相続の専門家に必要なスキルとは?

相続一般

こんにちは。司法書士の甲斐です。

現在、相続を専門として仕事をしている、いわゆる「相続専門家」は沢山存在します。

弁護士や司法書士、税理士、行政書士と言った「士業」、相続士、相続診断士、相続コンサルタントといった民間資格、果ては一般企業まで、非常に幅広い分野の人間が相続の場で活躍をしています。

このように沢山の専門家がいるのですが、そもそも、相続専門家として必要な知識・スキルとは一体何なのか?と言った事について、実はしっかりと議論がされていないように思えます。

その為、一般の方にとってみれば、相続の事をご相談したり、その手続きをお願いしたいと思っていても、その判断基準に困る事が有ると思います。

と、言う事で、今回は相続の専門家に必要な知識・スキルを解説していきたいと思います。相続の事でお困りになった場合、悪質な業者に引っかからない為にも、是非判断基準としてご活用下さい。

1.相続専門家に必要な「実務知識」

① 民法全般の知識

暮らしに一番身近な法律が民法なのですが、この民法は大きく分けて5つのパートに分かれています。相続についての条文は「第五編 相続」に掲載されています。

その為、相続の専門家の中には、この「第五編 相続」だけを勉強している方がいらっしゃるのですが、本当に専門家として様々な相談に対応する為には、相続の部分だけではなく、民法全体の基本知識が必要になります。

例えば、贈与の事を理解していないと、遺贈(遺言による贈与)の事も分からないと思いますし、物権の「共有」の事が理解出来ていないと、なぜ不動産を共有名義で相続する事があまり望ましくないのか?と言った話が出来ないと思います。

その為、民法全般的な基本知識は、相続専門家にとって必須と言えます。

② 相続税の知識

相続税の分野は税理士の方の専門分野ですが、とは言え基礎控除等の、本当に基本的な知識については相続の専門家としては知っておくべきです。

相続税の基本的な知識を押さえていれば、実際に税理士の方に仕事をお願いする際にも、スムーズに話が進みます。

③ 民事訴訟法、家事事件手続法の知識

たとえ民法の知識があったとしても、実際に相続争いに発展した場合に、どのような手続きで問題が解決されるのかを理解していないと、相談者の方に正しいアドバイスを行う事は難しいでしょう。

この、相続争いに発展した場合に行われる裁判手続きについて定めた法律が、民事訴訟法や家事事件手続法です。この民事訴訟法、家事事件手続法の基本知識も重要です。

④ 心理学の知識

意外に思われるかも知れませんが、相続専門家は、人間の心の事も知っている必要があると思います。

相続は手続き上の問題だけではなく、争いに発展する事もあります。

相続争いのほとんどが、感情的な問題です。

その為、法律的な知識だけでは足りず、人間の本質、人間の心もきちんと理解していないと、相談者の方に正しいアドバイスが出来ないはずです。

2.相続専門家に必要な「ヒューマンスキル」

① コミュニケーション能力

コミュニケーション能力は色々な定義があると思いますが、ここでは

「専門家が考えている事を、相談者へ誤解される事なく正確に伝える力」と
「相談者のお話を誤解する事なく、100%理解する力」

と定義します。

上記のようなコミュニケーションをとる事が出来れば、お互いに考えている事を正確に理解する事が出来ます。この力は相談を受ける立場の人間であれば、どのような分野でも必要不可欠です。

② 論理的思考力

いわゆる、ロジカル・シンキングです。相談者の方が抱えている問題に対して、筋道をたてて解決策を考える力です。

論理的思考力とコミュニケーション能力が合わさる事により、初めて相談者の方が納得できるようになります。

③ 協働力

協働力とは、複数の人間と何らかの目標を共有して、その複数の人間を良い意味で巻き込み、ともに力を合わせて活動することを言います。

相続の手続きはその範囲が多岐に渡る為、一人の専門家で完結出来る事はほぼ有り得ません。

その為、各専門家の連携をきちんと取る能力が、相続の専門家として求められます。

④ 客観性

相続の専門家は相談者の相談を受けたり、相続手続き行いますが、それはあくまで誰の味方にもならず、中立・客観的な存在として、意見や行動を行う必要があります。
(仕事として、相談者の方の代理人となる事が出来るのは弁護士のみです。)

その為、常に客観的な視野で、物事を考える事が出来る力が必要とされます。

3.まとめ

以上、これ以上もあると思いますが、取り敢えず重要なモノとして、私が考える相続専門家の必要な実務知識・ヒューマンスキルを挙げてみました。

相続の何かの問題について、相続専門家にご相談をされる場合、「この目の前の専門家は、上記に挙げた実務知識・ヒューマンスキルがあるのか?」と言った事を意識して相談を受けてみて下さい。

そうする事により、きっと納得がいく相続専門家に出会えるはずです。

文責:この記事を書いた専門家
司法書士 甲斐智也

◆司法書士で元俳優。某球団マスコットの中の経験あり。
◆2級FP技能士・心理カウンセラーの資格もあり「もめない相続」を目指す。
◆「相続対策は法律以外にも、老後資金や感情も考慮する必要がある!」がポリシー。
(詳細なプロフィールは名前をクリック)

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