
こんにちは。司法書士の甲斐です。
今回の記事は、相続の事について、どこに相談すれば良いか分からない方向けの記事です。(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)
大切な家族の方が亡くなるのは突然です。
中には病気で余命宣告を受けている場合もあるかと思いますが、危篤状態になりお亡くなりになるまでの時間は非常に短いと思います。
大切なご家族がお亡くなり悲しみに暮れる中、また慌ただしい状況の時に、葬儀・法要を行い、役所関係の死後の手続きが終わり、ようやく相続手続きに取り掛かろうとした時に、ふと考えます。
「相続って、何をどうすれば良いんだ?どこに相談すれば良いのだ?」と。
相続は人間が一生の内にそう何度も経験する事ではありません。
その為、知らない事ばかりであるので、専門家へ相談したいと考える。
でも、相続の相談は一体どこにすれば良いのか?と悩んでしまう方もいらっしゃいます。
今回は、相続の相談はどこにすれば良いか?をテーマにして、各専門家が法律上出来る事(相談にのっても良い事)と、やってはいけない事(相談にのってはいけない事)を解説していきたいと思います。
1.そもそも、相続手続きとは?
実は、相続と一口に言っても、その言葉の中には様々な意味、手続きが隠されています。
相続のご相談をどこかに行う前に、まずはご自分が相談したい内容がどの相続の事なのかを、明確にする必要があります。
ざっと挙げてみても、
相続開始前であれば:
相続開始後であれば:
「相続」と言う言葉には、少なくともこれだけの意味が含まれているのです。
また、これだけの事を1人の専門家がノンストップで行う事は不可能で、必ず各専門家が連携する必要があります。
それでは、上記の相続に関して具体的にどこに相談するべきか、各専門家の特徴を解説していきます。
2.相続に関わる各専門家の特徴
① 司法書士
不動産の名義変更(相続登記)の専門家です。
また、不動産以外の相続財産(預貯金等)についても、相続人の方の依頼を受け、相続人の方を代理して名義変更を行う事が出来る専門家です。
また、相続財産の名義変更に伴って、相続人の調査(必要な戸籍の収集)や相続人の方が適切に遺産分割協議が出来るよう、アドバイスを行います。
遺産分割協議においては特定の相続人の為では無く、相続人全員の為の調整を行います。
なお、相続人間で争いが生じている場合は、そのまま手続きを行う事は出来ませんので、弁護士にバトンタッチしたり、ご自分で遺産分割調停を行いたい方の為に、家庭裁判所提出用の書類を作成します。
② 弁護士
相続の中で一番イメージをしやすいのが弁護士なのではないでしょうか?
遺言の有効性の争い、遺産の取り分の争い等、相続において法律上の争いが発生した場合、依頼人である相続人を代理し依頼人の利益を最優先するために、他の相続人との交渉を行います。
相続の場面で依頼者を代理して唯一「交渉」ができますので、相続でもめて自分達ではどうにも出来ない場合、非常に頼りになる存在です。
ただし、弁護士はあくまで依頼者の代理人であるため、例えば利害が対立する相続人全員の為に仕事を行う事が、職業倫理的に難しいという点も存在します。
③ 税理士
文字通り税金の専門家であり、相続税に関する相談、申告書作成等の業務を行います。
しかし、相続税の申告が必要な方はまだまだ少なく、相続税に精通した税理士の方も中々少ないのが現状です。
その為、いかにして相続税の実務に精通している税理士を探すか?がポイントになります。
(1年間の相続税申告件数を日本全国の税理士の数で割った場合、一人の税理士が年間取り扱う相続税の申告は平成29年現在で2件以下です。)
④ 行政書士
権利義務その他事実証明に関する書類を作成する専門家です。
相続においては相続人の依頼を受け、既に相続人間で整った内容をもとに遺産分割協議書を作成します。
なお、行政書士も紛争性がある相続には関与する事が出来ません。
3.まとめ -相続のスタートは司法書士にお任せ下さい-
このように、各専門家が法律上行う事が出来る事は決まっていますので、ご自分が抱えている相続がどの内容に該当するのかをしっかりと確認し、それに合った専門家にご相談すると良いと思います。
それでも、「相続の相談は一体どこにすれば良いのか分からない」と思われた方は、相続のスタートは司法書士にご相談下さい。
ほとんどの場合、相続財産の中に不動産が含まれますので、必ずどこかのタイミングで(ご自分で相続登記を行わない限り)司法書士へのご相談やご依頼が必要となります。
ご依頼内容を確認し、司法書士が出来る事は司法書士が責任を持って行い、他専門家の関与が必要であれば、信頼のおける専門家をご紹介致します。