑になる為の多角的なサポートを行っている。

元俳優。アクションが得意でTVドラマ出演やヒーローショーの経験もあり。

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