成年後見(法定後見)制度のデメリットをこっそり教えます

 

こんにちは。横浜のもめない相続の専門家、司法書士/上級心理カウンセラーの甲斐です。

今回の記事は、成年後見の制度の利用を考え中の方向けの記事です。

(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

【事例】
Q:私の父が先月亡くなり、相続人三人(母、私、次女)で、父が残してくれた実家や預貯金等についてどうしようか話をしようとしました。

ところが、母が認知症でこのままでは遺産分割協議が出来ない為、後見の申立てを行わなくてはいけない、と弁護士の方から言われました。

後見の申立書は私が作成、家庭裁判所に提出して、成年後見人に弁護士の方が就任するみたいになりました。

しかし、申立ての時にも、弁護士の方からも、特に成年後見制度のデメリットについてお話はありません。

成年後見制度を利用する事により、どのようなデメリットがあるのでしょうか?

 

1.成年後見制度の必要性

「相続人の中に認知症の者がいるので、遺産分割協議を行う為に後見の申立てをする」後見制度を利用する必要が生じた理由の上位が、この「遺産分割協議」の為です。

そもそも、このケースでなぜ後見制度の利用が必要になるかと言いますと、遺産分割協議と言うのは、遺産の権利を確定させる法律行為になります。

この法律行為を行うにあたっては、意思能力(自分の行為の結果をきちんと判断する事が出来る能力)が必要となるのですが、認知症の方の場合、この意思能力が無い事が大半だと思います。

その意思能力が無い状態で遺産分割協議を行ったとしても、それは無効になりますので、後見の申立てを家庭裁判所に対して行います。

その後、家庭裁判所から選任された成年後見人が本人を代理して、他の相続人と遺産分割協議を行う必要があるのです。

ですが、成年後見の制度には様々なデメリットがある為、後々「遺産分割協議の為だけに申立てをしたのに」とトラブルになる事もあります。

今回はその成年後見のデメリットを解説していきますので、じっくりとご検討の上、成年後見制度のご利用を判断してください。

なお、後見制度は意思能力の低下のレベルによって、成年後見、補佐、補助と分かれているのですが、今回は成年後見をメインにお話していきます。

 

2.成年後見制度のデメリット

① 被後見人(ご本人)が亡くなるまで、成年後見人の仕事は続く

デメリットの一番目は、成年後見人の職務の事です。

成年後見人の仕事は被後見人の財産管理と身上看護(被後見人にとって一番よい生活を送る事が出来る方法を考える事です)ですが、この仕事は被後見人が亡くなるまでずっと続きます。

後見制度を利用する側の認識として、「遺産分割協議の為だけ」と思っていても、被相続人が亡くなるまでその仕事は続きます。

また、弁護士、司法書士等の専門家が成年後見人に選任される事もありますので、その場合はその専門家とのお付き合いが、被後見人が亡くなるまで続く事になります。

② 専門家が成年後見人の場合、報酬が発生する

弁護士、司法書士等の専門家が成年後見人に選任された場合、その報酬が発生します。

報酬の額は専門家の申立てにより家庭裁判所が決定するのですが、その金額は月額3万~5万ぐらいが多いようです(管理する財産の状態やその地域によっても変わってきます)。

例えば、後見が5年続いた場合、3万円×5年=180万円です(結構な金額が発生しますね・・・)。

なお、この報酬は、被後見人の財産から支払われる事になります。

③ 家族の為に被後見人の財産が利用できなくなる

被後見人が相続税対策としてその子ども達に生前贈与を毎年行っていたとしても、後見制度を利用する事でそれが原則出来なくなります。

成年後見制度はご本人の財産を守る為の制度であり、不必要な財産の処分を行う事が禁止されている為です。

ご本人が元気な時に、どんなに子供や孫に金銭的な援助を行っていて、今後もそれを望んでいたとしても、もうそれができなくなります。

④ 原則、法定相続分で相続する必要がある

事例の場合は特に要注意です。

例えば、被後見人が「私はお父さんの遺産はいらないから、子ども達で話し合いなさい」と事前に言っていたとしても、原則、法定相続分で相続する必要があります。

これはつまり、二次相続を踏まえた相続税対策が難しくなる可能性があると言う事であり、被後見人にとっても、その他の相続人にとっても不幸な事です。

その他、細かいデメリットはありますが、代表的なものは上記にあげたものです。

 

3.事前対策の必要性

遺産分割協議の為の後見制度利用であれば、被相続人が事前に遺言を用意しておく事で、遺産分割協議を行う必要がなくなります。

また、事前に家族信託と言う制度を利用する事で、生前贈与等の財産の処分が可能となります。
どちらにしても、事前に何らかの対策を行う事の必要性は高まっています。

一番ダメなのが、「何もしない」と言う選択です。

司法書士も含め、一部の専門家が事例の場合に、

「お母様が亡くなった後に、お父様の分とまとめて遺産分割協議を行えば、後見制度を利用する必要はない」

とアドバイスを行っている事がありますが、そのままでは被相続人の預貯金を自由に使う事は出来ませんし、自宅を売却する事も出来ません。

「何もしない」と言う事は、「何も責任を取らない」と言う事と同じ意味です。

「何もしない」と言う選択が一番ダメな理由はここにあります。

 

4.まとめ -事前の対策が必要な理由-

厚生労働省の2015年1月の発表によりますと、日本の認知症患者数は2012年時点で約462万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人となっています。

さらに、2025年には、認知症患者数は700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人となる見込みです。

これだけの数の方が認知症になるのであれば、認知症の方の遺産分割協議や財産処分の問題は人事ではなくなってきます。

その時になって慌てて、成年後見制度のデメリットに悩まない為にも、今の内からきちんと対策をしていきましょう。

なお、認知症になった時の財産管理として有効な家族信託の詳細は下記をご覧下さい。

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー

合格率2~3%台の司法書士試験を、4年間の独学を経て合格。

心理カウンセリングの技術を応用して、もめない相続の実現を目指す専門家。

不動産や銀行預金等の相続手続きの他、心理カウンセラーが行う心理療法であり心理学のひとつ、「交流分析」をベースにして、法律と感情面の双方から、相続人間のコミュニケーションが円滑になる為の多角的なサポートを行っている。

元俳優。アクションが得意でTVドラマ出演やヒーローショーの経験もあり。

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