どんなに仲の良い兄弟姉妹でも、相続をきっかけとしてもめる事があります

相続トラブル事例

こんにちは。司法書士の甲斐です。

今回の記事は、仲が良かった兄弟が相続をきっかけにして大ゲンカに発展したケースのご紹介です。

(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

1.事例紹介

 

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先日亡くなった太郎さんの相続人は長男の一郎さん、長女の花子さん、次男の次郎さんの三人です。

遺産は自宅(時価5,000万円)と預金1,000万円がありました。

元々兄弟間の仲は非常に良く、自宅に関しては長男の一郎さんが太郎さんと同居していた為、「自宅は同居している一郎兄さんが相続すれば良いよ」と太郎さんの生前に良く兄弟間で話していました。

太郎さんもそれを何度も聞いていたので、遺言を残す必要性は無いと思っており、実際に太郎さんは遺言を残してはいませんでした。

ところが、太郎さんが亡くなり四十九日も終わり、遺産分割協議の場になった時に、次男の次郎さんが

「一郎兄さんが自宅を相続するのは構わない。でも、俺にも父親の財産の3分の1を貰える権利があるのだから、その足りない分は精算してほしい」と突然言ってきました。

長女の花子さんも

「そうよね。一郎兄さんが自宅を継ぐと不公平よね。私も精算してほしいわ」と言ってきて、一郎さんは困り果ててしまいました。

太郎さんの遺産総額は自宅と預貯金合わせて6,000万円です。

これを3等分すると2,000万円で、預貯金を花子さんと次郎さんで相続したとしても、それぞれ1,500万円足りません。

このままでは一郎さんは花子さん、次郎さんに1,500万円づつ支払わなくてはいけません。

「自宅は相続しても良いと言っておきながら、今更自分の権利を主張するなんて身勝手な連中だ!」と、仲の良かった兄弟は、紛争状態に突入してしまいました。

2.事例解説

このように仲の良い兄弟であっても、相続に関してもめるケースは多々あります。

今回の発端は次男の次郎さんが、自宅は一郎さんが相続すれば良いと言っておきながら、いざ相続が開始されたら、自己の権利を突然主張してきた事にあります。

実はこれには理由がありました。

次郎さんは中堅企業に勤めるサラリーマンで、妻と子供の三人暮らしです。

昔は給料が右肩上がりだったのですが、現在の給料は景気が良いと言いつつも横ばい状態です。

でも支出は子供の塾の費用等で増加しており、家庭は大変な状況でした。

そんな時に相続の話が出てきて、家庭が楽になるのでは?と次郎さんの妻は考えたのです。

次郎さんは当初、自宅は兄さんが相続すれば良いと言った手前、法定相続分を主張する事に消極的だったのですが、妻から

「でも、遺産の3分の1は貰える権利はあるんでしょう?権利を主張する事がそんなに悪い事なの?私達の暮らしがどうなっても良いの?」と言われてしまい、次郎さんは自己の相続分の主張をしだしたのです。

この様に、相続人の配偶者が相続においてもめるきっかけになる事は少なくありません。

兄弟間であれば、昔からお互いの事を理解しているので、紛争にならない事もあるのですが、昔からの事情を知らない配偶者からの一言で、紛争に発展するケースがあるのです。

3.本ケースの解決方法

本ケースの場合、被相続人の太郎さんも事情を知っていたので、自宅を一郎さんに相続させる旨の遺言を残す事で紛争を未然に回避できました。

なお、遺留分の問題があるのですが、遺留分は家庭裁判所の許可を得て、事前に放棄する事ができます。

花子さん、次郎さんに事前に遺留分の放棄をしてもらえれば、当初の予定通りの遺産の承継手続きが問題無くできます。

花子さん、次郎さんが遺留分の放棄を行ってくれない場合は、生命保険を利用した遺留分対策もできます。

4.まとめ

「ウチは兄弟仲が良いから・・・」と言っても、事前に何も相続対策を行っていなければ、思いもよらない紛争に発展する可能性があります。

今回のように、兄弟間の仲が良くてもそのまわりの人間関係やおかれた環境から、どうしても相続の権利を主張しなくてはいけない事もあります。

そのため「ウチには相続でもめる事なんて有りえない」と思っていても、想定外の事からもめる相続へと発展する事は良くあります。

そもそも相続に関しては、「何が問題なのか?」が分からない事もあると思います。

「ウチのケースは、相続に関して何か問題があるのか?」と疑問に思われた場合は、一度当事務所やお近くの専門家にご相談下さい。

隠れた問題点と、その解決方法をご提示させて頂きます。

文責:この記事を書いた専門家
司法書士 甲斐智也

◆司法書士で元俳優。某球団マスコットの中の経験あり。
◆2級FP技能士・心理カウンセラーの資格もあり「もめない相続」を目指す。
◆「相続対策は法律以外にも、老後資金や感情も考慮する必要がある!」がポリシー。
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