司法書士の報酬はなぜ高い?(相続編)

前回「司法書士の報酬はなぜ高いのか?」の続編になります。前回は不動産売買における登記の報酬でしたが、今回は相続手続きの報酬について解説致します。この相続手続きについての報酬に関して最近、ご依頼人と司法書士の間でトラブルになっているケースがあると耳にしますので、相続手続きの仕事の内容と報酬に関するトラブルを未然に防ぐ方法を解説していきたいと思います。

 

1.司法書士が行う相続手続きとは?

司法書士の相続手続きの報酬が高いか安いかの話の前提としまして、司法書士が行う相続手続きとはそもそも何なのか?をご説明しなくてはいけません。司法書士が行う相続手続きとは、遺産承継業務です。具体的には①戸籍上で相続人を確定させる。②遺産分割協議のアドバイスをする。③遺産の名義変更をする、と言う流れになります。

① 戸籍上で相続人を確定させる

相続人を確定させる為、被相続人の出生からお亡くなりになった時までの全ての戸籍(除籍)謄本を取得します。手間暇かけず直ぐにできるイメージだと思いますが、実際には時間が予想以上にかかる場合があります。被相続人が本籍地を全く移動していなければ良いのですが、そう言った事はごくまれで、ほとんどの場合は2~3回本籍地を移動しています。相続人の方から事前に「亡くなった父は本籍地は変わっていないはず」とお伺いしていても、調べてみると変更している場合が良くあります。場合によっては九州や北海道と言った遠方になっているケースもあります。
戸籍(除籍)謄本はその本籍地でしか取得できません。その本籍地が近くであれば市区役所に直接赴く事ができるのですが、遠方の場合郵送での請求になり、数日間を要します。それを2~3カ所の本籍地で行うと、気が付けば1ヶ月近く経過する事もあります。直ぐに終わりそうで、実は時間がかかる業務なのです。

② 遺産分割協議のアドバイスをする

各遺産を金銭に評価して、特別受益や寄与分等を考慮し、各相続人の具体的な相続分を算出し、各相続人の方から具体的にどの遺産を相続したいかを聴取し、遺産分割協議のアドバイスをします。「別に相続人間でもめているわけではないけど、自分達では決める事ができない」そう言った方々に対して法律上適切なアドバイスを行うのですが、相続人の方全員が納得できる遺産分割協議書案が完成するまで数週間~数ヶ月要する事もあります。

③ 遺産の名義変更を行う

遺産分割協議が調えば、あとは各遺産について名義変更を行うだけなのですが、この手続きも名義変更先の都合によって数週間~数ヶ月を要する場合があります。

 

2.遺産承継業務の本質

以上のとおり、司法書士の相続手続き(遺産承継業務)の本質は、数ヶ月、場合によっては半年程かかる期間についての対価です。さらに法律上適切な遺産分割協議のアドバイス等を行う、他人の財産を取り扱う業務ですので必然的にその責任は重くなります。つまり、司法書士の相続手続きの報酬は「期間」と「責任」の対価である事をご理解頂きたいと思います。

3.まとめ -司法書士とトラブルにならない為に-

まずは報酬規程の説明をきちんと受けて下さい。そして、その報酬規程から具体的にどれくらの報酬になるのかの計算をしてもらって下さい。それでも納得ができないのであれば、他事務所(当事務所でも構いません)に意見や見積りを求めるようにしてみて下さい。

相続は普通の方であれば何度も遭遇しないと思います。だからこそ、ご納得して頂き、信頼のおける司法書士に手続きを依頼して下さい。

 

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー
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