
こんにちは。司法書士の甲斐です。
最近の「相続ブーム」を反映して、各種メディアに「相続の専門家」が登場する機会が増えてきました。
弁護士や司法書士と言った国家資格の士業から、いわゆる民間資格まで様々存在しています。
ただし、民間資格も含め、これだけ「相続の専門家」が乱立してくると、どうしても質が悪い人も出てきます。
(ちょっと前のTVで、相続放棄の説明を間違って炎上した、某民間資格の人もいましたね・・・。)
このように、相続の専門家が乱立していますと、質の面もさる事ながら、
「結局、最初はどの専門家に相続の事を相談すれば良いのか?」
と言う点が非常に重要になってくると思います。
この答え、様々な考え方があるのですが、私は(手前味噌ながら)、相続の最初の相談は司法書士が良いと断言します。
今回はなぜ、相続の相談は最初に司法書士が良いのか、その理由を根拠を示しながら解説したいと思います。
1.試験科目に「民法」があるから
司法書士試験は全部で11科目から出題されますが、その内、民法が一番多く出題されます。
つまり、民法を理解しない限り、そもそも司法書士試験への合格は不可能なのです。
民法は相続の基本となる法律であり、条文数で1000以上、相続法だけでも約160条あります。
さらに、相続手続きを行う為には、これらの条文をただ丸暗記するだけでは足りず、法律の本質を学ぶ為の学問書や判例の読み方をしっかりと理解しない限り、相続手続きを問題無く行う事は難しいと言えます。
司法書士は合格する前から民法を徹底的に学び、合格した後でも自己研鑽を行っています。
この点で司法書士は相続手続きを行うための条件をクリアーしていると言えます。
2.不動産や会社の登記手続きに精通しているから
司法書士と言えば不動産登記と商業登記の専門家です。
司法書士は常日頃難しい登記の実務を行っており、相続による不動産の所有権移転登記(相続登記)も日常的に行っています。
また、株式会社の社長が亡くなった場合、商業登記について、代表取締役の変更登記を行う必要があります。
不動産登記、商業登記ともに司法書士の法定業務であり、司法書士が当然に得意としている分野なのです。
3.家庭裁判所の手続きに精通しているから
相続における家庭裁判所の手続きと言えば、下記の手続きが挙げられます。
・相続人に未成年者がいる場合の、特別代理人の選任申立て
・相続人に不在者がいる場合の、不在者財産管理人の選任申立て
・相続人に認知症者等がいる場合の、成年後見の申し立て。
・相続人がいない場合の、相続財産管理人の選任申立て
このような手続きが各ご家庭の状況によって必要になってくるのですが、このような家庭裁判所に提出する書類の作成も司法書士の法定業務です。
この為、このような家庭裁判が関係する手続きも司法書士が得意とする分野なのです。
4.相続専門家のネットワークを持っている
相続を専門としている司法書士は「司法書士だけ」で相続手続きが完結しない場合を良く理解しています。
例えば、相続した不動産を売却したい方がいらっしゃましたら、信頼が出来る不動産会社をご紹介する事が可能です。
また、相続税の申告が必要な場合は税理士、相続人間でトラブルがあり揉めている場合は弁護士と言った、相続における各分野のスペシャリストと常に連携しています。
このように、司法書士が単独で行う事が出来ない業務が発生したとしても、各専門家に繋ぐ事ができ、スムーズな問題解決が可能となっているのです。
5.まとめ
上記に挙げたものは代表的なものであり、これ以外にも相続の最初の相談先として司法書士を選択した方が良い理由は沢山あります。
相続の専門家としての民間資格で良く言われている事で、
「相続の問題を整理し、各士業に適切につなげる事が出来る民間資格」
と言うのがあるのですが、司法書士は国家資格でありながら、その役割を十分に果たす事が可能です。
無駄な労力をかけないよう、相続の最初のご相談は司法書士に行う事をお勧めします。