
こんにちは。司法書士の甲斐です。
今回は本厚木で行いました、相続の出張ご相談のご紹介です。
(ブログに掲載する事は、ご本人様ご了承済みです。また、一部事実関係を変更しています。)
最近、本厚木に行く機会が多く、相続だけではなく、家族信託のご相談も承っております。
今回もたまたま当Webサイトをご覧になられた方からご連絡を頂き、出張にてご対応致しました。
1.本厚木でのご相談の内容
ご相談者は60代の女性です。
80歳のご主人が亡くなり、その相続手続きが一向に進まず困っている、とのご相談です。
詳しく内容をお伺いしますと、
・ご主人は遺言を残されていない。・ご主人の兄弟姉妹の中には既に亡くなっている方がおり、代襲相続人も含め、相続人が全員で7名。
・ご主人は会社を経営していてそれなりの資産はあるが、負債もある。会社名義の財産もある。
このような状態でした。
この段階で一番困ったのが、相続財産の状態です。
どのような財産がどれくらいあるのかが全く分からず、遺産が「とっちらかっている状態」なのです。
相続人は高齢の方ですし、代襲相続人は相続人としての感覚がありませんので、誰もリーダーシップを取らない状態だったのです。
この時点で、司法書士は相続人の方を代理して戸籍謄本の取得や相続財産の調査、遺産分割協議書の作成とその後の遺産の相続手続きを一括で行う事ができる事をお伝えしたところ、ご相談者に大変喜ばれました。
遺産の調査が大変な事、会社(株式)を誰が引き継ぐかと言った点が問題となるのですが、相続人間では遺産に関するもめ事はなさそうですので、その点に関してはスムーズに手続きが進むと思われるのですが、今回このご相談をご紹介しようと思った点は別にあるのです。
今回のケースは、少し前にTVで話題になりました、「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助氏の遺産相続の状況に良く似ているのです。
会社経営者である事、相続人の構成等、良く似ています。
野崎氏の遺産相続に関しては、その死因に不審な点が有る事が報道されていますが、ここではお伝えしたいポイントから外れますので触れません。
実は、野崎氏の遺産相続に関しては、私は前々から「大問題がある」と感じていたのです。
何だか分かりますか?
それは、野崎氏が「遺言」を残していなかった、つまり「ご自身の相続の事をキチンと考えていなかった」と言う点です。
2.本事例の遺産相続の最大の問題点
野崎氏は報道によりますと、77歳で亡くなったのですが、遺言を残されていなかったようです。
(噂レベルでは遺言を残していた!と言うサイトもありますが、証拠がない為、ここでは遺言を残していないと言う前提でお話します。)
その理由は、おそらく、「生涯現役」にこだわっていたからでしょう。
今回の被相続人の方もそうでした。
生涯現役にこだわり、亡くなる直前までお仕事をされていたそうです。
私も働いていますので、この「生涯現役」にこだわるお気持ち、分からなくはないのです。
しかし、生涯現役にこだわる事は、「ご自分の相続の事を考えなくて良い」と言う理由にはなりません。
生涯現役にこだわるのであれば、残される者たちのためにきちんと遺言等を残してあげるべきです。
事実、今回のご相談者を含め、関係者の方は相続財産の調査等について、かなり混乱されていました。
仮に被相続人の方が遺言とご自身の財産目録をしっかりと残されていれば、相続人の方やその他関係者の方は困らなかったはずです。
財産を残すと言う事は、それなりの責任があるのではないでしょうか?
3.まとめ
ご自分が死んだ後の事を考えると言う事は、気持ち良いものではありません。
しかし、生涯現役にこだわるからこそ、ご自身が亡くなった後も相続人の方がいつもと変わらない日常を送る事ができるように、今から準備をしておくべきではないでしょうか?
「自分が死んだ後の事なんか知らねーよ。相続人が勝手にやってくれれば良いんだよ。」
「財産の状況がグチャグチャだから、今自分が死んだらみんな困るはず。財産を整理して、遺言も残してあげよう」
どちらの行動を選択するかで、あなたの人間としての価値が分かります。
あなたは、どちらを選択しますか?