
こんにちは。司法書士の甲斐です。
本日は横浜市港南区、港南台で行いました相続のご相談のご紹介です。
(ブログに掲載する事は、ご本人様ご了承済みです。また、一部事実関係を変更しています。)
港南台は住宅地の駅ですが、大規模商業施設が立ち並び、非常に利便性が良い駅です。
1970年代から住宅地として開発が進められ地域で、昨今では人口が減少しているのですが、65歳以上の人口は逆に増えております。
また当事務から電車を利用すれば意外にも時間はかかりませんので、港南台からの相続のご相談が増えているが現状です。
1.港南台でのご相談の内容
被相続人はお母様。相続人は被相続人の長女と次女です。
遺産は自宅不動産が中心なのですが、実は被相続人が生前、自宅を売却しようとしている途中にお亡くなりになった事案です。
不動産の売主が売却の途中でお亡くなりになった場合に、相続登記が必要であるかどうかは、下記ページ

でもお話しいたしましたが、売買契約の時期や所有権移転の時期によって変わってきます。
その為、まずは売却の状況がどうなっているのか、事実関係を正確に把握する事からはじまります。
※事実関係を把握しなければ、せっかく行った相続登記を抹消等を行う必要があり、手間と時間がかかります。
その為、くどい位に事実関係は正確におさえる必要があるのです。
2.本事例の対処方法
① 売買契約を締結していない場合
不動産の買主さん候補とまだ売買契約を締結していない場合は、そもそも不動産の所有権が移転していません。
その為、売買対象(だった)不動産は売主の相続人に相続され、遺産分割協議の対象となります。
もし売却をされたいのであれば、法定相続で登記するか、もしくは遺産分割協議で不動産を相続する者を決めて相続登記を行い、売却を行う必要があります。
② 売買契約を締結した場合
売主が不動産について、買主と売買契約を締結していた場合は、原則としてその段階で不動産の所有権は買主に移動する事になります。
売買対象の不動産は売主の相続人の遺産とはならず、所有権移転登記を行う義務を売主から相続する事になります。
その為、相続登記を行わず、そのまま所有権移転登記を行う事になります。
しかし、不動産売買は通常、所有権移転時期の特約がつけられている事が一般的です。
その特約がついている場合は、次の③のようにします。
③ 売買契約を締結したが、所有権移転時期に関する特約がついている場合
売買契約は、売主と買主がある物について、「売った」「買った」と意思表示する事で成立します。
つまり、『売買代金を支払う事』は売買契約の要件ではないのです。
しかし、不動産のような高額な商品は売買契約と同時に所有権が移転すると、売主が困る事になります。
「本当にお金を支払ってもらえるのか?」と不安になってしまいますよね。
その為、特約で『所有権が移転する時期は、売買代金全額を支払った時期』という特約がつけられる事が一般的です。
では、この特約がついている売買契約を締結して、売買代金が支払われる前に売主が亡くなった場合、どうすれば良いか?
この場合は、一旦売主の相続人全員(法定相続分)の共有で相続登記を行い、売買代金が支払われたら『売買』を原因として買主に対する所有権移転登記を行う必要があります。
ポイントは、『法定相続分』で相続人全員の共有名義にする必要があると言う点です。
本来は所有権移転がされていませんので、対象の不動産は遺産になり、どの相続人が相続しても自由なはずです。
しかし、売買契約を締結している事により、買主に対して所有権移転登記を行う義務が相続されます。
そして、その義務は分ける事ができないので、一旦法定相続分で相続登記を行う必要がある、と言うのが法律、実務上の考え方です。
本事案はまさにこのケースだったのです。
3.まとめ
今回ご相談された方は、

をご覧になって頂き、ご連絡を頂いたそうです。
ブログの記事が皆様のお役に立ち、情報発信をおこなってきて良かったとしみじみ感じました。
今後も皆様のお悩みや疑問を解決するような記事を投稿したいと思いますので、気になる事がございましたら、どうぞお気軽にお問合せ下さい。