相続で亡くなった方が借金をしていたり、連帯保証人になっていた場合の対処方法

【事例】
Q:数日前に父が亡くなりました。葬儀を終えて父の荷物を整理していたところ、父の財布からクレジットカードと、そのキャッシングの利用明細が出てきました。

また、引き出しから、父が父の友人の連帯保証人になっていると言う契約書が出てきました。

おそらく父の借金はこれだけだと思いますが、最終的にどのような相続手続きを行えば良いか教えて下さい。

A:まずは正確な借金の額等とプラスの相続財産を確認する必要があります。その上で相続するか相続放棄等をするかを選択する必要があります。 

 

1.借金、連帯保証人の地位は相続される

ご家族の方が亡くなられますと、その方(被相続人)が持っていた財産や権利は原則として相続人に引き継がれる事になります。

財産は現金・預金、不動産と言ったプラスの財産だけではありません。借金等のマイナスの財産も相続人に引き継がれる事になります。

また、被相続人が連帯保証人だった場合、その地位も相続分の範囲内で相続する事になります。

例えば、親が300万円の借金を残して亡くなり、相続人が子供のA、B、Cの3人だった場合、相続人はそれぞれ100万円の借金を相続する事になります。

また、親が300万円の借金の連帯保証人になっていた場合も同様で、相続人はそれぞれ100万円の範囲で連帯保証人の地位を引き継ぐ事になります。

ご相談者の中には「プラスの財産だけを引き継ぎたい。借金なんて父親が勝手にやった事なんだから知らない!」とおっしゃられる方がいらっしゃるのですが、相続と言うのはあくまで被相続人の権利や義務を丸ごと引き継ぐ必要があります。
 
その為、プラスの財産だけを引き継ぐ、と言う事は出来ないのです。

 

2.連帯保証人とは?

「連帯保証人」とは何なのか?、今一度おさらいしておきましょう。

連帯保証人とは、借金をした人(債務者)に代わってその借金を返済する義務を負う人の事です。

つまり、債務者がきちんと借金を返す事が出来れば、連帯保証人には何も影響が無いのですが、借金を返済出来ない場合、連帯保証人がその借金を支払わなくてはいけないのです。

なお、「連帯」と言う言葉がついているのには意味があります。

例えば、太郎さんが200万円の借金をして、その保証人に一郎さんと二郎さんがなったとします。

普通の「保証人」であれば、一郎さんと二郎さんは100万円づつの範囲で保証すれば良いのです(保証人が2人いますので、200万円÷2=100万円です)。

しかし、「連帯」保証人の場合、一郎さんも二郎さんも200万円の責任を負う事になります。保証人が各自連帯して借金の全額を保証するので「連帯」保証人なのです。

その他、通常の保証の違いとして、

債権者は、債務者でも連帯保証人でも好きなほうに請求することが出来る(ただ、実務上は上記のように債権者の支払いが滞った時に、連帯保証人に請求する事がほとんどです)。
・債務者に借金を返済出来る財産があったとしても、連帯保証人はそれを主張する事が出来ない。

と言うのがあります。

 

3.亡くなった方が借金をしていたり、連帯保証人になっていた場合の対処方法

① 借金の残高を調べる

まずは正確な借金の額を調べる必要があります。取引明細があればそれで確認する事が出来ますし、連帯保証であれば、債務者に問い合わせて現在の借金の額を調べる事が出来ます。

その借金の額を確認し、その他にプラスの財産を考慮した上で、最終的に相続するかしないかを決定します。

なお、この段階での注意点は、絶対に「借金を支払います」と言わない事です。もし借金を支払うと言ってしまえば、後からご紹介する相続放棄や限定承認が出来なくなるので注意しましょう。

② 相続放棄や限定承認を選択する場合

相続放棄や限定承認は、被相続人が亡くなった事と自分が相続人である事を知った時から三ヶ月以内に行う必要があります。
 
相続放棄は家庭裁判所に対して行う手続で、相続放棄を行うと初めから相続人ではなかった事になります。

その為、被相続人の借金の支払い義務も無くなりますし、連帯保証人の地位も引き継ぐ事はありません。

相続放棄の詳細はこちらをご覧下さい。

→相続放棄の全知識。三ヵ月後でも相続放棄を受理してもらえる方法

「限定承認」は、プラスの範囲の財産で借金等を支払い、もし借金が残ってしまってもそれ以上は相続人は責任を負わないと言う法律上の制度です。

相続放棄と同じく家庭裁判所に対する手続きですが、相続放棄と比較して手続自体が非常に煩雑で難しいと言う特徴があります。

限定承認の詳細はこちらをご覧下さい。

→限定承認を分かりやすく解説します

③ 相続をする場合

相続放棄や限定承認が出来る期間が過ぎてしまったり、期間は過ぎていないがそのまま相続する事を選択した場合、借金を誰がどのように支払っていくのかを決める必要があります。

遺産に現金や預金があれば、それを元に借金を返済しても良いと思います。

また、遺産が不動産等の場合でそのまま不動産として利用したい場合、各相続人が個人の財産で借金を支払っていく方法もあります。

なお、相続人間で借金を支払う人を決める事は有効ですので、遺産分割協議で借金を支払う人を決める方法もあります。

ただし、これはあくまで相続人間の決まりごとであり、それを債権者に対して主張する事は出来ませんのでご注意下さい。

 

4.借金が支払えない場合

相続放棄や限定承認が出来なくて、遺産や相続人個人の財産でも借金を返済するのが難しい場合、債務整理を検討する必要があります。

債権者と任意に話し合い、借金の減額や分割払いを行う「任意整理」、借金の支払い義務を免れる「自己破産」等の手続きがありますので、それぞれの状況にあわせて選択すると良いでしょう。

 

5.まとめ

このように、亡くなられたご家族が借金や連帯保証人になっていた場合、非常にやっかいな問題に発展する事があります。

出来るだけ早めに相続放棄や限定承認を行う事が出来るよう、親の財産は生前から把握しておいた方が良く、その為の話し合いの場もしっかりと用意した方が良いでしょう。

 

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー
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