マイホーム購入時に考えたい司法書士の指定の闇

相続・家族信託の専門家

こんにちは。司法書士の甲斐です。

不動産会社(仲介会社)を利用しマイホームを購入する際、不動産の登記申請を行う事がほとんどです。

その際に不動産会社から紹介されるのが司法書士であり、不動産の売買契約書の中に司法書士の指定に関する特約が入っています。

契約の内容になっていますので、自動的に司法書士が決まり、何だか良く分からないまま委任状を書いて・・・となりがちなのですが、ちょっと待って下さい。

この司法書士の指定、時と場合によっては非常に問題が孕む事があり、結果としてあなたが不利益を被る事があるのです。

今回はその、「マイホーム購入時の司法書士指定の闇」についてお話ししていきたいと思います。

1.買主指定の司法書士

関東で多いパターンが、この、「司法書士は買主が指定する」パターンです。

不動産の名義変更(所有権移転登記)の登記費用を買主が負担する為、お金を支払う買主が司法書士を指定する、と言ったある意味では当たり前のパターンです。

買主に知り合いの司法書士がいない場合、仲介会社と提携している司法書士が紹介されます。

事前に見積書が提示されますので、その見積もりに納得されてその他特に問題が無ければ、そのままその司法書士に依頼する事になるでしょう。

2.売主指定の司法書士

不動産の売買契約書の中に、

「司法書士は売主が指定する」

と言う取り決めをしている場合があり、その時は売主が指定する司法書士に登記申請を依頼する事になります。

「お金を払うのは買主なのに、それっておかしくない?」

と思われるかもしれませんね。

そのカラクリはずばりこうです。

契約の中に「売主指定の司法書士」の特約を入れる場合、その売主はほぼ不動産会社です。

この不動産会社は不動産を購入(仕入れ)し、転売する事で利益を得ています。

その仕入れ時にも当然登記申請を行う必要があり、その時に不動産会社は(提携している)司法書士に依頼しているのですが、この時の司法書士報酬が非常に低額、もしくは無償なのです。

一見、司法書士にとっては利益にならないように見えますが、この不動産会社が売主として不動産を転売する際、仕入れ時に登記申請を依頼した司法書士を指定する事で、司法書士が確実に仕事にありつける構図になっています。

その為、「売主指定の司法書士」の特約が存在するのです。

3.ネット銀行の指定の司法書士

さらに、最近はこのケースも増えてきました。

住宅ローンを利用する場合、従来の銀行の他、ネット銀行でも住宅ローンを利用する事が出来ます。

ソニー銀行とかオリックス銀行とかですね。

このネット銀行の住宅ローンを利用する際、融資の条件として、ネット銀行が指定する司法書士の利用を求められるのです。

これも実はカラクリがあり、ネット銀行が指定する司法書士は、そのネット銀行が本来行う事務作業の一部を行っています。

ネット銀行が司法書士に業務をアウトソーシングしているわけです。

で、司法書士側は事務作業を行う引き換えに、ネット銀行側に融資の条件として司法書士指定をしてもらっているわけです。

「ネット銀行が指定する司法書士は高い」

そんな噂がネットで流れていますが、その理由はこのような点にあるのかも知れません。

4.キックバックについて

司法書士の報酬は各司法書士が自由に決めてよいのですが、ある程度の相場があります。

(あくまで感覚ですが、一般のマイホームの購入であれば、登録免許税等の実費を除いた司法書士報酬は、10万円~15万円だと思います。)

ところが、司法書士によってはその相場を超えた金額を提示する事があります。

「難しい案件だから」と言う理由であれば良いのですが、特に理由がなく報酬が高い場合、要注意です。

その司法書士はあなたが支払う報酬から、不動産会社へキックバック(仕事の紹介料の支払い)をしているかもしれません。

つまり、あなたは本来支払う必要がないお金を支払う事になるのです。

これは本来あってはならない事であり、司法書士倫理でも明確に禁止されています。

5.まとめ

このように、マイホームを購入するあなたに司法書士の知り合いがいない場合、不動産会社(仲介・売主)やネット銀行から司法書士の紹介を受ける事になると思います。

勿論、あなたの事を思い信頼のおける司法書士を紹介してくれる場合が大半ですが、場合によっては当事者の様々な思惑が交差する事があります。

マイホームは一生に一度の買い物であり、失敗は許されません。

登記申請を行う司法書士選びだって当然同様ですので、

「何だか良く分からないけれど不動産会社に紹介されたからまあ良いか。」

ではなく、あなた自身で信頼が出来る司法書士をしっかりと見極めるようにしましょう。

文責:この記事を書いた専門家
司法書士 甲斐智也

◆司法書士で元俳優。某球団マスコットの中の経験あり。
◆2級FP技能士・心理カウンセラーの資格もあり「もめない相続」を目指す。
◆「相続対策は法律以外にも、老後資金や感情も考慮する必要がある!」がポリシー。
(詳細なプロフィールは名前をクリック)

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町田・横浜FP司法書士事務所
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