葬儀から相続トラブルに発展させないように気をつけるべき事

相続トラブル事例

こんにちは。司法書士の甲斐です。

いつかは必ず訪れる、大切な家族との別れ。悲しみがどんどん押し寄せてきて、精神的な疲弊がピークの状態の時に葬儀を行う必要があります。

実はこの葬儀の場面で家族の仲が悪くなり、そのままもめる相続に発展する事がある事をご存知でしょうか?

いつもとは異なる精神的なストレスがかかり、ピリピリとした状況だからこそ、普段仲が良い家族であっても、ちょっとしたきっかけでケンカになり、その後の相続もまとまらなくなる、と言う事に発展するのです。

そこで今回は、葬儀の場で相続トラブルに発展させないように気をつけるべき事をお話ししていきたいと思います。

1.葬儀の場では、相続の話は行わない

葬儀は大切な家族が亡くなった直後です。

「もう父親とは会えない」
「母親とは色々な思いでがあった」等、故人を偲ぶ大切な場です。

そのような場面で相続の話しを持ち出してしまった場合、非常に場違いであり「お前は空気が読めないのか!」と家族観でケンカになる事もあります。

ただでさえ日本人は子供の頃から、お金の事を考えるのが卑しいと教育されてきたのです。だからこそ、葬儀の場で相続の話を持ち出す事は止めた方が良いでしょう。

相続の話をするのは、葬儀後の気持ちが落ち着いた後で構いません。

2.葬儀のやり方で家族と対立しない

葬儀はたくさん決める事があります。

喪主は誰にするのか、誰を葬儀に呼ぶのか、遺影写真をどうするのか、葬儀での挨拶は決めたのか、等。

さらに宗派によって葬儀の方法が異なりますし、葬儀屋によって葬儀費用も異なります。

このように葬儀では沢山決めなくてはいけない事があるのですが、家族によって葬儀のやり方にこだわりがあった場合、それを原因として葬儀の場でケンカになる事があるのです。

「父はそんなに派手な葬儀は望んでいない!」
「母は絶対に賑やかな葬儀を希望している!」等。

やはり精神的なストレスや疲弊から、普段ではケンカにはならないような事で、家族間が対立する事があるのです。

3.葬儀費用を相続財産から出しても良いのか?

最近では、非常にシンプルな葬儀も増えており、葬儀費用が50万円を切っている葬儀屋もあります。

しかし、通常イメージされるような葬儀を行うのあれば、やはり100万円以上の費用が必要になる事があります。

その為、葬儀費用を誰が負担するのかが問題になるのですが、実は法律上、誰が支払うべきかは決められていないのです。

とは言え、急に100万円以上のお金を用意するのは難しい事もあり、相続財産から葬儀費用を支払っているご家庭もあります。

相続財産から葬儀費用を支払うのは問題がないのですが、いくら使ったのかの記録はきちんと残しておく必要があります。

この記録が無ければ、「葬儀費用名目で相続財産を使い込んだのでは?」と他の相続人に疑われる事もありますので注意しましょう。

4.被相続人が亡くなった後に預金を降ろす事は可能か?

そもそも、被相続人の口座から預金を降ろす事が可能なのか?と言う問題も出てきます。

一般的に銀行は、口座名義人が亡くなった事を知った場合、口座を凍結させてお金を降ろせなくします。

例えば、葬儀費用の準備の為にお金を降ろそうと、ご家族が銀行の窓口に行けば、その段階で銀行は口座名義人が亡くなった事を知りますので、口座を凍結させます。

つまり、お金を降ろす事が出来ない為、葬儀費用を捻出する事が出来なくてどうしよう・・・と言うような困った事になるのですが、実際には葬儀費用等に関して銀行は柔軟な対応を取る場合があり、払い出しに応じる事があります。

その為、被相続人の預金から葬儀費用を支払いたい場合は、葬儀費用の支払いのため等の目的を説明して、銀行に相談してみると良いでしょう。

なお、一番良い方法はご家族の方が亡くなる前に、葬儀費用等のために預金を降ろし、現金化しておく事です。この場合でもしっかりと記録をつけて、他の相続人から後々何に使ったかの説明を求められても良いようにしましょう。

5.まとめ

葬儀の場は特にご家族の皆さんは精神的・肉体的疲労がピークになっています。その為、ちょっとした言葉の行き違い等でケンカになりやすく、それがズルズルと相続手続きの場面まで続きがちです。

「葬儀の場でケンカして、そのまま気まずくなって遺産分割協議が出来ていません。どうしたら良いですか?」と言ったご相談者の方が当事務所にいらっしゃるぐらいです。

「あ、ちょっと感情的になりそうだな」と思ったら、深呼吸をして、いつも以上に冷静になられた方が良いでしょう。

文責:この記事を書いた専門家
司法書士 甲斐智也

◆司法書士で元俳優。某球団マスコットの中の経験あり。
◆2級FP技能士・心理カウンセラーの資格もあり「もめない相続」を目指す。
◆「相続対策は法律以外にも、老後資金や感情も考慮する必要がある!」がポリシー。
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