
こんにちは。司法書士の甲斐です。
今回は、市役所・区役所の無料法律相談をご利用されたい方向けの記事です。
行政のサービスの一般として、ほとんどの市役所(若しくは区役所)等の公的な施設で無料法律相談が行われています。
実は私も相談員として数ヶ月に一度、相談を行っているのですが、一般の法律相談と混じり、相続に関連する相談の割合が増えているように思えます。
その内容も様々で、相続人の範囲に関する事や、相続債務含む相続財産の事、相続登記の行い方etc.、多岐に渡る内容となっています。
利用者の方にとってみると、相談窓口として非常に身近にあり、使い勝手が良いかもしれませんが、市役所で行われている無料の相続相談についてもそのメリット・デメリットが存在します。
今回はそのメリット・デメリットをご紹介したいと思いますので、それを十分に踏まえた上、市役所の無料相続相談を活用してみて下さい。
1.市役所の無料相続相談のメリット
① 気軽に利用する事が出来る
まだまだ弁護士や司法書士について敷居が高く、気軽に相談ができないような雰囲気があると思われる方もいらっしゃると思います。
そのような弁護士・司法書士事務所に行く事について、非常に抵抗感がある方でも、市役所・区役所と言う公的な、ある意味安心な空間で行われる相談ですので、気軽に利用する事が出来ます。
② 予約不要の場合がある
市役所にもよりますが、利用に際して予約が不要の場合があり、事前に準備していない、ちょっとした事でも相談する事が出来ます。
③ 依頼しなければいけない、と言う雰囲気にならない
一般の企業であれば、何かしらの相談会と言うのはあくまで営業の場ですので、程度の差はありますがその場での売り込みがスタートします。
しかし、市役所で行われている無料相続相談会はほとんどの場合、主催している市の方からの指示により、相談会での直接の受任が禁止されています。
その為、依頼しなければいけない、と言う雰囲気にはならないので、相談者の方は安心して相談出来ます。
2.市役所の無料相続相談のデメリット
① 時間制限がある
多くの場合30分と言った時間制限があります。
その為、事前に話しを整理していないと、本題に入る頃に時間切れ、と言った事にもなりかねません。
② 一般的な話しになってしまう
上記の「時間制限がある」に関連するのですが、時間制限がありますと、どうしても突っ込んだ内容までのヒアリングが難しく、その結果一般的な解決方法の話しで終わってしまう事もあります。
この点は相談者の方にとってみると、消化不良になる可能性があります。
また、担当する弁護士、司法書士にとってみても、事前に事件の資料等が確認できず、その場で初めて聞く内容であれば、一般的な解決方法の提示で終わらざるを得ないケースがあります。
③ 担当の弁護士、司法書士がその都度変わる
弁護士、司法書士は市役所に常駐しているわけではありませんので、その担当は毎日変わります。
「この先生に次も相談したい」と思われても、次の相談時に同じ担当者がいるとは限りません。
④ その場では受任できない
相談者の方が「この先生でお願いしたい」と思っても、上述のとおり弁護士、司法書士はその場で受任出来ません。
その為、その先生にお願いしたい場合は、その方の所属する弁護士会、司法書士会に連絡してその先生の連絡先を聞いて・・・と言う煩わしさが発生します。
3.まとめ
市役所の無料相続相談には上記のメリット・デメリットが存在します。
相続の事について相談するきっかけにするのであれば、非常に有意義なものになります。
しかし、抱えている問題が複雑な場合は市役所の相談ではなく、一人の弁護士、司法書士に話をじっくりと聞いてもらい、場合によっては事件を依頼する方が良いでしょう。
なお、目安として、ご自分でしっかりと勉強されて、かつ3回以上市役所の無料相続相談を利用しても解決しない問題であれば、それ以上市役所の相談を利用しても問題の解決が難しいと思います。
その場合は弁護士や司法書士に依頼をした方が良いでしょう。