自宅購入時に好きな司法書士を指名したい場合

司法書士の仕事

こんにちは。司法書士の甲斐です。

今回の記事は、自宅購入時に不動産会社から紹介された司法書士がいまいち信頼出来ず、ご相談、ご依頼されたい方向けの記事です。

(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

【事例】
Q:私は横浜市内でマイホームを購入したく、色々と物件を見ていたのですが、この度ようやく自分が気に入った物件があり、売主と契約しました。

その際に不動産会社から

「所有権移転登記等を行う司法書士は、こちらで用意しても良いですか?」

と言われ、知り合いに司法書士はいなかったのでお願いしたのですが、この司法書士がいまいち信頼出来ません。

見積もりを出してもらっても「調査費」「登録免許税納付代行」等と言った良く分からない項目があり、その説明を求めたのですが非常に曖昧で納得がいきません。

た報酬も全体的に高い感じがします。

あまりにも信用出来ないので、司法書士を変えたいと不動産会社に言ったのですが、全く対応してくれません。

結局、この司法書士に登記をお願いせざるを得なかったのですが、最後まで不手際があり、もう散々でした。

私の友人に今後マイホームを購入したがっている者もいるので、私の失敗を踏まえて何か注意点があれば教えて下さい。

1.自宅購入時における、司法書士の仕事

司法書士は所有権移転や抵当権設定の登記を依頼人を代理して行う専門職です。さらに、自宅(不動産)購入時では、残金決済時に立会い、

⑴ 当事者(売主、買主)の本院確認、意思確認を行い、
⑵ 抵当権抹消、所有権移転、抵当権設定等の登記に必要な書類が全て揃っているのかを確認し、
⑶ 買主から売主へ売買代金が移動したかの確認
⑷ その後、法務局へ登記申請を行う

と言う流れを行うのが一般的です。

特に⑶が非常に重要で、その理由はほとんどの不動産売買契約書に「所有権移転の時期は、売買代金全額を支払った時に移転するものとする」と言う項目があるからです。

つまり、売買代金がきちんと支払われ、所有権移転と言う法律効果がきちんと発生したのを確認の上、初めて登記申請が出来るのです。

これが不動産売買時における司法書士の役割なのですが、ほとんどの場合、司法書士は不動産会社から紹介されると思います。

そして残念ながら、その不動産会社から紹介された一部の司法書士が、どうやら問題を起こしているようです。例えば、

・専門用語ばかりで何を言っているのかが良く分からない
声が小さく早口で、何を言っているのかが聞き取れない(でも連れてきた新人司法書士には大声で怒鳴る)
・態度が非常に横柄で怖い・・・等

同じ司法書士として申し訳ないぐらい、不誠実な対応を行う司法書士がいるのが事実です(なお、これには理由があるのですが、それは別の機会に)。

その為、司法書士を変更したいと思われる方が中にはいらっしゃるのですが、実際には中々難しい事情があります。

2.司法書士を変更する事が難しい理由

司法書士を変更する事が難しい大きな理由は、売買契約書に

「本件に関する登記は売主(若しくは仲介会社)が指定する司法書士が行うものとする」

と言った、司法書士の指定が売買契約の内容となっているからです。

指定された司法書士が全く問題がないのであれば良いのですが、問題があり司法書士を変更したくてもこの条項がある為、本当に司法書士を変更したいのであれば、手付金を支払い売買契約を解除する必要があるのです。

それは買主にとって非常に負担になる為、現実的に行われていないのです。

つまり、信用出来る司法書士に登記を行ってもらう為には、売買契約締結前に色々と動く事が必要となります。

3.売買契約締結前に行った方が良い事

① 売買契約の条項に司法書士指定があるか確認

まず、売買契約を締結する前に、司法書士指定の条項があるのかを確認して下さい。

もし無いのであれば、信頼出来る司法書士をご自分で探す旨を関係者に伝えて下さい。

条項がある場合、今回だけ買主側で司法書士を用意する事に同意してくれないか交渉してみて下さい。

② 売買契約前に、司法書士と会話をしてみる

司法書士指定の条項が有っても無くても、一度司法書士と面談若しくはお電話でお話しをして下さい。

話題は何だって良いです。今後の手続きの流れや、登記に必要な書類の説明等、どんな事でも構いません。

この時の対応で、信頼出来る司法書士かそうでないのかの判断がある程度分かると思います。

③ 売買契約前に登記費用の見積もりをもらう

状況によっては非常に難しいかもしれませんが、売買契約締結前に見積もりをもらうようにして下さい。

その中で不明な点があればどんどん質問をしてみて下さい。その対応方法でも、信頼が出来る司法書士かそうではないかの判断が出来ると思います。

なお、登記費用ですが司法書士やその地域によって大きく変わってくるのですが、実費を除いた不動産購入時の司法書士報酬は、大体10万~20万前後が相場なのではないかと個人的には思っています。

登記件数が増えたり等、様々な事情によって報酬は大きく変わる事もありますので、これぐらいの幅を持たせています。

なお、司法書士の見積もりの詳細は、こちらもご覧下さい。

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4.まとめ

今回なぜこの様な記事を書いたかと言いますと、実際に「不動産会社から紹介された司法書士がイヤだから、代わりにお願い出来ませんか?」と言うご相談が非常に多いからです。

確かに、マイホームは一生に一度の、今後の生活の拠点となる重要な買い物です。

売買契約時、残金決済時、登記完了時まで、幸せな気分で過ごしたいのは当たり前です。

そんな幸せな空気を司法書士が邪魔をする事はけっして許されるはずはありません。

こだわり抜いてマイホームを選ばれたのと同様に、司法書士もこだわって選んで下さい。

是非、ご自分が納得した司法書士に、あなたの大切な財産の登記を依頼して下さい。

もちろん、当事務所でも積極的にご相談を承っております。

紹介された司法書士にお困り、お悩みの場合はお気軽にお問い合わせ下さい。

文責:この記事を書いた専門家
司法書士 甲斐智也

◆司法書士で元俳優。某球団マスコットの中の経験あり。
◆2級FP技能士・心理カウンセラーの資格もあり「もめない相続」を目指す。
◆「相続対策は法律以外にも、老後資金や感情も考慮する必要がある!」がポリシー。
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町田・横浜FP司法書士事務所
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