相続分に関するQ&A

こんにちは。横浜市泉区の相続専門司法書士の甲斐です。今回の記事は、相続分についてご相談されたい方向けの記事です。(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

相続が開始された場合、被相続人が有していた権利義務(一身に専属していたものを除く)は相続人に引き継がれます。この引き継がれる割合を「相続分」と呼ぶのですが、原則この相続分は民法で決まっています(法定相続分)。

・相続人が配偶者と子
→ 配偶者2分の1、子2分の1
(子が複数いる場合、2分の1×子の人数が子1人の相続分)

・相続人が配偶者と両親
→ 配偶者3分の2、両親3分の1
(両親が両名とも存命の場合、3分の1×2=6分の1が1人の相続分)

・相続人が配偶者と兄弟姉妹
→ 配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1
(兄弟姉妹が複数いる場合、4分の1×兄弟姉妹の人数が兄弟姉妹1人の相続分)

相続人が、子どものみ、両親のみ、兄弟姉妹のみで複数人いる場合、それぞれの相続分は均等になります。

相続人に関して、詳しくはこちらをご覧下さい。
相続における『相続人』とは?

しかし、この法定相続分を徹底していると、時には不平等な事が発生します。例えば、父親を自宅に引き取って、何十年も介護をしていたのに、介護を全く手伝わなかった兄弟と相続分が同じであれば、誰もがおかしいと思うはずです。今回はこの相続分にテーマを絞って解説していきたいと思います。

 

1.実家を何も手伝わなかった長男

Q:私の実家は自営業を行っており、次男である私が後を継ぎました。本当は兄である長男が後を継ぐべきなのですが、父と兄は折り合いが非常に悪く、兄は実家を出て行って滅多に帰る事はありません。

私は休日も返上して父の仕事を手伝い、父が引退してからも寝る間も惜しんで働きました。また、父が病気で倒れた後も妻と一緒に何十年も介護を行い、父を支えてきました。

その後、父は亡くなったのですが、全く何もしなかった兄と私が同じ相続分である事に納得がいきません。兄が納得できるように、何か法的にでも私に多く相続できる方法はありますでしょうか?

A:ご相談様は実家の事業を手伝っていましたので、その結果として被相続人(父)の財産の増加に貢献した場合、寄与分を主張する事ができる可能性があります(民法第904条の2)。また、被相続人の介護も行われていますのでこの点でも寄与分を主張する事ができる可能性があります。

注意点としては、話し合いで寄与分が決定できれば良いのですが、話し合いではまとまらず、家庭裁判所に判断を委ねた場合、寄与分は主張する者が、あくまでその金額の根拠を示す必要がある事です。例えば、家業の手伝いであれば、1日〇時間、〇年間働いた結果、被相続人の財産が〇千万円増加した、このような主張を行い、その証拠も用意する必要があります。

 

2.相続放棄を迫られている場合

Q:亡くなった父は、数十年前から認知症を患い、弟が自宅でずっと父の面倒を見ていました。私は他県に住んでおり、また仕事が非常に忙しい事もあり、父の面倒を見る事ができず、月に2、3回様子を見に行く程度で、ほとんどの事を弟に任せっきりにしていました。

先日父が亡くなり、相続の話になったのですが、弟や親戚から「あなたは父の面倒を一切見ていないのだから、相続する資格なんてない。相続放棄をしてほしい」と迫られています。確かに、私は父の面倒をほとんど見ていないのですが、遠方の県に住んでおり、子どももいて、仕事もあり、どうしても父の面倒を見る事ができなかったのです。この場合、私は相続放棄すべきなのでしょうか?

A:例え父親の面倒を見なかったからと言って、相続分が無くなるわけではありませんし、相続放棄を行う必要はありません。相談者の方にも様々な事情があったのですから、まずはそれを主張し、話し合いが調わなければ、家庭裁判所に対して遺産分割調停の申し立てを行う事で、問題を解決出来る可能性があります。

 

3.浮気相手との間に生まれた子どもの相続分

Q:私は実は、父と父の浮気相手の間に生まれた子どもで、非嫡出子(婚姻外の子)です。母は私が生まれてからすぐに亡くなり、そのまま父の家庭で育てられました。父の家庭は、奥さんと子どもが二人います。

父の家庭では、特に何不自由なく暮らしていたのですが、先日父が亡くなり、私は父と養子縁組をしていない事が分かりました(認知はされています)。この状態ですと、他の子どもと比べて、私の相続分は少なくなるのでしょうか?

A:従前は非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の2分の1だったのですが、平成25年12月5日、民法の一部を改正する法律が成立し、嫡出でない子の相続分が嫡出子の相続分と同等になりました。よって相談者の方は認知をされていますので、他の父の子どもと同じ相続分になります。

 

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー
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