相続の失敗事例 -絶対に失敗出来ないからこそ知っておくべき事-

相続のご相談を承っていますと、既に相続について何らかの対応を行い、その結果として失敗してしまったので何とかしてほしい、と言うご相談を良くお伺いします。

当初は「取りあえず何とかなる」と言った感覚だっと思われるのですが、その予想が大きく外れて、場合によっては取り返しのつかない事に発展する事もあります。

そこで今回は、相続に関する失敗談と、どのようにすれば失敗を回避出来たのかを解説していきたいと思います。

1.何も相続しなかった母のその後

亡くなった主人の相続の事について、一人娘と話し合いをしていました。

娘は結婚していて家庭を持っており、経済的には何も問題はありません。

しかし、私の方の収入は年金のみですので、私は自宅を含め、なるべく多く相続したいと思っていました。

しかし、娘から「二次相続を考えれば、全ての財産を直接子供名義にした方が相続税が安くなる。

お母さんの月々の生活費は私が面倒を見るから」と提案を受けました。

私も娘に迷惑を掛けたくないし、それにどうせ自分が死んだら財産は娘のものになるのだから、と考え、結果主人の財産は全て娘が相続する事になりました。

ところが数ヵ月後、ふとしたきっかけで娘との仲が悪くなり、娘は私に対して生活費を用意するどころか、自宅が娘名義となってる事を良いことに、自宅を売却してしまいました。

私は何十年も暮らしていた、思い出が沢山ある自宅を追い出され、金銭的な援助も受けられず、誰とも会わず寂しく暮らしています。

【失敗を回避する為に】
二次相続の事を考えた場合、相続税が安くなると言う理由で全ての財産を直接子供名義にする相続税対策があるのですが、これはあくまで税金の面からしか考えていない相続対策です。

残された配偶者(親)の今後の生活をどうするか、と言った生活面には全く配慮していない為、事例のような事が十分に起こりえます。

その為、相続の話し(遺産分割協議)は、相続税のみに注目するのではなく、親の今後の生活をどうやって守っていくのか?を念頭に入れて行う必要があります。

事例の場合であれば、自宅とある程度の金銭を奥様が相続しておけば防ぐ事が出来たでしょう。

2.家族の中に認知症の方がいるのに、遺言を書かなかった父

亡くなった父の遺産分割協議を行うとしたところ、問題が発生しました。

父の相続人は母と2人の子供です。

母は数年前から認知症になっており、会話がほとんど出来ない状態です。

相続人の中に認知症者がいる場合、家庭裁判所から成年後見人を選任してもらう必要があると聞いた為、遺産分割協議の為に成年後見を利用しようとしたところ、成年後見制度は母が亡くなるまでずっと続き、その間弁護士等の成年後見人が母の財産をずっと管理する事になると言われ困っています。

また、弁護士等が成年後見人になったら、毎月の報酬も支払わなくてはいけないと言われていますし、さらに父の財産は子供達だけで分けようと思っていたのですが、成年後見を利用すると、母の法定相続分は絶対に確保しなくてはいけないと言われ、それについても困っています。

【失敗を回避する為に】
認知症等で意思能力、判断能力が無い場合、遺産分割協議を行う事が出来ない為、成年後見制度を利用する必要がありますが、それは上記のとおりデメリットも存在します。

このような失敗を回避する為には、父が遺言を作成する必要がありました。

遺言さえ作成していれば遺産分割協議を行う必要はなく、遺言のとおりに相続手続きが出来たのです。

3.財産は不動産だけなのに、相続税対策を行わなかった

相続税の事で困ってしまいました。

亡くなった父は不動産を沢山所有していたのですが、その反面、お金をあまり持っていませんでした。

その為、相続税の納付の為のお金を用意する事が難しく、不動産を売却しようとしたのですが、時間が無くて買主が見つからず、結局一旦自分達のお金で相続税の納付を行わなくてはいけなくなりました。

【失敗を回避する為に】
不動産が沢山あるけど現金(預金)が無い場合は要注意です。

まずは相続税の納税義務を確認し、相続税を支払う必要があれば、納税資金の用意を早めに行う必要があります。

不動産はタイミングによって買主が見つからない事があります。

その為、納税資金の用意の為に不動産を売却するのであれば早い時期から動き出す必要があります。

4.口約束だけで、遺産分割協議書を作成しなかった

数ヶ月前に亡くなった母の相続の事で、困った事が起きました。

母の相続人は私と弟の二人だけなのですが(父は既に他界)、母の遺産をどうするかを弟と話し合った時に、「遺産は全て兄貴が相続すれば良いよ」と言われました。

弟は結婚し、一流企業に就職しているので金銭的に苦労をしていなかったので、そのように言ってきたと思い、私もそれを当てにして今後の生活の事を考えていました。

ただし、兄弟間の事でしたので口約束だけで遺産分割協議書の作成はしませんでした。

しかし後日、弟から「やっぱり遺産は法律どおり半分ずつにしないか?」と言われました。

弟の勤務先の業績があまり良くないらしく、弟の給料が減らされた為でした。

今さら半分ずつと言われても、私にも色々と計画がありますし、それに最初は「兄貴が全て相続すれば良い」と言っていますので、私は自分の主張を曲げたくはありません。

その結果、話し合いがまとまらず、遺産分割調停を行う事になりました。

【失敗を回避する為に】
せっかく相続の話し合いがまとまったにも関わらず、遺産分割協議書をきちんと作成していない方がいらっしゃいます。

遺産分割協議書を作成しておかないと、後になって「やっぱりもっと相続分が欲しい」等、もめる原因にもなります。

相続の話し合いがまとまったら、必ず遺産分割協議書を作成するようにしましょう。

5.相続放棄の失敗

亡くなった父の相続の事で大失敗をしました。

父の相続人は、母と私達3人の子供です。

私達は父の遺産について、今後の母の生活を守る為に全て母が相続すれば良いと思い、子供達全員、家庭裁判所で相続放棄を行いました。

これで父の相続人は母のみとなったと思ったのですが、実は私達が相続放棄した結果、父の兄弟達が父の相続人になった事を知りました。

その為、母と父の兄弟達が遺産分割協議を行っているのですが、今までほとんど会った事がない間柄のため、話が中々進みません。

母も知らない人と話し合うストレスからか、体調を崩しがちになっており、大変困っています。

【失敗を回避する為に】
相続放棄を行った場合、その人は初めから相続人ではなかった事になります。

その為、第1順位の相続人が全員相続放棄してしまったら第2順位の相続人に、第2順位の相続人全員が相続放棄をしてしまったら第3順位の相続人に・・・と言うように、相続人が変わってきます。

事例の場合は母に全ての財産を相続させたいと言った趣旨ですので、単純に全ての遺産を母が相続する旨の遺産分割協議を行えば良かっただけです。

6.まとめ

このようにちょっとした勘違い、法律を知らなかった事により、取り返しがつかない結果が起こる事が、相続の場面では良く出てきます。

相続を人生の中で経験する事は非常に少ないと思います。

誰もが相続の素人です。だからこそ、ちょっとした事で取り返しのつかない失敗になる事があります。

相続で失敗しない為に大切な事は、ちょっとでも不安に思ったら、自己流ではなく専門家に聞いてみると言う事です。

その僅かな手間が、将来発生するかも知れない損害を未然に防いでくれるのです。

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この記事の執筆者

横浜市泉区の司法書士です。法律・老後資金・感情等多角的な視点から、自分らしい人生を送る為の認知症対策、相続対策をご提案します。元俳優/福岡県北九州市出身/梅ヶ枝餅、かしわめし弁当が大好き/趣味は講談/

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