
こんにちは。司法書士の甲斐です。
あなたは、相続の事で困った場合、誰に相談しますか?
「相続」と一口に言っても様々な専門家がいて、インターネットで少し検索しただけでも大量の専門家のWebサイトが検索結果に表示されます。
試しに、「相続 相談 横浜」とインターネットで検索してみて下さい。
実に400万件以上のWebサイトが表示されるのですが、この中から質の高い相続の専門家を選ぶためのポイントは何だか分かりますか?
相続相談の実績数?専門家の人柄?それとも事務所の規模?
専門家を選ぶ判断基準は沢山ありますが、たった一つだけポイントを挙げるとしたら、一体何だと思いますか?
本日はその、「質の高い相続の専門家を見分ける為のたった一つのポイント」をお話したいと思います。
1.そもそも、相続の専門家とは?
相続はその内容が幅広く、基本的には一種類の専門家がその領域全てをまかなえるわけではありません。
例えば、相続人間で紛争になっているのであれば弁護士。
不動産の名義変更(相続登記)や、その他の遺産の相続手続きの事であれば司法書士。
相続税の事なら税理士。
等々、相続の何についてお困り・お悩みかによって、その相談先が全く異なってきますので、この点は十分に注意しましょう。
2.質の高い専門家を見分けるポイント
質の高い専門家を見分けるたった一つのポイントは、ズバリ「アドバイスが具体的か?」につきます。
当たり前と言えば当たり前で、実務をしっかりと行い、難しい相続の問題を逃げる事なく取り組んでいる専門家であれば、そのアドバイスは具体的で生々しく、説得力があるはずです。
例えばあなたが遺産の分け方について、
「相続人でどのように分けたら良いか分からない」
と言うお悩みがあったとします。
その時に、
基本的には法定相続分をベースに寄与分・特別受益を考慮するのですが、法定相続分は絶対ではありません。
相続人の皆様が納得するのであれば、どのように分けても良いのです。
例えば、寄与分には該当しなくても、親と同居して食事等の面倒をしていた相続人がいた場合、その人の相続分を増加してあげても良いでしょう。
確かに「食事等の面倒をみていた」だけでは、相続分を増加させる法律上の根拠とはなり得ません。
しかし、面倒をみていた相続人にとってみれば、それなりの苦労があったはずです。
法的な根拠が無くても、その苦労や思いについてしっかりと理解してあげるべきではないでしょうか?
この部分を理解せず、「法的には私が正しい!」と理由で、遺産分割調停や審判を申立てる件数が年間で1万件以上あり、その後何年も争う事もあります。
こうなると、普通の家族としての付き合いは不可能になります。
日常生活の中で相続で争っている事が常に頭の中にあり、そのストレスから精神的にまいってしまう方もいらっしゃいます。
仕事でミスを連発して、職場に居づらくなっている方もいます。
その結果、ご家庭の仲も悪くなり、相続で争った事を後悔されているのです。
しかし、後悔しても時間は戻す事は出来ません。
そこまで行けば、もうどうしようも無いのです。
だからこそ、「相続分は法律で決まっている!絶対にその通りにやるしかないんだ!」と言う考え方を一旦捨てて、臨機応変・柔軟に遺産の分け方を決めてはいかがでしょうか?
なお、先ほどから「法的な根拠はない」とお伝えしていますが、実際はあります。
民法の第906条に、「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。」と言う規定があります。
このように、「一切の事情を考慮」しても良いのです。
ただし、相続税の納税義務がある場合、多く相続した人が原則として相続税も多く納める必要がありますので、その点はご注意下さいね。
とアドバイスされたらどうでしょうか?
「なるほどね。理解できました!」
と思いませんか?
単純に法律の知識を勉強しただけでは、抽象的・一般的な話に終わってしまいます。
実際に実務を行っている専門家は、机上の空論ではなく、今までの成功・失敗をした経験からより具体的なアドバイスを行う事ができます。
「説得力がある話」
「生々しい話」
これが、質の高い専門家を見分けるたった一つのポイントです。
3.まとめ
相続の専門家である私がビックリするほど、最近は「相続の専門家」が爆発的に増加傾向にあります。
それは超高齢化社会を迎えるあたり、社会的なニーズに対応する為でもあるのですが、専門家を探している一般の方にとってみれば選択肢が広がる反面、専門家を選択する判断基準に困る事にもつながります。
ご自身の判断基準も大事にしつつ、本日私がお話しました「具体的・説得力がある・生々しい話」も是非取り入れてみて、信頼のおける相続の専門家を探してみて下さい。