亡くなる直前に結婚した女性に相続権はあるか?

今回は、ちょっとドロドロした内容です。でも、実際にあるケースです。

【事例】
Q:私はとある方と結婚しました。彼は奥様を若い時に亡くされ、以後ずっと再婚されずに一人で頑張ってこられた方です。私と彼は元々同じ職場で、何十年も前からの知り合いなのですが、ある日、彼が末期がんになり、余命いくばくも無い事を知りました。

彼には亡くなられた奥様との息子さんが何人かいらっしゃるのですが、息子さんたちは入院した彼の見舞いを行わず、ほったらかしにしている状態でした。その状況を見かねた私が、最期まで彼の面倒を見ようと思い、毎日お見舞いをしようと決めました。

入院当初は彼は元気な姿を私に見せていたのですが、日に日に体力や体重が低下し、見るのも可愛そうな状態になっていきました。そんな折、彼が私と「結婚したい」と言ってきました。彼の本心は、私に財産を渡したい、その為に結婚をしたい、との事でした。私は散々悩みましたが、彼の最後の願いを聞き入れ、婚姻届に署名、押印をしました。

それから数日後、彼は亡くなったのですが、実は彼の息子さんから、彼と私の結婚は私の財産目当てが明らかなであり無効な為、彼の遺産を渡さないと言ってきました。確かに、亡くなる直前の結婚ですし、彼の目的は私に財産を渡す事でした。しかし彼の、私と結婚したいと言う気持ちを本当です。このような結婚は無効になるのでしょうか?

A:その目的はどうあれ、当事者に結婚をする意思があれば、その婚姻は有効です。つまり、ご相談者様はその方の相続人となります。

 

1.婚姻が無効となる場合

さて、TVドラマ等で良くありそうな話でしたが、このようなケース、実際には法律上どうなるのでしょうか?まずは婚姻が無効となるケースを考えてみましょう。婚姻が無効となるケースは、民法にきちんと定められてきます。

(婚姻の無効)
第742条 婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
 人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。
 当事者が婚姻の届出をしないとき。ただし、その届出が第739条第2項に定める方式(婚姻届に当事者と証人の署名が無い場合等)を欠くだけであるときは、婚姻は、そのためにその効力を妨げられない。
 
つまり、その動機はどうあれ、当事者に「結婚して夫婦になる」と言う意思があれば、婚姻は成立します。極端な事を言ってしまえば、婚姻届を提出した直後に亡くなったとしても、相続人となるのです。
 
 

2.婚姻の取り消し

それでは婚姻を取り消す事が出来る場合はあるのでしょうか?実はこれも民法に規定がされています。下記の時に誤って婚姻届が受理された場合、婚姻を取り消す事が出来ます。

⑴ 法律上、結婚が出来る年齢ではない場合(男性:18歳、女性16歳)
⑵ 既に結婚している場合(重婚状態)
⑶ 女性が前婚の解消後100日以内に再婚した時
⑷ 直系血族間(父母と子の様な関係)又は三親等内の傍系血族(直系血族ではない血族。兄弟姉妹等)間の婚姻(ただし、養子と養親の傍系血族と間では婚姻出来ます)。
⑸ 直系姻族間の婚姻。つまり、妻と義理父のような関係での婚姻です。
⑹ 養子、養子の配偶者、その下の世代、その配偶者と、養親又はその上の世代間の婚姻
⑺ 詐欺又は強迫によって婚姻をした場合

このように、婚姻の取り消しが出来るケースも限定されています。当事者間に「婚姻する意思」があれば、その動機は関係なく婚姻は有効に成立するのです。

 

3.まとめ

事例のケースは、他の相続人から見れば確かに「財産目当て」と思われるかもしれません。しかし、何度も申し上げますが、当事者間に結婚する意志があれば、婚姻は有効なのです。

だから心配する必要はありません。亡くなられた方の意志を尊重し、堂々と相続人の一人として対応をしましょう!

 

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー
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