それでも人が相続トラブルについて対策・予防を行わない根本的な理由

超高齢化社会を反映して、昨今様々なメディアや場所で相続に関連したセミナー等が開催されています。

その主だったものは相続税に関する事や、遺言等で相続トラブルを回避する事です。
 
相続トラブルについて、これだけありとあらゆる事例や対策方法が紹介されているのですから、相続に関する争いは減っているのかと言うと、けしてそのような事はありません。

どうして人は相続トラブルになる事が分かっていても何も対策を行わないのでしょうか?今回はその心理面にスポットを当ててお話をしたいと思います。

 

1.相続トラブルの対策・予防の視点がなかった為、相続トラブルに発展した事例紹介

まずは相続対策を行わなかった結果、どのようなトラブルに発展したのか、具体例を挙げてお話してみたいと思います。

① 数万円と引き換えに、数百万円余計に相続税を支払ったケース

山田太郎さん(仮名)は某税理士事務所に相談に訪れていました。

目的は、もし自分が亡くなった場合に、相続税の支払い義務が発生するのか?発生するとしたら、相続税を安くなる方法があるのか?と言うご相談です。つまり、相続税対策ですね。

山田さんの遺産は複数の種類に渡っており、税理士はその場では具体的な相続税対策のアドバイスが出来ませんでした。

その為、詳しく調査の上、後日レポートとして相続税対策を提案すると言う流れになったのですが、その為には数万円程の費用が発生する事を税理士は山田さんに伝えました。

しかし、山田さんとしては相談は全て無料で行ってもらうつもりで考えており、例えレポートであってもお金を支払うつもりはありませんでした。

その為、山田さんは相談を打ち切ったのですが、その後他の税理士事務所に相談する事なく、数年後に亡くなりました。

山田さんの相続手続きは滞りなく進んだのですが、相続税の申告の段階で問題が発生しました。もし山田さんが生前に相続税対策をしっかりと行っていたら、相続税が数百万円安くなっていた事が分かったのです。

相続人にとってみれば、本来必要のなかった必要のない出費を行う結果となったのです。

② 前妻との子供がいたが、何も相続対策をしなかったケース

再婚をされた方で、前妻との間に子供がいる方は、絶対に相続対策が必要と言えます。前妻との子供と、現在の家庭の間に交流がある事はごくまれなはずです。ほとんど交流の無い人間どうしの遺産分割協議はまとまらない事が多いのです。

鈴木一郎さん(仮名)も再婚しており、前妻との子供とは数十年間会っていません。今の家庭を守る為に、相続トラブルを未然に防ごうと遺言に関する相談を何度も専門家にしていました。

何度も専門家から相続対策の重要性の説明を受け、その必要性は十分に理解していたのですが、鈴木さんは当時50代であり、まだ遺言を書かなくても大丈夫だろうと思っていました。

しかしそのまま60代、70代になっても鈴木さんは「まだ大丈夫だろう」と思って、結局遺言を作成しないまま亡くなりました。

その後、前妻との子供とその他の相続人との間で遺産分割協議がまとまらなかった事は、容易に想像できるはずです。

 

2.人はなぜ将来のトラブルについて対策・予防をしないのか?

現在は情報社会です。相続トラブルに関して様々な情報が溢れています。相続対策の重要性は誰もが分かっているはずなのに、どうして何も対策・予防を行わないのでしょうか?

一言で言ってしまえば、相続対策を考える段階は、「まだ痛みを伴っていない段階」だからです。

痛みを伴わない、つまり、具体的な相続トラブルのイメージが湧かないから、「予防って大切だ」と分かっていても、具体的な行動を起こさないのです。

分かりやすい例が虫歯です。虫歯になって歯が痛くなったら、人は歯医者に行きます。しかし、虫歯予防の為に歯医者に行かれる方は少数派ではないでしょうか?

わざわざ歯が痛くないのに、歯医者に行くなんて普通の人は考えられないと思います。でも、虫歯予防の為に歯医者に通院している方もいらっしゃるのも、また事実です。

彼ら彼女らは、どうして虫歯でもないのに歯医者に通うのでしょうか?色々な回答があると思うのですが、やはり一番は「虫歯になった時に被る損害を身をもって知っているから」ではないでしょうか?

虫歯になれば歯を削ります。もっと虫歯が進行していれば抜歯が必要になるかも知れません。つまり、自分の歯が永久に無くなると言った大きな損害が発生する事を自分の事として理解しているのです。

それは自分自身が痛い思いをしたらから、もしくは周りの人間が痛い思いをしたから、具体的にイメージをする事が出来て、だからこそトラブル対策・予防の重要性を身に染みて理解しているのではないでしょうか?

相続対策もこれと同じです。世間にある相続トラブルは所詮は他人の家庭でのトラブルです。だから具体的なイメージが湧かない為、これをご自身の家庭に置き換えて考える必要があります。

遺産の性質から、家族構成から、配偶者の性格から、子供の性格から、多方面から具体的に検討し、相続トラブルの痛みを具体的にイメージする必要があります。

「当事者として具体的にイメージをする事」これが将来相続トラブルが発生して、多額の損害が発生するかしないかの境界線になるのです。

 

3.まとめ

人は自分にとって不都合な事は知りたくなく、めんどくさがりやで、腰が重く動かない生き物です。

だからこそ、世間にはどのような相続トラブルがあるのかを徹底的に知る必要があります。

世に溢れている相続トラブルを、ご自分の家庭に置き換えて考える必要があります。

これは大変な作業ですが、この手間をかける事で、将来相続人間で発生するかもしれない莫大な損害を予防する事が出来るのです。

無知は罪です。「勉強なんて嫌い」なんて思わずに、しっかりと学んでいきましょう。

 

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー
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