不動産の共有者に相続人がいない場合の相続手続き

相続一般

こんにちは。

今回の記事は、不動産の共有者が亡くなられたけれど、その方に相続人がいない事についてご相談、ご依頼されたい方向けの記事です。

(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

【事例】
Q:私達は従兄弟同士でとある不動産を共有で所有していました。

実は先月、その従兄弟の中の一人が急に亡くなったのですが、この従兄弟には相続人がいません。

この場合、相続についてどのような手続きを行えば良いのでしょうか?

相続人がいないので、この不動産に関しては残された者がそれぞれ相続するのでしょうか?

1.共有者の持分の相続

まず、共同で不動産を所有して、その内の一人が亡くなっても、その方に相続人がいれば、普通の相続と同じように遺産分割の対象となります。

当然に他の共有者がその権利を取得するわけではありません。それでは、亡くなった共有者に相続人がいない場合、一体どうなるのでしょう?

実はこの事を規定した民法の条文があります。

民法第255条 
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

例えば、ある不動産の所有者がA、B、Cの三人で持分がそれぞれ3分の1の場合、Cが亡くなったとします。

この条文を当てはめると、この不動産の所有者はA、Bがそれぞれ2分の1ずつで所有する事になるでしょう。

しかし、共有者の相続人がいない場合、すぐに他の共有者が所有権を取得するわけではないのです。

2.相続財産管理人の手続き

勘の良い方は気が付いたかも知れませんが、相続人がいないのですから、家庭裁判所に対して、相続財産管理人の申立てを行い、被相続人の債権者等に対する支払い、特別縁故者への財産分与を行う必要があります。

民法第958条の3  
前条(相続人不存在の確定)の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

2  前項の請求は、第958条の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。

なぜこのようにすぐに他の共有者が権利を取得する事ができないのか?

これは最高裁の判例により、亡くなった共有者の相続人が存在しないときであっても、

・相続債権者や受遺者がおらず
・特別縁故者への財産分与もおこなわれなかった場合(または、財産分与等をおこなっても、不動産の共有持ち分が相続財産の中に残っていた場合)

にはじめて、民法255条の規定が適用になるとの判断がされているのです。

最判H1.11.24
『共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、その共有持分は、他の相続財産とともに、民法958条の3の規定に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、右財産分与がされず、当該共有持分が承継すべき者のないまま相続財産として残存することが確定したときにはじめて、民法255条により他の共有者に帰属することになると解すべきである。』

民法255条だけを見ると、相続人が存在しないときには、すぐに他の共有者が権利を取得するように思えますよね。

しかし実際は、他の利害関係の調整の後にその権利を取得する事になります。

その為、共有者の相続人がいない場合で、他の共有者にその権利を取得させたい時は、相続財産管理人の選任申立てを行う事が必須となります。

相続財産管理人選任申立ての詳細はこちらをご覧下さい。

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3.まとめ

相続財産管理人の選任は、場合によっては高額な予納金(数十万円から100万円程度)を収める事が必要な場合もあります。

また、裁判所への申立からその手続きが終了まで少なくとも1年はかかります。

手間と時間がかかる手続きですが、他の共有者に権利を取得させるには必要になります。時間がかかる手続きだからこそ、速やかな対応が必要になるのです。

当事務所では相続財産管理人選任申立ての実績も豊富にございますので、不動産の共有者に相続人がおらず、お困り、お悩みの場合は、お気軽にお問い合わせ下さい。

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