相続人からの連絡を拒否したい場合

【事例】
Q:私の両親は、私が小学生の時に離婚しました。

理由は父の母に対するDVです。

母は毎日のように父から暴力を振るわれていて、最後は逃げるように離婚し、その後、私は母に育てられました。

それから約30年たった今、父が亡くなったとの手紙がきました。

連絡をしてきたのは、父の再婚相手です。

手紙の内容は、父が亡くなった事、父の相続人は、配偶者である再婚相手と、二人の間に生まれた三人の子ども、そして私である事。

そして、父の遺産があり、遺産分割協議が必要なので連絡がほしい、と書かれていました。

私は正直、父とは縁を切りたいと思っていますので、今さら相続人と言われても、はっきり言って迷惑です。

このまま連絡を無視しても良いでしょうか?

A:無視をしても、あなたは相続人のままです。

連絡を無視する事によるデメリットも沢山ありますので、極力連絡を取るようにしましょう。

どうしても連絡を取りたくない場合、家庭裁判所へ相続放棄の申述を行うべきです。

1.両親が再婚した場合の子どもの地位

両親が離婚した場合、父と母は婚姻関係が解消されますので、二人の親族関係が消滅します。

それでは、父母の間に生まれた子どもと、父母との関係はどうなるかと言いますと。実はそのままです。

つまり、事例のように子どもが母に引き取られ、母が子どもの親権者となったとしても、父親との親子関係はそのままですので、父親が亡くなった場合、子どもは相続人になります。

そして、他に相続人がいるのであれば、その者との遺産分割協議が必要になります。

とは言え、今まで全く会った事が無い人達と、嫌いな父親の財産の事なんて話したくはないと思います。

だから、そのまま無視したいと言うお気持ちも良く分かります。

しかし、どんなに無視をしたとしても、あなたが相続人であると言う事実は変わりません。

その為、適切な相続手続きを行わないと、様々なデメリットがあるのです。

2.連絡を無視した場合のデメリット

① 相続税を支払う必要があるかも知れない

もし、被相続人の財産が思ったよりも多く、相続税の申告が必要になる場合で、それでも無視した場合はどうなるのでしょうか?

無視をする=遺産分割協議が終わっていないので、例え相続税の申告期限(10ヶ月)が経過しても、相続税の申告・納付は必要ないのでしょうか?

実は、10ヶ月以内に遺産分割協議がまとまらなかったとしても、法定相続分で相続したものとして、相続税の申告・納付の義務があるのです。

その為、期限までに相続税を納付しない場合、高い追徴課税を支払う必要がでてくるのです。

② 被相続人に多額の借金があるかも知れない

あくまで実務上の感覚ですが、こちらのケースも多いと思います。

被相続人に借金があった場合、その借金も財産として相続人に引き継がれます。

つまり、何もしなければ父親の借金を法定相続分であなたは引き継ぐ事になります。

大嫌いな父親の借金、支払っていきたいですか?

③ 財産を取得する事ができない

被相続人に財産がもしあった場合、他の相続人からの連絡を無視している限り、その財産を取得する事ができません。

被相続人に想像以上の多額の財産があった場合、(あなたは父親が嫌いかも知れませんが)その多額の財産を取得する機会を失ってしまいます。

以上、相続人であるからこそ、様々なデメリットが考えられます。

いつまでもこの問題を抱えていますと、ストレスがあなたの体を蝕み続け、平穏な日常を送る事が出来ません。

早急に何かしらの対応を行いましょう。

3.対応方法

① 他の相続人と連絡を取る

他の相続人と連絡をとり、遺産分割協議を早く済ませる方法です。

直接会いたくないのであれば、手紙やEmail等を利用して、連絡を取るようにしましょう。

その際、被相続人の財産をきちんと開示してもらいましょう(出来れば通帳のコピー等の根拠となるものも、併せて開示してもらいましょう)。

② 相続放棄を行う

家庭裁判所に対し相続放棄の申述を行い、それが認められる事で初めから相続人ではなかったとみなされます。

その為、他の相続人と遺産分割協議を行う必要がなくなります。

相続放棄を行い、家庭裁判所から「相続放棄申述受理証明書」を取得し、他の相続人に対し、相続放棄をした事を通知しましょう。

なお、相続放棄の期間は、「自己のために相続の開始があった事を知った時」から三か月以内です。

事例の場合であれば、他の相続人から連絡をもらった時から三か月以内です。

意外にも期間は短いので注意しましょう。

4.まとめ -事前にできる事-

「財産なんていらない。父親とは一切関わりたくない」と言うお気持ちが非常に強いのであれば、父親が亡くなる前に、定期的に(一年に一回とか)父親の戸籍を取得し、生存しているか死亡しているかを確認すると言う方法があります。
(子どもであれば、父親の戸籍は無条件で取得する事が出来ます。)

もし戸籍を調べて父親が亡くなっていたら、他の相続人から連絡が来る前に相続放棄を行い、相続放棄申述受理証明書を他の相続人に通知すると言う方法もあります。

相続放棄をする、と言うお気持ちが強いのであれば、検討してみても良いでしょう。

一番問題なのが何もしない事です。

相続を無視したところで相続人である事には変わりありません。

無視する事で事態はどんどん悪い方向に進み、相続のストレスから精神が蝕まれる事だって考えられます。

精神的に疲弊し、憂鬱な毎日を暮らさないように、きちんと適切な行動を選択するようにしましょう。

なお、当事務所ではこのような相続放棄のご相談も積極的に承っております。

離婚した両親の相続の事でお悩み、お困りの場合はお気軽にお問い合わせ下さい。

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー

合格率2~3%台の司法書士試験を、4年間の独学を経て合格。

心理カウンセリングの技術を応用して、もめない相続の実現を目指す専門家。

不動産や銀行預金等の相続手続きの他、心理カウンセラーが行う心理療法であり心理学のひとつ、「交流分析」「認知療法」をベースにして、法律と感情面の双方から、相続人間のコミュニケーションが円滑になる為の多角的なサポートを行っている。

丁寧な言葉で厳しい発言をする(でも愛はある)。

元俳優。アクションが得意でTVドラマ出演やヒーローショーの経験もあり。

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