こんにちは。司法書士の甲斐です。
今回の記事は、相続でもめる典型的なケースについて解説していきたいと思います。
(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)
相続は「争続」と揶揄されるように、時に相続人間の意見が激しく対立し、もめる事があります。
相続財産が多くあるなしに関係なく、もめる事があります。
その原因は様々なのですが、多くのケースは、ちょっとした対策、配慮を行えばもめる事を未然に防ぐ事が出来たものばかりです。
今回そのちょっとした行き違いの結果発生する、「相続でもめる理由」と「相続でもめる事による様々な弊害」をご紹介させて頂き、その対策を考えていきたいと思います。
1.相続でもめる最大の理由
今までの私の経験上、相続でもめる最大の理由は、「コミュニケーション不足」だと考えます。被相続人と相続人のコミュニケーション不足であったり、相続人間のコミュニケーション不足であったり。
ちょっとした言葉不足で今まで仲が良かった家族が、相続をきっかけに「争続」へと発展していきます。例えば、
・遺産分割協議を取り仕切っている相続人が、他の相続人に財産状況等の情報を一切開示せず、他の相続人から不審がられている。
→実は遺産分割協議を仕切っている相続人が、手続きについて結局どうすれば良いか分からずに手続きが滞っていた。
・通夜の時に相続人間で遺産について口約束をしたが、実際の遺産分割協議の段階で言った言わないの議論になった。
・相続財産が不動産だらけで相続税の納付資金の心配があったが、被相続人の生前の「大丈夫、大丈夫」と言う言葉を信じて何も相続税対策をしなかったら、ちっとも大丈夫では無かった。
2.相続でもめると、どのようなデメリットがあるのか?
・遺産分割協議がいつまでたっても調わないので、預貯金がおろせない。その他の財産も有効活用が出来ない。
・相続税の控除等(配偶者の税額軽減、小規模宅地の評価減)が使えない為、相続税の納付額が増える。
・相続税は期限内に申告、納付する必要があるが、納付資金が無い場合に不動産の売却が出来ない。
・家庭裁判所での調停を行えば、さらに解決までの時間がかかる。弁護士を代理人にした場合、弁護士費用が発生する(数百万円支払う事もザラではありません)。
このように、相続でもめる事は、相続人にとって百害あって一利なし。誰も得しない結果になります。
3.もめない相続の為の対策
もめない為の対策は、とにかくコミュニケーションを取る事です。
父と母、父母と子ども、兄弟姉妹・・・。
被相続人と相続人、相続人間の関係になりそうなのであれば、相続の事についてきちんと話し合うべきです。
「言わなくても分かるだろう」と言う発想から、コミュニケーション不足が発生して、その結果、もめる相続へと発展するのです。
・遺産分割を取り仕切るのであれば、きちんとスケジューリングして他の相続人に情報をちゃんと開示する。
・複数回に渡る遺産分割協議のやりとりはきちんと書面化する。
・自分の相続財産についてきちんと整理して、相続税の対策が必要であれば、きちんと相続人も交えて対策を行う。
このようなちょっとした対策を行う事で、相続でもめる事を未然に防ぐ事が出来るのです。
4.まとめ
コミュニケーションさえしっかりと取っていれば、お互いに何を考えているか分かりますし、お互いを配慮する事にもつながります。
まずは面倒くさがらずに、きちんと話し合って円滑な相続、遺産分割協議を行いましょう。