相続で一番悩む、他の相続人との正しい接し方の方法とは?

相続一般

こんにちは。

私は平成23年に司法書士試験に合格し、複数の司法書士事務所に勤務して、平成27年に横浜で独立しました。

司法書士歴は約5年とまだまだ短いのですが、その短い間でも沢山の相続案件を取り扱い、独立した現在も継続して相続案件に取り組んでいます。

その今まで取り扱った相続案件を振り返ってみますと、一つの特徴がある事に気が付きました。

そう、相続で悩まれている方は、ほとんどの場合、相続手続きの難解さで悩まれているだけではなく、「他の相続人との接し方」に大変悩まれて、ストレスを感じているのです。

「次男の〇〇がカンシャク起こして相続の話し合いが出来ない」
「長女の△△が好き勝手な事を言いだして話しがまとまらない」
「長男と次男が結託して、私を話し合いからつまみ出そうとしている」等

このように法律上の主張と言うよりも、どちらかと言えばそれ以外の事でトラブルになっている為、法律を用いて解決する事が難しい現状があります。

相続=法律と考えがちですが、実は相続で大切な事は法律以上に、他の相続人との接し方、コミュニケーションなのです。

この「他の相続人との接し方」のポイントをしっかりと押さえる事が出来れば、無用なストレスから解放され、スピーディーに相続手続きを行う事が出来るのです。

今回はこの、どの法律家も語ってくれない「他の相続人との接し方」についてお話していきたいと思います。

1.相続手続きは難しい。でも実は簡単でもあります

まず最初に、相続人との接し方の対比として、相続手続きの事をお話したいと思います。

相続手続きは、一般的には被相続人の出生から死亡時までの戸籍を集めて、相続財産の調査を行い、相続人間で遺産分割協議を行い、協議書を作成し、各相続財産の名義変更を行う事を指します。

つまり、相続「手続き」の事なのですが、この相続手続きは基本的に民法等を初めとした相続に関連する法律の知識がないと、その手続きを行うのが非常に難しいのです。

被相続人の戸籍を集める事ひとつをとっても、戸籍がどのように編成されて、どの部分を見れば良いかを勉強しない限り、被相続人の戸籍を間違いなく揃える事は難しいでしょう。

この通り、相続人との接し方同様、相続手続きも非常に難しいのですが、実はある意味では簡単なのです。

その理由は単純明快で、相続手続きは難解ですが、必ず答えがあるのです。法律で決まった手順を踏めば、必ず答えにたどり着く事が出来るのです。

一方で、相続人との接し方についてはどうでしょうか?「このようにすれば良い」と言う明確な答えはありませんよね?

実は我々日本人は、この明確に答えが無い問題について、自分なりの回答を導き出す事を非常に不得意にしています。

学生時代を思い出してみて欲しいのですが、テストで問われる事は「暗記」ではなかったですか?

いかに数学の公式を覚えて効率良く計算を解くか、どれだけ英単語や文法を覚えて英語の問題を解答するか?

学生時代の基本的な学習方法は「暗記」だったはずです。けっして一から方程式を創り出した人はいないはずです。

このように我々日本人は、答えが最初から用意されている問題にはとっても強いのですが、その一方で、明確な答えがない、コミュニケーションや感情の問題にはめっぽう弱いと言う側面があります。

他の相続人との接し方がなぜ難しいのか?それは明確な答えがない事が理由にある事をまずはしっかりとご理解下さい。

2.他の相続人ともめない為の正しい接し方、コミュニケーションの方法

① まずは正しい法律知識と客観的な事実をしっかりと押さえる

相続における正しい法律知識とは、相続人は誰なのか?相続財産は何が含まれるのか?各相続人の相続分はどれくらいなのか?と言った、寄与分や特別受益等、相続におけるごくごく基本的な法律知識の事です。

実はこの単純明快な部分でも、誤った解釈をされている方が多いので注意が必要です。

客観的な事実とは、実際の相続財産の種類とか、各相続人が希望している事とか、法律上の主張ではないけれど、各相続人が主張している事等、相続に関連して発生しているありとあらゆる事実の事です。

どのような相続手続きを行うにしても、大前提として正しい法律の知識と、客観的な事実を正確に押さえる事は必要になってきます。

② 一方的な説得をしない、かけひきをしない

問題はここらかです。相続人と仲が良く、お互いが通じ合えていたら相続でもめる事は少ないでしょう。

多少言葉足らずでも、今までのつながりが強ければ強いほど、その言葉足らずの部分を補ってくれますので、もめる相続に発展する可能性は低くなります。

問題となる多くのパターンがこの逆、つまり、元々あまり面識がない相続人や、面識があるけど性格的に合わない等、話し合いをスタートする段階において、コミュニケーションを行う上で様々な障害があるケースです。

この段階、つまり初めてその対象の相続人とコミュニケーションを行う時に誤った対応をしてしまいますと、場合によっては回復不可能な溝を生じる可能性があります。

その為、十分に気を付けてほしいのが、一方的な説得をしない事と、かけひきをしない事です。

相続の為に一方的に説得をしない

他の相続人と接する時に、ついつい他の相続人を説得してしまい、それが原因で人間関係がギクシャクしてしまう方がいらっしゃいます。

その方は正しいと思って色々な主張を他の相続人にします。

「法律ではこうなっている。だからこうしなさい」
「次男は親の介護で大変だった。だからこうしなさい」

確かに、それぞれ合理的な理由がありますし、客観的には正しいでしょう。

しかし、他の相続人は他の相続人なりの、正しいと思っている考え方があります。まずは、他の相続人が思っている事をしっかりと聴く事を心がけましょう。

かけひきをしない

欧米流の交渉術は基本的にかけひきであり、相続の話し合いにおいてもこの「かけひき」を用いる方がいらっしゃいます。

かけひきで良く使われるテクニックに「フット・イン・ザ・ドア」「ドア・イン・ザ・フェイス」と言うのがあります。

「フット・イン・ザ・ドア」は相手に対して最初に断りづらい、簡単な要求をを行い、相手が承諾したところで本題である、難解な要求を行うと言う交渉テクニックです。

これは1度要求を飲んでしまうと次の要求が断りにくくなるという人間の性質を利用したもので、小さな要求を順番に通していくことで、結果的に大きな要求も通ってしまうというものです。

「ドア・イン・ザ・フェイス」はこれとは逆で、最初に断られる事が前提で大きな要求を行い、その上で本当の目的だった小さな要求を通すというものです。

どちらも交渉の為のテクニックであり、かけひきなのですが、相続の場面ではハッキリ言って逆効果になり、もめる相続の原因となるのです。

③ どうして一方的に説得したり、かけひきを行ってはいけないのか?

「他の相続人との対応はある意味で交渉であり、そうであれば説得したりかけひきが必要になる。それなのに行ってはいけないとは一体どう言う事なのか?」と不思議に思えるかもしれませんね。

特に仕事で常日頃から交渉を行っている方にとってみれば不思議で仕方がないでしょう。しかし、これには明確な理由があります。

相手を説得したり、かけひきをしたり、一方的に勝者と敗者を決める交渉方法を行う事により、あなたの事を一生恨む相続人も出てくるでしょう。

あなたに裏切られた事を周りの人間に言いふらされる事もあるでしょう。

人間関係がズタズタになる事もあるでしょう。

つまり、将来に渡ってあなたが失うモノが大きすぎる交渉方法なのです。このような接し方は誰も特をしません。そればかりか問題を泥沼化させるだけなのです。

相続で他の相続人と接する基本的にはスタンスは、「相手を説得しない、かけひきをしない。

相手の主張をしっかりと聴く、その背景事情もしっかりと聴く」まずはこれが、スタートラインとなるのです。

3.その他、他の相続人と接する上でやってはいけない事

その他、他の相続人と接する上で重要な事でもある「やってはいけない事」があります。

それはズバリ「怪しい行動を行わない」と言う事です。

例えば、被相続人が亡くなる前後で被相続人の預金を勝手に引き出したり、相続財産を勝手に解約したりする事です。

恐らく、どうしようもない理由があると思うのですが、他の相続人から見ればハッキリ言ってしまえば「相続財産隠し」の非常に怪しい行動です。

その為、上記のような事を行う場合、必ず他の相続人の同意を求めるようにしましょう。

それが難しいようであれば、なぜそのような事を行ったのかを明確に回答出来るようにしておきましょう。

4.まとめ

どうしても相続人と話し合う=交渉=説得と言う図式が成り立ちがちだと思います。

上手く説得ができれば良いのですが、説得ができなかった場合、様々なリスクが発生するのは上記でご説明した通りです。

一度人間関係に亀裂が生じた場合、その修復は大変な困難を伴います。

無用なトラブルやストレスを回避する為に、他の相続人との接し方の基本をしっかりと押さえましょう。

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