相続手続き代行を行う一般社団法人や相続××協会を名乗る団体の注意点

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こんにちは。司法書士の甲斐です。

平成29年9月17日に総務省が発表しました人口推計によりますと、90歳以上の人口が同年9月15日時点で1年前と比較して14万人増えて206万人となっています。

また、総人口に占める65歳以上の割合は27.7%と前年より0.5ポイント上がり、過去最高を更新しています。

長寿化に伴って人口の高齢化が進んでおり、高齢者を支える社会の仕組み作りが大きな課題となっています。

それに伴って相続に関する分野も注目を浴びており、この「相続マーケット」が年々拡大する事をビジネスチャンスと捉えた士業やその他専門家が積極的に広報活動を行っております。

それ自体には何も問題は無いのですが、マーケットが拡大すると必ず質の悪い業者が現れ、無知な一般市民を騙して利益をあげると言う点には注意が必要です。

事実、私の元にもこの様な業者に依頼したけれど、結局何もやってくれず、お金だけを取られた、と言う方の相談を良く承ります。

そこで今回は、悪質な相続手続き代行業者の見分け方をお話していきたいと思います。

1.そもそも一般社団法人とは?

相続手続き代行を行っている団体が良く使用している名前として、「一般社団法人」と言うのがあるのですが、まずはこの一般社団法人から簡単にご説明したいと思います。

簡単に言いますと、「株式が無い株式会社」をイメージして頂けますと分かりやすいと思います。

(厳密には違いますが、イメージはしやすいと思います。)

株式会社は法律によって作られた人(法人)で、株式会社の名前で契約等の法律上の行為が出来ます。

そして事業を行い利益が出れば、株式会社の構成員である株主に対してその利益を還元します。

一般社団法人も「法人」ですので、一般社団法人名義で契約等を行う事が出来ます。

この点は株式会社とは変わりはありません。

しかし、株式会社とは異なり、事業を行い利益が出たとしても、構成員(「社員」と呼ばれる人達です。

なお、いわゆる「従業員」ではありません)に利益を分配する事は出来ません。

この点が、株式会社とは大きく異なる部分です。

しかし、法人である事には変わりありませんので、芸術、地域振興関連事業、その他社会全体への貢献度が高い事業を行う際に、一般社団法人が利用されている場合があります。

2.怪しい業者(相続○○センター、相続○○協会)の見分け方

① 名前に惑わされない

基本的には一般の方にも分かりやすくする為に、「相続○○センター」「相続○○協会」と言った名前を付けている団体がほとんどです。

よくあるパターンが地域名をプラスして「横浜相続○○センター」「藤沢○○相続協会」「小田原相続○○支援センター」と言う名前も多く使われています。

これらは一般の方に分かりやすくする為に各団体がその名前を使っているのですが、裏を返せば「分かりやすくしているだけ」です。

その為、このような名前であったとしても、その事だけで質が良い業者であるとは限りません。必ずその中身を確認しましょう。

② 過激な煽り文句に騙されない

相続の分野も様々な士業、専門家が参入しており、競争が激しくなっております。

その為、少しでも同業他社よりも有利に立とうとして、ホームページ等で過激な煽り文句を使用している専門家が少なからず存在します。

私もホームページに力を入れている関係から相続専門家のホームページを良く閲覧するのですが、そこで気になったセールストークを参考までに挙げてみたいと思います。

・直ぐに相続手続きを中止して下さい
→そんな命令口調で言われてもちょっと困りますよね・・・。
・士業(弁護士、司法書士、行政書士等)でも法律上行えない相続手続きがあります。
→これは結局、誰がやっても良い手続きの事でした。当然士業でも出来ます。

・残念ながら、わが国には、相続手続きだけを専門に扱っているプロがほとんど存在していません。
→インターネットで検索すると、沢山の相続専門家がいますが・・・。

・素人が作成した相続税申告書は、税務署は受理しません!
→これはちょっと問題がありますね。

このように、ちょっと過激な、煽っている言葉を使っている(と言うよりもウソの内容ですね・・・)を使っている悪質な業者もいますので、そのような言葉には騙されないようにして下さい。

③ 法律の専門家がいない

弁護士、税理士、司法書士、行政書士等の法律の専門家が「相続の事をワンストップで行いたい!」と言う理由で一般社団法人を立ち上げる事が良くあります。

相続手続きは法律にのっとって行う必要があり、またその手続きは沢山あります。

その為、一人の士業が行う事に限界がある為、窓口を一本化し、そこに様々な法律の専門家を集めて、一般の方の相談に応じよう、とするのがそもそもの趣旨です。

ここで重要なのは「相続は法律にのっとって行う必要がある」と言う点です。

つまり、相続はどこかのタイミングで法律の専門家が関与しなければ、適切な相続手続きが出来なくなる可能性があり、また、法律によってその士業にしか出来ない相続手続きもあるのです(相続登記等)。

しかし、相続手続き代行を行っている業者の中には、弁護士等の士業の関与が認められない業者も少なからず存在します。

相続手続きの中には不動産の名義変更(相続登記)も含まれており、その代行も行っているのですが、 上記のとおり、弁護士、司法書士以外の者が相続登記を代理して行う事は違法行為になります。

その為、相続手続き代行を行う業者に、法律の専門家がいる事(関与している事)を必ず確認するようにして下さい。

④ そもそも、相続に関する用語の意味を理解していない

これも実際に相続手続き代行を行っている業者のホームページに見受けられたのですが、誤字と言うレベルではなく、明らかに相続に関する用語の意味を理解していない業者が存在します。

例えば、亡くなられた方の事を「被相続人」と言うのですが、被相続人を「相続人」の意味として使っている業者がいました。

相続の専門家を自称しているのに、その用語の意味を理解していないのは論外です。

3.まとめ

現在、相続手続きの専門家は星の数程います。

その為、どうしても質の悪い業者がいる事は避けられません。

人生にそう何度もない相続手続きを平穏無事に終了させる為には、専門家のホームページ等の表面的な事だけを見るのでは無く、必ず実際にお話等を行い、その内面もしっかりとチェックを行い、信頼が出来る専門家にご依頼を行うようにして下さい。

文責:この記事を書いた専門家
司法書士 甲斐智也

◆司法書士で元俳優。某球団マスコットの中の経験あり。
◆2級FP技能士・心理カウンセラーの資格もあり「もめない相続」を目指す。
◆「相続対策は法律以外にも、老後資金や感情も考慮する必要がある!」がポリシー。
(詳細なプロフィールは名前をクリック)

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