一般の方が行うには困難が伴う、難しい相続手続きの具体的事例

相続トラブル事例

こんにちは。司法書士の甲斐です。

相続について、事務所や市役所、区役所でご相談を受けていますと、「自分で相続手続きを行いたいので、やり方を教えてほしい」とおっしゃられる方がいらっしゃいます。

しかし内容を良く聞いてみると、相続のプロでも大変な手続きが必要な状況の相続を、ご自身で行うとおっしゃっていて「いや、それはご自身では無理でしょう・・・」と思う事も少なくありません。

どんなに時間の余裕があって、ご自分でやってみるチャレンジスピリットがあったとしても、一般の方ではほぼ不可能である相続手続きは存在します。

そこで今回は、「一般の方が行うには困難が伴う相続手続きの具体的事例」をご紹介しますので、(言葉は悪いですが)無駄な時間を過ごさない為の判断基準として頂きたいと思います。

1.相続人が被相続人の兄弟姉妹で代襲相続も発生している(甥姪が相続人)ケース

このケースで最初の難関が、戸籍を集める事です。

相続人が被相続人の兄弟姉妹、かつその中で亡くなっている方がいらっしゃって甥姪が代襲相続している場合の、必要な戸籍を少し挙げてみますと、

・被相続人の出生から死亡時までの戸籍(除籍、原戸籍)謄本。
・被相続人の父母の出生から死亡時までの戸籍(除籍、原戸籍)謄本。
・その他、被相続人の上の世代の方(祖父、曾祖父)の死亡時の記載がある戸籍(除籍、原戸籍)謄本。
・亡くなっている兄弟姉妹の出生から死亡時までの戸籍(除籍、原戸籍)謄本。

と、通常の相続手続きよりはるかに難易度が上がるのです。

普段から戸籍を見慣れていないと、正確にこれらの戸籍を集める事は不可能です。

さらに、運よく戸籍が全て集まったとしても、遺産分割協議がまとまらない事もあります。

甥姪と常日頃から接していれば良いのですが、もう何十年も会っていないと言う事もあるでしょう。

何十年も会っていなければ、甥姪がどんな事を考えているのかが分からないと思います。

「あの子は昔は優しい性格だったから、今もきっとそうに違いない」と思っていると、思わぬしっぺ返しをくらう事もあるのです。

2.遺産(相続財産)の種類が多すぎるケース

被相続人の遺産が、銀行(メガバンク、地方銀行含め)10社、不動産50筆、証券会社5社があったケースで、この相続手続きをご自身で行おうとしていた方がいらっしゃいました。

お気持ちは分かるのですが、こんなに遺産の種類があった場合、相続のプロでも相当の時間がかかります。

ましてはほとんどの一般の方は、相続手続きを行った事がない為、ここまで遺産の種類が多いと、相続手続き完了までに莫大な時間がかかるでしょう。

3.名義が曾祖父のままの不動産があったケース

これも良くあるケースです。

曾祖父まで遡った場合、おそらく戦前の相続だと思うのですが、相続に関する法律(民法)は戦前と戦後では大きく異なっています。

その為、まずは昔の法律を理解する必要がありますし、さらに結果的に相続人がネズミ算式に増えていると思いますので、遺産分割協議が難航する事は間違いないでしょう。

一般の方が何十人もの、しかも今まで一度も会った事がない相続人と話し合い、円滑に相続手続きを進める事は非常に困難を伴います。

4.被相続人が外国人のケース  

このケースでは、「相続に関して、そもそもどこの国の法律が適用されるのか?」と言う問題があります。

仮に外国の法律が適用される場合、その国の法律を確認する必要があり、非常に手間と時間がかかります。

5.3ヶ月経過後の相続放棄

いわゆる、被相続人が亡くなってから3ヶ月経過後の相続放棄の手続きです。

相続放棄は「被相続人が亡くなって、自分が相続人であると認識した時」から3ヶ月以内に行う必要があります。

この期間を経過した後でも相続放棄が家庭裁判所から認められる可能性があるのですが、それには判例の趣旨を押さえた書面を作成する必要があります。

一般の方がこの判例の趣旨を踏まえた書類を作成する事はほぼ不可能でしょう。

なお、その判例の趣旨はこちらをご覧下さい。

判例をおさえた3ヶ月経過後の相続放棄で借金から解放される方法
インターネットで検索されているキーワードは、専用のツールを使用する事により、月間どれくらい検索されているのかを調べる事が出来ます。試しに相続関連のキーワードの検索数を色々と調べてみたのですが、そこで目を引いたのは「相続放棄」の検索数...

6.まとめ

自分の事は自分でやりたい、と思われる事は非常に大切な事なのですが、それは時と場合によっては無謀なチャレンジになる事もあります。

必要以上に相続手続きに時間を費やし、日常生活に支障をきたすのは本末転倒です。

難しい、困難な相続手続きは相続のプロにお任せください。

文責:この記事を書いた専門家
司法書士 甲斐智也

◆司法書士で元俳優。某球団マスコットの中の経験あり。
◆2級FP技能士・心理カウンセラーの資格もあり「もめない相続」を目指す。
◆「相続対策は法律以外にも、老後資金や感情も考慮する必要がある!」がポリシー。
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