もめる要素が限りなくゼロでも遺言等の相続対策が必要な理由

こんにちは。横浜のもめない相続の専門家、司法書士/上級心理カウンセラーの甲斐です。

私はその仕事柄、良く相続対策の必要性をお話しているのですが、中には「ウチは家族の仲が良く、絶対にもめるわけがないから、相続対策なんて必要ないですよ」とおっしゃられる方がいらっしゃいます。

確かにその通りで、相続が発生した場合、必ずもめるわけではありません。

しかし、『もめるから相続対策を行う。もめなければ相続対策は必要ない』と言う考え方はある意味で間違っているのです。

今回は、良くある事例を参考に、もめる可能性が限りなくゼロでも相続対策を行う必要がある理由をお話ししたいと思います。

 

1.事例紹介 -不動産の共有状態-

亡くなった方(被相続人)は花子さん、相続人は花子さんの子供の、一郎さん、二郎さん、雪子さんの3人です。

花子さんは遺言を残していません。

遺産は不動産(土地・建物)と預金が少しある程度なのですが、これが問題がありました。

自宅は元々、花子さんのご主人、太郎さんが所有していたのですが、太郎さんが亡くなった時の相続手続きで面倒くさかったのか、とりあえず法定相続分(上記の図のとおり)で名義変更をしました。

つまり、自宅は一郎さん、二郎さん、雪子さんの共有状態になっているのです。

しかし、実際に自宅に住んでいたのは花子さんと一郎さん(のご家族)であり、二郎さんと雪子さんはそれぞれ別の場所にマイホームを所有しています。

その為、いずれは花子さんか一郎さんの単独名義にする予定だったのですが、その機会なく花子さんは亡くなりました。

法律一般論としては、相続財産である自宅は一郎さん及びその家族が住んでいますので、一郎さんとしてはそのまま住み続けたいと思います。

後は他の相続財産(預金)を二郎さんと雪子さんで分け合えば良いのですが、この事例では預金が各相続人の法定相続分以下でした。

そうすると、当然相続人間で不公平さが生じます。

その場合、自宅を相続する一郎さんが自分の財産で、二郎さん、雪子さんの足りない部分の相続分(代償金)を支払う「代償分割」と言う方法が考えられます。

でも一郎さんにもそこまで余裕がないので、出来る事であれば代償金を支払いたくない。

結局、話し合いがまとまらず、『もめる』相続に発展していく事があるのです。

 

2.相続人の仲が良ければもめない。でも・・・

相続人の仲が良ければ、不平等な相続の内容だとしても、良く話し合い誰かが我慢して・・・と言う解決の道筋を立てる事ができると思います。

おそらく花子さんは、子供達の仲が非常に良かったので、遺言等を残していなかったのだと思います。

事実、このケースでは相続人がケンカしたり、もめたりはしませんでした。

でも、話し合いは難航しました。

それは何故か?答えは、各相続人の性格にありました。

3人とも非常に協調性があり誠実、真面目な人間でした。

その一方、優柔不断な部分と臨機応変さに欠ける所がありました。

誰かがリーダーシップをとってくれないと、中々物事を決める事ができない性格だったのです。

[bal_L1]https://kai-legal.com/wp-content/uploads/2018/06/souzokuknina1.jpg[bal_L2]財産、どうやって分けようか?公平にはしたいんだけど、母さん、お金があまりなかったからね・・・。[bal_L3]

[bal_R1]多少不公平になったとしても、しょうがないんじゃないの?兄さんは自宅、オレと雪子は預金でいいじゃん。[bal_R2]https://kai-legal.com/wp-content/uploads/2018/06/souzokukninb1.jpg[bal_R3]

[bal_L1]https://kai-legal.com/wp-content/uploads/2018/06/souzokukninc1.jpg[bal_L2]えー、相続って法律に則ってやらなきゃダメなんじゃないの?後から何かあると、イヤだよ。[bal_L3]

[bal_L1]https://kai-legal.com/wp-content/uploads/2018/06/souzokuknina1.jpg[bal_L2]じゃ、足りない相続分はオレの財産から支払うのか。でも、ウチも厳しいしな・・・。[bal_L3]

[bal_R1]いや、その辺は適当でいいんじゃない?[bal_R2]https://kai-legal.com/wp-content/uploads/2018/06/souzokukninb1.jpg[bal_R3]

[bal_L1]https://kai-legal.com/wp-content/uploads/2018/06/souzokuknina1.jpg[bal_L2]適当って、具体的にはいくら?[bal_L3]

[bal_R1]いや、具体的にって言われても困るし・・・。[bal_R2]https://kai-legal.com/wp-content/uploads/2018/06/souzokukninb1.jpg[bal_R3]

[bal_L1]https://kai-legal.com/wp-content/uploads/2018/06/souzokukninc1.jpg[bal_L2]えー、だったらやっぱり法律どうりキッチリとした方が良いんじゃない?[bal_L3]

[bal_R1]いや、兄さんだって生活が厳しいし・・・。[bal_R2]https://kai-legal.com/wp-content/uploads/2018/06/souzokukninb1.jpg[bal_R3]

[bal_L1]https://kai-legal.com/wp-content/uploads/2018/06/souzokukninc1.jpg[bal_L2]じゃ、一体どうすれば良いの?????[bal_L3]

 

このように、ケンカするわけではないのですが、従来の生真面目さや優柔不断さから話し合いが難航し、微妙な空気が何ヶ月も続く事は良くあります。

その内面倒になって誰も何も言い出さなくなる事もしばしば・・・・。

でも、事例のような不動産の共有状態は、いつかは決着しなくてはいけない問題です。

そうしないと、次の相続の時に残された相続人が大変な思いをする事になるのですから。

 

3.まとめ

このように、相続人の仲が良く、相続で揉める要素が限りなくゼロであっても、相続人にとってみれば『遺産分割協議』と言う話し合いそのものが非常に面倒である事もあるのです。

そうであれば、相続人のためにも遺言書を残して、子供に手間をかけさせないと言うのも親心ではないでしょうか?

子供達に余計な苦労をかけないようにする事は、財産を残す側として非常に重要であると私は考えます。

 

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー
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