
こんにちは。司法書士の甲斐です。
人生で一生に一度のお買い物、マイホーム。
早い人だと20代で購入する人もいると思います。
実はマイホームを購入した時にこそ、相続の事を考える必要があるのです。
「え?20代で相続の事を考えるの?」と思われるかもしれませんが、ご結婚後にマイホームを購入される場合、相続の話は避けては通れないのです。
そもそも、人は若くても亡くなる事はあります。
病気であったり、突然の事故であったり。人は若くても亡くなる事はあるのです。
そしてマイホームは数千万円~数億円する高額商品です。
相続の場において必ず話し合う必要がある高額財産を入手した時にこそ、相続の事を考えるべきです。
もし相続の事を考えなかったら、その時の事情によって様々な問題が出てくるのです。
今回はその「マイホームを購入した時に、相続対策を行わなかった時の問題点」を解説していきたいと思います。
1.マイホーム購入時に相続対策が必要な理由
① 子供がいない場合
奥様との間に子供がいない場合、もしあなたが亡くなった時の相続人は、奥様とあなたのご両親です。
実はこの事を勘違いをされている方が非常に多いのです。
「子供がいないのだから、相続人は嫁だけだろ?」と。
つまり配偶者が相続の順位として第一順位と理解されている結果、自分の両親は相続において関係が無いと誤解されているのです。
相続人の順位は、あくまで、子供、両親、兄弟姉妹の順番であり、奥様、つまり配偶者はこの人達と同順位で常に相続人になるのです。
だから、子供がいないのであれば、あなたの相続人は奥様とご両親になります。
では、仮にマンション購入時に何も相続対策を行っておらず、マンションを購入して数日後にあなたが事故で亡くなった場合、どうなるのでしょうか?
ご両親も相続人ですので、当然にあなたの遺産を取得する権利があります。
現金、預金で用意が出来るのであれば良いのですが、マイホーム購入直後であれば、そのような余裕は無いでしょう。
そうすると、ご両親はこう考えるかも知れません。
「○○さん(あなたの奥様)が住むには、この家は大きすぎる。売却してそのお金を分けましょう」
つまり、あなたの奥様は住む家が亡くなってしまう可能性があるのです。
あなたのご両親と奥様の仲が良ければ問題はないのですが、そうでなければ、実際に起こりうる出来事なのです。
② 未成年の子供がいる場合
マイホームの購入時はこのパターンが一番多いのではないでしょうか?
つまり、ご結婚され、奥様と未成年のお子様がいる状態です。
この状態の相続人は奥様とお子様になりますので、特に問題がなさそうに思えますが、実はこのパターンもある問題をはらんでいるのです。
相続手続は遺産を誰の物にするかと言う遺産分割協議を行う必要があります。
お子様は未成年ですので、おそらくマイホームは奥様が相続する事になるでしょう。
そして未成年の子供が遺産分割協議のような法律に関連する行為を行う場合、法定代理人である親が代理して行うか、親が同意する必要があります。
しかし、奥様もお子様も、あなたの相続人である立場であり、お互いの利益が対立する関係です。
その為、この場合は家庭裁判所に対して「特別代理人」の選任を未成年の子供の人数分請求しなくてはいけません。
未成年の子供がいる場合、まずこの選任の手間が発生しますし、さらに特別代理人は、子供の利益である法定相続分を確保する事が原則になります。
その為、「子供に大金を持たせたくは無いので、全ての財産を奥様のものにする」と言った遺産分割協議をもし行いたかったとしても、それは非常に困難になるのです。
2.マイホーム購入時の相続対策とは?
マイホーム購入時の相続対策として有効なのは、当ブログで何度もご紹介させて頂いております「遺言」を残す事です。
全ての財産を妻に残す旨の遺言を残していれば、この問題のほとんどを解決出来ます。
後は他の相続人の遺留分対策(生命保険の活用等)を行えばなお良いでしょう。
「遺言を残す」。たったこれだけの作業で奥様が相続手続きで遭遇する煩わしさのほとんどを回避出来るのです。
3.まとめ
相続対策として非常に遺言は有効なのですが、ご家庭のご事情やその他様々な状況によって、良くある遺言のサンプルが適さず、逆にトラブルの元になる可能性があります。
もし遺言を作成したいけれど、トラブルを回避する遺言の作成に自信がない方、その他遺言についてお悩みがある場合はお気軽に当事務所にご相談下さい。